2023.05.24

「すごく楽しかった」…レイカーズで今季を終えた八村塁「人生で最高の時間の1つ」

NBAキャリア4年目を終えた八村[写真]=Getty Images
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3月下旬に味わったキャリア初の“DNP”を機に飛躍 
「僕に休みをくれたんだと思います」とジョークも

 ロサンゼルス・レイカーズが5月23日(現地時間22日、日付は以下同)にホームのクリプトドットコム・アリーナで行われた「NBAプレーオフ2023」のウェスタン・カンファレンス・ファイナル第4戦でデンバー・ナゲッツに111-113で敗れたことで、八村塁のNBA4シーズン目が終わった。

 レイカーズはウェスト7位の43勝39敗でレギュラーシーズンを終え、ミネソタ・ティンバーウルブズとのプレーイン・ゲームを制して第7シードを勝ち取ると、ファーストラウンドで第2シードのメンフィス・グリズリーズ、カンファレンス・セミファイナルで第6シードのゴールデンステイト・ウォリアーズをそれぞれ6戦で撃破。

 カンファレンス決勝では4連敗のスウィープになったとはいえ、八村はこのシリーズでいずれもチーム4位となる平均33.5分15.3得点に3.8リバウンド、フィールドゴール成功率53.3パーセント、3ポイントシュート成功率33.3パーセント、フリースロー10本をノーミスで決めてみせた。

 ワシントン・ウィザーズ在籍時の2021年にプレーオフへ初出場し、フィラデルフィア・セブンティシクサーズとのファーストラウンドでシリーズ平均34.6分14.8得点7.2リバウンド1.0アシストにフィールドゴール成功率61.7パーセント、3ポイントシュート成功率60.0パーセントを残したとはいえ、この年は1勝4敗で敗れていた。

 だがレイカーズで迎えた自身2度目のプレーオフではカンファレンス決勝まで駒を進めて、計16試合の出場で平均24.3分12.2得点3.6リバウンドにフィールドゴール成功率55.7パーセント、3ポイントシュート成功率48.7パーセントをマーク。今シーズン最終戦となったナゲッツとのシリーズ第4戦では先発起用され、レブロン・ジェームズ(47分56秒)に次ぐチーム2位の41分56秒プレーしてドライブから強烈なダンク炸裂を含む10得点7リバウンドをマーク。

 この試合ではニコラ・ヨキッチにマッチアップしつつ、リング下ではマイケル・ポーターJr.のブロックに遭うなどナゲッツが誇るフロントラインの前にフィールドゴール成功率25.0パーセント(3/12)、3ポイントシュート3本すべて落とすなどシュートタッチに苦しんだが、“パープル&ゴールド”のユニフォームを身にまとった男はチームへ貢献しようと奮戦。

ナゲッツのフロントラインへ果敢に向かっていった八村[写真]=Getty Images

 翌24日。レイカーズはシーズン終了会見を行ない、八村は今年1月下旬にトレードで移籍してからの約4カ月間を「僕の人生のなかでも最高の時間の1つ」と口にし、このように振り返っていた。

「今からほんの3、4カ月前、僕は東海岸にある違うチーム(ウィザーズ)にいました。それが突然LAにある、NBAで最も有名なチームの1つであるここへやってきました。そこでびっくりするほどの快進撃を見せました。

 僕がここに来た時、僕らはプレーオフにさえ進出しないだろうと思いました。プレーオフチームとなる前、僕らは数多くのトレードを成立し、試合に勝ち始めました。そして今、僕らはウェスタン・カンファレンス・ファイナルまでたどり着きました。

 僕としては、最高の瞬間の1つでした。いい経験ができたと思っています。ここに来てから、ブロン(レブロンの愛称)やAD(アンソニー・デイビス)、コーチたちからたくさん学びました。まるで2、3シーズンを過ごしたように感じます」

 レイカーズへ加入後、八村は何もかもが順調だったわけではない。デビュー戦で12得点を奪い、3戦目からスターター起用されるなど2ケタ得点を連発も、2月中旬からベンチスタートとなり、3月27日のシカゴ・ブルズ戦では出番なしを経験。

 出場できなかったブルズ戦について聞かれると、八村は「僕に休みをくれたんだと思います。彼ら(コーチ陣)がちょっとリラックスするためにオフを与えたんです。あれがあったから、向上できたようなものです」とジョークで記者を笑わせ、当時の心境をこう明かしていた。

「あれは彼らのプランでした。いいプランだったと思います。でもこれまでの人生でそういうことはありませんでしたし、キャリアを通してDNP(Did Not Play/出場選手登録されるもプレーできないこと)はなかったので、本当につらかったです。

 そこで僕はフィル(ハンディ/アシスタントコーチ)と話しましたし、ほかのチームメートたちや僕のチーム、エージェントたちとも話しました。それで彼らは僕へ準備しておけと言い続けてくれました。重要な試合に向けて準備しておくんだ、彼ら(レイカーズ)は大事な試合で僕のことを必要としてくれる、だからそれに備えておくんだ、と言ってくれたんです。

 僕のマインドセットはプレーオフのような大事な試合を意識していました。そして練習を続けていたんです。いいレッスンになりました。これもNBAのうちで、ビジネスでもあります。なのでこういう時にはどうすべきかを理解できたような気がしています」

八村はプレーオフで3ポイント成功率4割超えを残した[写真]=Getty Images

今夏にNBAキャリア初のFA戦線を迎える八村
「たくさんのことを学べましたので、この機会にお礼を言いたい」

 ウェスト決勝で敗れたレイカーズは、オフにロスターを再び整えていくことになる。というのも、このチームで来シーズンも契約下にいるのはレブロン、デイビス、モー・バンバ、マックス・クリスティ、シャキール・ハリソンのみ。

 ディアンジェロ・ラッセルロニー・ウォーカー四世デニス・シュルーダーといった選手たちが制限なしフリーエージェント(FA)になるほか、八村とオースティン・リーブスが制限付きFAとなるからだ。キャリア初のFAとなる八村はこう話していた。

「すごく楽しかったです。ブロン、AD、コーチたち、それにこの組織でたくさんのことを学べましたので、この機会を与えてくれたことにお礼を言いたいです。僕にはいい関係を築けているエージェントたちがいます。彼らがいてくれて、本当にありがたいです。僕らはチームであり、いつも一緒にいい決断をしています。今の時点ではまだ何も言えませんが、彼らと慎重に話し合って、これからどうしていくかを決めていきます」

 NBAキャリア4年目を終えた八村は、今夏に「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」も控えているため、出場するかどうか、そしてFA戦線の動向でも注目を浴びることだろう。

 今シーズンに体験し、学んだ多くのことを胸に、日本の至宝にはバスケットボール選手として成長を続けていってほしい限りだ。

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