2023.03.31

常識を逸脱した金額を稼ぐ高校生……ブロニー・ジェームズのNIL契約の年間評価額はいくら?

高校生でプロ顔負けの稼ぎを挙げているブロニー[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 レブロン・ジェームズの息子、ブロニー・ジェームズは、その圧倒的な知名度と影響力により、NIL契約で高校生の常識を逸脱した金額を稼いでいる。

 そして『On3』が算出したデータによれば、ブロニーは大学生を含むNIL契約ランキングで頂点に君臨しており、その年間評価額は720万ドル(約9億6000万円)にもおよぶという。

 大前提として、日本ではあまり馴染みのないNIL契約について簡単に補足しておきたい。

「NIL」とは、“Name=氏名”、“Image=写真や映像”、“Likeness=肖像”の頭文字を取った略称である。

 NCAA(全米大学体育協会)は、これまで学生アスリートのビジネスを禁止し、選手にはアマチュアとしての立場を強要してきた。一方で、プロスポーツ顔負けの人気を誇るNCAAは、巨額の放映権やスポンサー契約を締結しており、その年間収入は1000億円にもおよぶとも言われている。

 このように、学生アスリートにはプロ顔負けの対応や生活が求められるなか、協会から選手に対しては還元がされない状況が長年議論の対象となり、ドレイモンド・グリーンベン・シモンズもNCAAを激しく糾弾してきた。そして、一部選手からは訴訟が提起され、裁判所は一部の事例において、NCAAの対応が反トラスト法に違反しているという判決を下している。

 NILは、このような不平等性の解消を目的に、カリフォルニア州から法整備が始まり、現在一部の州では学生アスリートが自身の氏名や肖像権を使用してビジネスをすることが容認されている。それにともない、NCAAもポリシーの変更を余儀なくされ、学生アスリートは代理人契約が許可されたほか、その影響力を駆使してさまざまな企業の広告塔となっている。

 体操選手のオリヴィア・ダン、アメリカンフットボールのトッププロスペクトであるアーチ・マニングなど、アメリカにはスポーツ界の未来を担うであろう学生スターが多数存在するが、2位以下の評価を受ける彼らでもブロニーのNIL評価には遠く及ばない。参考までに、ブロニーと同学年で同ランキング4位に格付けされたマイキー・ウィリアムズのNIL評価額が330万ドル(約4億4000万円)であることを踏まえると、いかにブロニーが突出しているかがお分かりいただけるのではないだろうか。

 ブロニーはInstagramに700万人、TikTokに570万人のフォロワーを抱えており、その影響力はアメリカ国内に留まらない。契約先もスポーツブランド最大手の「ナイキ」に加えて、ヘッドフォンメーカーの「ビーツ・バイ・ドクタードレ」、アスリートフレンドリーなアンダーウェアに定評のある「PSDアンダーウェア」というトップブランドばかり。今後は大学(またはプロ)に進み、積極的なゲーム配信なども有名なことから、新契約が発表される未来は容易に想像がつく。

 日本でも高校野球や駅伝など、国民的な学生スポーツは少なくなく、バスケットボールでも八村塁や富永啓生のように、高校時代からプロに負けじと劣らない注目を集める選手が現れている。将来的には日本でも、NIL契約の議論が活発化するかもしれない。

文=Meiji

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