2022.12.30

来季ドラ1候補のウェンバンヤマ、 NBA球団のタンクに疑問「馬鹿げた戦略」

来年のドラフトで1位指名が確実視されているビクター・ウェンバンヤマ[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 NBAは来シーズン、史上最も期待されているであろう才能の塊、ビクター・ウェンバンヤマを迎え入れる。

 同選手はNBA入り前にもかかわらず、すでに世代を超えた才能と評価されている。219センチ、ウイングスパン244センチという恵体を授かった19歳は、フランスのプロリーグ・LNBのメトロポリタンズ92に所属。先日は同リーグのオールスターゲームで27得点12リバウンド4アシストのダブルダブルを達成した。ビッグマンとは思えない卓越したスキルセットには、思わず解説陣も脱帽するばかりだった。

 今年10月にはラスベガスでGリーグイグナイトと対戦。トップリーグ入りが有望とされている同世代の実力派との対峙したが、同選手はそこでも遺憾なく実力を発揮し、ゲーム1で38得点4リバウンド5ブロック、ゲーム2で36得点11リバウンド4アシスト1ブロックのスタッツをマークしている。

 これには、あのレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)も「彼は異質だ。俺もあんな選手は見たことない」と賛辞を惜しまず、ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)に至っては「2Kで作った選手のようだね。凄まじかった」と次元の違いに目を丸くしている。

 NBA球団は、勢力図を塗り替えるほどのポテンシャルを有するウェンバンヤマの獲得を熱望している。メディアはドラフトの1位指名権獲得の可能性を少しでも高めるべく、最下位を争うタンク合戦が繰り広げられる可能性を指摘。そして、NBAはこの“ウェンバンヤマ現象”による競争力の低下を危惧して、Gリーグへの降格を含むペナルティを検討している。

 しかし、当の本人はバスケットボールにひたすら集中している。『Le Parisien』からのインタビューで、NBAの球団が自身の獲得のためにタンクすることについて意見を求められると、そのアプローチを一刀両断した。

「タンキング? 馬鹿げた戦略ですね。合理的ではないと感じるので、それについては考えないようにしています。NBAがルール変更を検討しているとも聞きましたが、僕には関係のないことです」

 果たして、ウェンバンヤマはどの球団から指名を受けることになるのだろうか。フロントは運気を高めるためなら、いかなる努力も惜しまないことだろう。

 文=Meiji

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