2022.12.04

渡邊雄太「1日の保証であろうと複数年契約であろうと、僕のプレーは変わりません」

ネッツで自己最高のシーズンを送る渡邊[写真]=Getty Images
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「僕がNBA選手になりたいと言っても、周りの人たちは『君にはできない』って感じでした。僕はそういった人たちの認識を変えたかった」

 12月4日。現地メディア『Hoops Hype』へ、ブルックリン・ネッツの渡邊雄太のロッカールームインタビューが公開された。

 渡邊は現在、右ハムストリングの張りのため7試合連続で欠場中。ネッツは1日(現地時間11月30日、日付は以下同)にベン・シモンズがヒザの裏を痛めたことで最低3試合の欠場、渡邊が少なくとももう1週間欠場することになると発表。

 チームは3日のトロント・ラプターズ戦を114-105で制して4連勝。この試合でTJ・ウォーレンがネッツデビューを飾って10得点4リバウンドをマークし、イースタン・カンファレンス6位の13勝11敗とし、プレーオフ進出圏内まで順位を上げている。

 今シーズンのNBAで、日本出身の選手は渡邊とワシントン・ウィザーズの八村塁の2選手。神奈川県の横須賀市生まれのキャム・トーマス(ネッツ)を入れても3選手のみ。ほんの数年前まで、日本人でNBA選手になったのは2004年にフェニックス・サンズで4試合に出場した田臥勇太宇都宮ブレックス)のみだった。

「自分たちの国の代表になれていることは、僕らにとって本当に重要だと思っています。僕が子どもの時、NBA選手になりたいと言っても、周りの人たちは『日本人でリーグ入りできたのは1人しかいない。だから不可能に近い。君にはできない』って感じでした。僕はそういった人たちの認識を変えたかった。日本人、それに彼らがどうしてそう考えてしまうのかを変えたかったんです。今ではもっと多くの人たちがNBAを見始めていると思っています。今、たくさんの子どもたちがNBA選手になることを目指し始めてくれたらいいなと思っています」

 そう語っていた渡邊は、ジョージ・ワシントン大学で4年間をプレー。2018年のドラフトで指名されることはなかったものの、ネッツの一員としてサマーリーグへ出場し、メンフィス・グリズリーズと2ウェイ契約を締結。NBAとGリーグチーム(メンフィス・ハッスル)でプレーして田臥に次ぐ日本人史上2人目のNBA選手に。

 グリズリーズで2シーズン所属すると、2020-21シーズンにはトロント・ラプターズでトレーニングキャンプからチャンスをつかみ、2ウェイ契約を結ぶと、2021年4月には初の本契約を締結。

 キャリア4年目を終えた渡邊は、今夏に無保証契約でネッツ入りし、トレーニングキャンプ、プレシーズンゲームを経てサバイバルレースを勝ち抜き、開幕ロスターへ名を連ねた。

日本人として歴代最長のNBAキャリア5年目をプレーする渡邊[写真]=Getty Images

 今シーズンはケガなどもあって24試合のうち10試合を欠場しているとはいえ、14試合で平均18.2分8.1得点2.9リバウンド、フィールドゴール成功率60.9パーセント、そしてリーグトップの3ポイントシュート成功率57.1パーセント(平均1.7本成功)を残している。

 これには渡邊自身も「クレイジーですね。自分がシュートできるとは知られていましたが、57パーセントですよ? そんなの不可能ですよ」と驚きを隠せなかった。だが同時に「この数字をずっと保てるとは期待していませんが、自信を持って打ち続けていきます。僕はKD(ケビン・デュラント)、ベン(シモンズ)、カイリー(アービング)がいることでいいシュートを打てています。こうしたすごい選手たちと一緒にプレーしているんです。彼らはいつもダブルチームされるので、僕がいつもオープンになるんです。それに僕の仕事は、ワイドオープンのショットを決め切ることです」とも話していた。

 グリズリーズ、ラプターズ、ネッツの一員としてプレーしてきた渡邊は、これまでのキャリアでベストなことについて聞かれると、今シーズンから加入したネッツを挙げていた。

「僕は今、間違いなくこの瞬間を楽しむことができています。ケガをする前、多くの出場時間をプレーしていましたし、クラッチタイムでもプレーしてショットも決めていました。チームメートたちをハッピーにし、勝利を決めるプレーもしてきました。タフな状況も経験してきましたが、ここにいるために必要なことだったんです。諦めなくて良かったです」

 28歳の渡邊は、NBAでは若手とは言えない年齢であり、入れ替わりが激しいリーグでこれから先も生き残りをかけて戦い抜いていくこととなる。それでも、自身の将来を聞かれると、謙虚さとともに変えられないことについて口にしていた。

「未来に何が起こるかなんて分かりません。けど自分の契約がたった1日の保証であろうと複数年契約であろうと、僕のプレーが変わることはありません。僕は常にハイレベルな強度を持ち込んで、一生懸命プレーしていきます。僕はいつだってNBAで最後の日になるかもしれないという気持ちでプレーしています。これは決して当たり前のことではないですし、永遠に続くことでもありません。無保証であろうと保証されていようと、僕のプレーは変わりません」

 NBAという世界最高のプロバスケットボールリーグで、日本人として歴代最長となる5シーズン目をプレーする渡邊。今はハムストリングのケガのため欠場しているとはいえ、復帰後は再び攻防両面で献身的なプレーをしてネッツを助けてくれるに違いない。

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