2022.11.09

NBA選手会副会長を務めるジェイレン・ブラウン、カイリー・アービングの処分に異議

アービングは反ユダヤ主義的な行為で処分を受けた[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 ブルックリン・ネッツの二枚看板の一人、カイリー・アービングは再びコートから遠ざかっている。昨年は新型コロナウイルスのワクチン接種を宗教上の理由で拒否した影響で、大半を欠場。そして、今回は反ユダヤ主義的な行為で厳重注意を受け、最低でも5試合の出場停止処分を受けたという。

 アービングは、反ユダヤ主義の映画作品のリンクを自身のSNSに投稿。その際具体的な表現こそなかったものの、インタビューで「反ユダヤの差別的思想があるか」と問われても明確に否定する返答をしなかったため、最終的には球団からペナルティが課せられた。

『The Athletic』によると、復帰の条件には謝罪、ヘイトと戦う組織から同意を得た上で総額50万ドル(約7300万円)の寄付、感受性訓練の完了、反ユダヤ主義および反ヘイトトレーニングの完了、名誉毀損防止同盟およびユダヤ人リーダーたちとの会合などが求められているという。

 もちろん、差別的思想や行いは容認されない。しかし、ジェイレン・ブラウン(ボストン・セルティックス)は、NBA選手会副会長の立場からアービングを擁護している。かつてセルティックスでともにプレーした経験のあるブラウンは、『Boston Globe』に対して以下のように語っている。

「僕はカイリー・アービングが反ユダヤ主義者だとは思いません。選手会のメンバーも同様です。確かに、彼は間違いを犯しました。我々はヘイトスピーチを容認せず、そのような声質をもつものを容認しないことが、いかに重要な考え方であるかを理解しています」

「我々はヘイトスピーチを非難しないために、誰かを擁護する気はありません。しかし、カイリー・アービングが反ユダヤ主義者だとも思いません。NBAも同じ気持ちでいてくれることを願っています」

ブラウンはかつての同僚を「反ユダヤ主義者だとは思わない」と擁護した[写真]=Getty Images


 また、ブラウンは現在のNBA団体交渉協約(CBA)にソーシャルメディアの投稿に関する罰則について明確なガイドラインが記されていないため、選手会はルールを疑問視している。

「口頭で差別的発言をすることと、何の説明もなしにソーシャルメディアにリンクを投稿することには違いがあるはずです。もちろん、違いはないと主張する人もいるでしょう。ただ、我々のCBAにはそれを定義する言語はなく、それらに対する規則もありません。皆が不明瞭な領域なのです」

「副会長として多くの選手にヒアリングをしましたが、彼の復帰条件については同意しかねます。まずはアービングとコミッショナーの会議の結果を待ちたいと思います」

 一部では引退の可能性も噂されたアービング。あの驚異的なハンドリングを再び見るために、正しい手法で問題が解決されることを願うばかりだ。

 文=Meiji

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