2023.04.30

POで激闘を演じてきたニックスとヒート…当時ACだった両チームの指揮官の思いとは?

左からヒートのモーニング、ニックスのジョンソン、スタークス[写真]=Getty Images
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1997年から2000年まで、4年連続プレーオフで激突したニックスとヒート

 4月16日(現地時間15日、日付は以下同)に「NBAプレーオフ2023」がスタートし、イースタン・カンファレンスはファーストラウンド全4カードの決着がついた。

 カンファレンス・セミファイナルの対戦カードは、第2シードのボストン・セルティックスと第3シードのフィラデルフィア・セブンティシクサーズ。そして第4シードのクリーブランド・キャバリアーズを4勝1敗で下した第5シードのニューヨーク・ニックスと、第1シードのミルウォーキー・バックスを4勝1敗で撃破した第8シードのマイアミ・ヒート。

 今シーズンで創設77シーズン目のニックスと、35シーズン目のヒートがプレーオフで激突するのは2012年以来、通算6度目。そのうち1997年から2000年まで、実に4年連続で戦い、いずれもシリーズ最終戦までもつれる大激戦となった。

 両チームがこれまでプレーオフで繰り広げてきた激闘を語るうえで、欠かせないのが現在ヒートの球団社長を務めるパット・ライリー。指揮官として1980年代にロサンゼルス・レイカーズで計4度の優勝を飾った名将は、1991-92シーズンからニックスのヘッドコーチ(HC)へ就任。

ニックスとヒートによる因縁対決の引き金とも言われるライリー[写真]=Getty Images

 パトリック・ユーイングやチャールズ・オークリー、ジョン・スタークス(いずれも元ニックスほか)らを擁し、タフでフィジカルなディフェンシブチームを作り上げ、1994年のプレーオフではイーストを制してNBAファイナル進出。アキーム・オラジュワン率いるヒューストン・ロケッツ相手に3勝2敗と王手をかけるも、第6、7戦を落として優勝を逃した。

 するとライリーは1994-95シーズン終了後にニックスの指揮官を辞任。その後1995年9月にヒートの球団社長兼HCへ就任したのである。その後、指揮官としてヒートを率いてきた。

 一方のニックスは、ライリー辞任後にドン・ネルソンが後任となるも、1995-96シーズン途中に解任され、ライリーの下でアシスタントコーチ(AC)を務めてきたジェフ・バン・ガンディがHCへ就任し、師匠ライリーと4年連続でプレーオフという大舞台で激突したのである。

 ニックスとヒートがこれまでプレーオフで対戦してきた戦績は下記のとおり。
※1998、1999年のファーストラウンドは3戦先勝

ニックスとヒートが繰り広げてきたプレーオフの激闘

■1997年カンファレンス・セミファイナル:4勝3敗でヒート勝利
ニックスの3勝1敗で迎えた第5戦。フリースローの場面でヒートのPJ・ブラウンとニックスのチャーリー・ウォードがベースラインで乱闘となり、周囲の選手たちだけでなくベンチにいた選手たちもコートへ出てしまい、ニックスはその試合を落としただけでなく、第6、7戦で主要選手が出場停止処分となり、ヒートが3連勝で制した。

■1998年ファーストラウンド:3勝2敗でニックス勝利
第2シードのヒートと第7シードのニックスによるマッチアップは、2勝1敗で王手をかけたヒートが第4戦でシリーズ決着を狙うも、試合終盤にヒートのアロンゾ・モーニングとニックスのラリー・ジョンソンが乱闘を展開。シャーロット・ホーネッツ時代にはチームメートでもあった両選手は第5戦が出場停止となり、大黒柱を失ったヒートが敗れた。

■1999年ファーストラウンド:3勝2敗でニックス勝利
ヒートは第1シード、ニックスは第8シードと、対照的な戦績だったものの、シリーズは最終第5戦までもつれ、最後はアラン・ヒューストンの劇的なフローターがリングをくぐり抜け、ニックスが当時NBA史上2度目となる第8シードによるアップセットを達成。

ニックスで得点源として活躍したヒューストン[写真]=Getty Images

■2000年カンファレンス・セミファイナル:4勝3敗でニックス勝利
2勝2敗で迎えた第5戦をヒートが制して王手をかけるも、ニックスが第6戦を2点差、第7戦を1点差で制してシリーズ勝利。7試合がいずれも8点差以内の決着という接戦のなか、ラトレル・スプリーウェル、ヒューストン擁するニックスが勝ち切った。

■2012年ファーストラウンド:4勝1敗でヒート勝利
レブロン・ジェームズ(現レイカーズ)とドウェイン・ウェイドを中心とした布陣でその年に優勝したヒートが3連勝で一気に王手。第4戦でカーメロ・アンソニー(現無所属)が41得点を奪ってニックスが一矢報いるも、ホームに戻ったヒートが第5戦を制した。

1990年代後半にAC、現在は指揮官を務めるシボドーとスポールストラ

 現在ニックスで指揮を執るトム・シボドーHCは、1996-97から2002-03シーズンまでニックスでAC、ヒートのエリック・スポールストラHCは1997-98シーズンからヒートのACを務め、ヒートの指揮官になって今シーズンで15年目。

現在ニックスで指揮を執るシボドー(手前)、ヒートの指揮官スポールストラ(奥)[写真]=Getty Images

 当時のことを知るシボドーHCは「最高じゃないか。選手たちは若すぎるから、彼らのうち数人は(あの当時)おそらくまだ生まれてもいなかった。だがあの歴史の一部になっていた人たちからすれば楽しいものだ。激しい競争が大好きならば、あれがすべてだ」と『ESPN』へ話しており、スポールストラHCも「ヒートとニックスによるプレーオフのシリーズは、いつだってリーグにとっていいことだ」と『Palm Beach Post』へ語っていた。

 1997年から2000年にかけて、4年連続でプレーオフを競い合ってきた両チームによる今年のカンファレンス・セミファイナルは、5月1日にニックスのホーム、マディソン・スクエア・ガーデンで幕を開けることとなる。

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