2023.03.29

MVP筆頭候補のエンビード「大切なのは勝つこと。俺はそのことにフォーカスしてきた」

今季もリーグトップの平均得点を記録するエンビード[写真]=Getty Images
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「もしMVPを勝ち取れば、それはいいこと。そうでなくても俺は別に構わない」

 3月28日(現地時間27日、日付は以下同)。フィラデルフィア・セブンティシクサーズのジョエル・エンビードの記事が『The Athletic』へ公開された。

 カメルーン出身のエンビードは、213センチ127キロの巨体を誇るリーグ最高級のビッグマン。ペイントエリアで支配的なパフォーマンスを見せるだけでなく、ペリメーターからもドライブやジャンパーを駆使して得点を量産でき、3ポイントシュートも難なく決めることができる。また、ジェームズ・ハーデンとのピック&ロールや、フリースローライン付近でボールをもらってから相手チームを攻め立てる男は、フリースローを高確率で沈めることも可能。

 今シーズンここまでリーグトップの平均33.3得点に10.2リバウンド4.2アシスト1.1スティール1.7ブロックに加え、フィールドゴール成功率54.5パーセント、フリースロー成功率85.6パーセントを残しており、2シーズン連続で得点王に輝く可能性が高い。

 ここ2シーズン、エンビードはMVP投票でニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)に次ぐ投票数を獲得しており、25日に『NBA.com』へ公開された最新版のMVP候補ランキングでは堂々1位にランクインしている。

エンビードはドライブも難なくこなし、敵陣を突破する[写真]=Getty Images

 もっとも、エンビード自身はキャリア初のMVP獲得を重視しているわけではない。「大切なのは勝つこと。勝利することだ。俺はそのことにフォーカスしてきた。俺たちは勝つためにやっているんだ。もし俺がMVPを勝ち取れば、それはいいこと。そうでなくても、俺は別に構わない」

 その一方で、スポーツライターと放送関係者たちの投票によって選出されるMVPの判断基準について、エンビードは持論を展開していた。

「判断基準が変わっている。過去3年間について話すなら、最初の年(2021年)は俺が十分な試合に出場できなかった(51試合)。昨年はというと、俺は復帰して十分な試合(68試合)に出場していたし、スコアリングでリーグをリードしていた。けどニコラが勝ち取った。彼はウェスト6位で勝ち取ったんだ。じゃあ今年はというと、俺はスコアリングでリーグをリードしていて、ディフェンス面でもやっている。…俺はオールディフェンシブチーム入りもすべきなんだ」

 今シーズン、ヨキッチはここまで平均24.9得点11.9リバウンド9.9アシストという“平均トリプルダブル級”の数字に加え、1.2スティール、フィールドゴール成功率63.4パーセントを残しており、ナゲッツは51勝24敗でウェスタン・カンファレンス首位という好位置にいる。

 一方、シクサーズはイースタン・カンファレンス3位の49勝26敗を誇っており、エンビードはレギュラーシーズンが終盤へ差し掛かろうとするなかでMVP候補ランキングのトップにいることから、“3度目の正直”でMVPを受賞する可能性があるのは間違いない。

「俺は気にしてはいない。だが毎年何かがある」とも話していただけに、エンビードとしてはMVPの選出基準に疑問を抱いているということなのだろう。

 ただ、シーズン終了後のMVP投票で影響を及ぼしそうな不安要素もある。エンビードは28日のナゲッツ戦を右ふくらはぎの痛みにより欠場。これで今シーズン14試合目の欠場となった。『ESPN』によると、これまでにシーズンMVPに選ばれた選手たちのうち、14試合以上を欠場したのは1977-78シーズンのビル・ウォルトン(元ポートランド・トレイルブレイザーズほか)のみ。このシーズン、ウォルトンは平均18.9得点13.2リバウンド5.0アシスト1.0スティール2.5ブロックを記録も、出場は58試合のみで、計24試合も欠場していた。

 エンビードにもまだまだチャンスがあるとはいえ、過去のケースを考慮すると、もしMVP獲得を最大の目標とするならば、ここから先はなるべく欠場せずにプレーするべきなのかもしれない。

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