2023.05.08

渡邊雄太が文化や社会に影響を及ぼしたアジア太平洋の100人「A100」に選出

ネッツで飛躍のNBA5年目を過ごした渡邊雄太 [写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 渡邊雄太(ブルックリン・ネッツ)のNBA5年目は、実りあるシーズンとなった。トレーニングキャンプからネッツと無保証契約を結んだ渡邊は自らの手でロスター入りを勝ち取ると、3ポイントシュートとディフェンスを武器とした“3&D”として常に全力投球。一時は3ポイント成功率でリーグ1位に君臨し、オールスターのコンテスト出場も噂されるなど、リーグでも大きなサプライズとして話題を呼んだ。1試合平均16分出場、5.6得点、3ポイント成功率44.4パーセントはいずれもキャリアハイの成績となった。

 勝利への貢献度を示すウィン・シェアも、セカンドユニットではトップクラスの「2.1」を記録。選手として大きく前進した今シーズンには充実と手応えを感じた様子で、シーズン終了後には「間違いなくベストシーズン。大きく成長できたと感じられ、中身の濃い、いいシーズンだったと思う」とコメントした。

 アジア圏の主要な文化的エコシステムを形成するプラットフォーム『ゴールドハウス』は、アメリカ東海岸でセンセーショナルな存在となった渡邊を、文化と社会に最大の影響を与えたアジア太平洋地域のリーダー100人「A100」に選出した。

「A100」は毎年、クリエイティブやビジネスといった業界の垣根を超えて、アジア太平洋地域出身のフロントマンたちが文化の最前線にいることを証明すると同時に、それぞれのバックボーンやストーリーを紹介することで、新たな機会を創出してきた。殿堂入りには多大な貢献で知られる各界のリーダーたちとともに、マイアミ・ヒートを率いるエリック・スポールストラヘッドコーチや、“リンサニティー”の愛称で知られるジェレミー・リンも名を連ねた。

 2022年のアジア太平洋地域はエンターテインメント、ビジネスともに大きなハイライトを作った。映画監督ユニットのダニエルズが監督を務めた『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は、第95回アカデミー賞において作品賞や監督賞を含む7部門を受賞。また、経済誌『Forbes』が公開している世界投資家ランキングでは、同地域の投資家が上位41パーセントを占めたという。

 渡邊の活躍は、そんな名誉あるアジアンアワードの審査員の下にも届いていたようだ。「A100」は渡邊に「ブルックリン・ネッツに所属する日本のプロバスケットボール選手」との肩書きをつけ、「NCAA(全米大学体育協会)ディビジョン1で奨学金を獲得した最初の日本人選手であり、2018年にはアトランティック10・ディフェンシブ・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーに選出された」と、現在地に到達するまでのヒストリーを紹介。また、その説明では、出身校の尽誠学園高校や「2013年東アジアバスケットボール選手権」の銅メダリストであることにも言及された。

 なお、2023年の「A100」には「ワールド・ベースボール・クラシック」で日本を優勝に導いた大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)のほか、主要ゲーム賞を総なめにした『エルデンリング』の生みの親である宮崎英高氏や、日本生まれイギリス育ちのポップシンガーとして注目を浴びるリナ・サワヤマさんなどが日本から選出された。

 来シーズンも今シーズン以上のインパクトを残せれば、2024年のリストでも再び渡邊の名前を目にすることだろう。

文=Meiji

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