2023.05.31

アメリカ代表が即戦力2人の招集に関心…伊との二重国籍を持つバンケロ、仏と関わり深いエンビードがW杯参戦か

アメリカ代表のディレクターがパオロ・バンケロとジョエル・エンビードの招集に言及 [写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 デンバー・ナゲッツとマイアミ・ヒートの「NBAファイナル2023」に決着がつくと、次に待ち受けるビッグイベントは4年に一度の祭典「FIBA バスケットボール ワールドカップ2023」だ。本大会は日本も開催地となり、“AKATSUKI JAPAN”こと男子日本代表(FIBAランキング36位)はドイツ代表(同11位)、フィンランド代表(同24位)、オーストラリア代表(同3位)と同じグループEから決勝ラウンド進出を目指す。

 スター軍団を携えるアメリカ代表(現同2位)は、常に国際大会の優勝最有力候補に挙げられる。しかし、中国で開催された前回大会では、準々決勝でフランス代表(現同5位)に黒星を喫し、7位でフィニッシュ。三連覇を阻止された苦い経験からも、本大会では優勝が絶対条件とされている。

 チームUSAのディレクターを務めるグラント・ヒル氏は選手選考の真っ只中だろう。そのヒル氏は最近、イタリア紙『ラ・ガゼッタ・デッロ・スポルト』のインタビューに応じ、今後の計画について詳細を語った。

前回大会は悔しい結果に終わったアメリカ代表 [写真]=FIBA

 言及された内容で最も注目を集めたのは、新人王のパオロ・バンケロ(オーランド・マジック)と、シーズンMVPを獲得したジョエル・エンビード(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)の招集についてだった。

 ルーキー離れした完成度で、満票でのオールルーキーチームにも選出されたバンケロ。マジックで背番号5を背負うスモールフォワードは、1試合平均20.0得点6.9リバウンド3.7アシストのスタッツを残し、球団の未来として今後のさらなる成長が期待されている。

 バンケロは、アメリカとイタリアの両国籍を所有するが、昨年、チームメートだったRJ・ハンプトン(現デトロイト ピストンズ)のポッドキャストに出演した際に「イタリア代表でのプレーを検討している。彼らからの愛はすさまじい。イタリアに行くのが待ちきれない」と語っていた。だが、ヒル氏はバンケロとの未来を前向きに見据えている。

「パオロには並外れた才能があり、すでにリーグのトッププレーヤーと認識されています。確かに、彼は我々がワールドカップに向けて、そしてチームUSAの未来を築くために追いかけている選手のうちの1人です」

「彼に別の選択肢があることは承知しています。しかし、我々はともにプレーするチャンスを楽観視しています。私は彼の近しい人間と何度も話しをしましたが、お互いが関心を抱いている状況です。我々は今後数年間、彼に代表チームの一員になってほしいと思っています。もしかすると、それがワールドカップからになるかもしれません」

 一方のエンビードは、アメリカのパスポートを取得しながらも、家族が暮らすフランスでの代表入りにも関心を示していた。未だ代表経験がなく、本人も明確なコメントは避けていることから、ワールドカップの選択には大きな注目が集まっている。

 しかし、ヒル氏はシクサーズのエースにもともにプレーする期待を抱く。

「私はジョエルのことを何年も前から知っていますが、彼は非常にクレバーで、ケタ違いの才能を持った選手です。そのジョエルにさえ、複数の選択肢があります。もし彼が我々と一緒にいることを選んでくれたらうれしいですね。彼に少し時間を与えて、何が起こるか見守りましょう」

 優勝候補の一角に挙げられるフランス代表にエンビードが加われば、他国への脅威は計り知れないものとなる。

 最後に、ヒル氏は国際大会の難しさを強調し、以下のように締めくくった。

「ワールドカップは非常に厳しい大会です。我々はどの国も過小評価することはありません。確実に言えることは、国際試合は予測不能であり、我々はFIBAの舞台に適応する準備が必要不可欠ということです」

文=Meiji

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