2023.01.27

レイカーとなった八村塁が無事デビュー…「今日はずっとワクワク感がありました」

レイカーズのユニフォームに袖を通し、ホームアリーナデビューを果たした八村 [写真]=Getty Images
ロサンゼルス在住。1995年に渡米、現在は通信社の通信員として、MLB、NBAを中心に取材を行っている。

 ワシントン・ウィザーズからロサンゼルス・レイカーズに移籍した八村塁が25日、レイカーズの本拠地クリプトドットコム・アリーナでのサンアントニオ・スパーズ戦でデビューを飾った。ベンチから21分31秒の出場で12得点6リバウンド1アシスト1スティールとチームの勝利に貢献し、「うれしかったです。歓声も良かった」と笑顔を見せた。

 2日前にトレードが成立し、ロサンゼルスに移動。メディカルチェックを済ませ、「コーチに会ったり、スタッフに会ったり、展開がすごく早かった。チームメートにも会って、僕もレイカーズの一員なんだと思ってきました」と話していたのが約24時間前。「夢の中にいるような感じ」と心境を語っていた八村は、自らの誕生日2月8日からとった「28番」のユニフォームを身に着け、コートに立った。

 右足のストレス損傷で昨年の12月18日から欠場していたレイカーズのスター、アンソニー・デイビスと第1クォーター残り4分22秒にコートイン。場内アナウンスで名前が呼ばれると観客からスタンディングオベーションで迎えられた。「あれADだったと思うんですけど」と苦笑いを見せたが、「でもうれしかったですね。名前を呼ばれたときにもそういう歓声があったりして。2日前まではウィザーズにいたので、僕としてもあまり現実味がないんですけど、こうやってプレーができてすごくうれしいです」と素直に喜んだ。

 レイカーズのメンバーとして、初めての得点のチャンスが訪れたのはフリースロー2本を決めた残り3分8秒。残り1分11秒には、フロアに倒れ込みながらスティールも奪った。初のフィールドゴール成功は、第2クォーター残り8分。得意とするミドルレンジからのプルアップショットを沈めた。そして約2分後には、速攻でレブロン・ジェームズからのワンバウンドパスを受けてレイアップシュートを決めた。

 八村は前半を6得点2リバウンド1スティ―ルで終え、レイカーズはスパーズに10点差まで離されながら53-54で折り返した。第3クォーターには一時逆転もしたが、再び追う立場となって第4クォーターを迎えた。

 そこで立ち上がったのが、レイカーズの“ニューフェイス”。「(試合に入ったときは)ワクワクしました。今日はずっとワクワク感がありました」と言う八村は、開始から約1分、スリーポイントライン前に走り込んだところでデニス・シュルーダーからのパスを受け、初のスリーポイントを成功。さらに1点を追う残り8分33秒には、ディフェンスリバウンドからボールを運び、ドライブと見せかけて右ウィングにいたジェームズの逆転スリーポイントをアシストした。

 これを機にチームはリードを広げ、八村が残り5分53秒にターンアラウンドからのフェイドアウェイジャンパーを決めて10点差。さらに残り5分12秒にフリースロー1本を決めて12点リードとし、前日ロサンゼルス・クリッパーズに完敗して沈んでいたスタンドに熱気をもたらした。

「あのときはエナジーもあったし、チームのディフェンスがすごく良かった。トランジッションで簡単に得点することができました」と八村。ジェームズ、デービス、ラッセル・ウェストブルックというスターたちとのプレーについて、「リーグのトップにいる3人と一緒にプレーできるなんて考えられない。まだ1試合をプレーしただけですけど、彼らとプレーするのは好きです。ディフェンダーを引き付けてくれるので簡単に得点することができます」と話し、「僕は速い展開のバスケが好きで、レイカーズも速い展開のバスケをします。誰もがボールをプッシュできるし、僕もプッシュできます」と新チームでのプレーも気に入っている。

 デビュー戦の活躍の裏には、1シーズンをともにしたウィザーズ時代に多くを学んだウェストブルックの存在があった。前日「まず塁は人間として素晴らしい。そして才能に溢れていて、どこにでもフィットできる。(ワシントン)DCで僕らは仲が良かった。また一緒にプレーできることになってうれしい」と話していたウェストブルックと試合開始前、ウィザーズ時代のスターター紹介のときに二人でやっていた手を合わせておじぎをする仕草をベンチ前でやった。試合前にはウェストブルックから「いつも通り、前もやっていた通り(にプレーすればばいい)と一言だけ言われた」そうで、「安心してプレーできました」と自分を見失うことなくプレーできたことに感謝した。

 同じくウィザーズ時代にチームメートだったトーマス・ブライアントも「塁とはコート外でも仲が良かったから、来てくれてうれしい。彼がすぐにチームに溶け込めるように(もう一人の元チームメート)トロイ(・ブラウンJr.)といくらでも助ける」と話すなど、こちらも力強い。

 八村はこの試合のあと、レイカーズのジャケットを着た自らの写真に“New Chapter…(新たな章)”というメッセージを添えてSNSに投稿した。


「ロサンゼルスがホームになるということがすごくうれしいですし、すごく楽しみです」。チームに合流したとき、そう言っていた

 まだ4年目の24歳。大都市の伝統ある人気チームに身を置き、前進していく姿をしっかり見守りたい。

文=山脇明子

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