2021.04.21

実力はプレーで証明、NCAAトーナメントで評価を高めた5選手をピックアップ

『theScore』がNCAAトーナメントで評価を高めた5選手をピックアップ[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 ベイラー大学の初優勝で幕を閉じたNCAAトーナメント、通称“マーチ・マッドネス”。最近は続々と有望株がNBA挑戦を表明し、ドラフト5位以内の指名が確実視されているエバン・モブリー(南カリフォルニア大学)に至っては、自身のアーリエントリーをNFT(非代替性トークン)としてデジタルオークションに出品したことが話題となった。

 NCAAトーナメントは、全米の強豪がしのぎを削ることもあり、選手の真の実力が試される。そのため、鳴り物入りで大学入りしたフレッシュマンが株価を落とすこともあれば、逆に今シーズンスターターを勝ち取ったばかりのニューカマーが一躍モックドラフトの上位にランクアップすることもある。

 トロントを本拠地とする大手スポーツメディア『theScore』は、今年のNCAAトーナメントで評価を高めた選手5名をピックアップ。来年、NBAのコートで存在感を示す可能性もあるだけに、名前を覚えておいて損はないだろう。

デイビオン・ミッチェル(ベイラー大学)

[写真]=Getty Images


 優勝校の4年生ガード、デイビオン・ミッチェルは、2021年にネームバリューを高めた選手の代表格だ。身長は182センチとNBAで戦うには決して恵まれた体格とは言えないものの、今シーズンのベイラー大学名物である3ガードの1枚として、チームの司令塔を務めた。

 2020-21シーズンのスタッツは、14.1得点、2.7リバウンド、5.5アシスト、1.9スティール。一見、なんてことのない数字に見えるが、特筆すべきはガードにして50パーセント超えのフィールドゴール成功率だろう。今シーズンは外角からのショットにも大きな向上が見られ、スリーポイント成功率は44.7パーセントをマーク。また、ピックアンドロールを巧みに使いこなし、ビッグマンを手玉に取るシーンも少なくなく、チームにオフェンスのリズムをもたらした。

 加えて、ミッチェルがディフェンスのスペシャリストであることも忘れてはならない。今シーズンはビッグ12カンファレンス、全米バスケットボールコーチ協会(NABC)、ネイスミス賞の全てで年間最優秀守備選手賞に選ばれている。4年間の下積みは、必ずNBAでも生きてくる。1順目10位以内の指名もあるだけに、来年どの球団のジャージに袖を通しているのかが楽しみな選手だ。

オースティン・リーブス(オクラホマ大学)

[写真]=Getty Images


 リーブスは今シーズン、オクラホマ大学のトップスコアラーとしてスーナーズのオフェンスをけん引した。特に、決勝まで無敗で勝ち抜いたゴンザガ大学と対戦したベスト32での一戦は、同選手の株価をグッと高めたことだろう。マッチアップしたゴンザガ大学のジェイレン・サッグスは、NBAドラフト2021で5位以内の指名が確実視されてい実力派で、ハードなオンボールディフェンスも高く評価されている選手。しかし、リーブスはそのサッグスに付け入る隙を与えず、この試合、17本中11本のショットを成功させ、チームハイの27得点をマークしてみせた。

 今シーズンのスタッツは、18.3得点、5.5リバウンド、4.6アシストと上々の出来。まもなく23歳を迎える上級生のため、1順目指名とまではいかないだろうが、2順目での指名は十分に考えられるはずだ。

ジョニー・ジュザン(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)

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 ケンタッキー大学でのフレッシュマンシーズンは、ジュザンにとってタフで不甲斐ない12ヶ月だったに違いない。しかし、地元カリフォルニアに帰郷し、UCLAに編入すると本来の輝きを取り戻すことに成功した。ジュザンは、実に10年以上ぶりとなるUCLAのファイナル4進出に大きく貢献。『theScore』によると、同選手はNCAAトーナメント中、1試合平均22.8%、フィールドゴール成功率50.9パーセントの好スタッツをマーク。また、本大会のトータル137得点という記録は、NCAAトーナメント1大会で記録した成績のうち、UCLA史上2番目だという。

 アイソレーションからの1対1、オープンスペースからのスリーポイントなど、豊富なオフェンスオプションが売りのジュザン。来シーズンはドラフトからのNBA挑戦と大学へ戻るオプションの2つが検討されており、今後の進路決定にも注目が集まる。

クエンティン・グライムス(ヒューストン大学)

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 グライムスもジュザンと同じく、転入が功を制した選手の1人だ。2018年のFIBA U18アメリカ選手権で自国を優勝に導き、自身も大会MVPに選出されたグライムスだが、フレッシュマンシーズンを過ごしたカンザス大では思い通りの活躍ができず、翌年、ヒューストン大学へと籍を移すこととなった。

 ガードを主戦場とするグライムスは今シーズン、クーガーズのトップとなる1試合平均17.8得点でチームのオフェンスを牽引。また、フィールドゴール、スリーポイントともに40パーセント以上の成功率を収めたが、特筆すべきはスリーポイントの試投数。前年は129本であったのに対し、今シーズンは約2倍にあたる248本を放っており、外角からのシュートに自信がついたことが伺える。

 また、ディフェンス難に苦しんでいたチームにとってもグライムスは貴重な存在だった。スウィート16で激突したシラキュース大学との一戦では、相手チームのエースであるバディー・ブーハイムにわずか3つのフィールドゴールしか許さず(試投数は13)、ネクストラウンド進出に大きく貢献している。

マックス・アブマス(オーラル・ロバーツ大学)

[写真]=Getty Images


 オーラル・ロバーツ大学の武器は、爆発力抜群のオフェンス力である。その中心人物だった選手が他でもない、アブマスだ。今シーズン1試合平均24.2得点を記録した同選手は、ひとり静かにレギュラーシーズンのオフェンスリーディングランキングで1位に輝いてみせた。

 NCAAトーナメントの開幕時、アブマスを注視していたスカウトはほとんどいなかっただろう。しかし、ゴールデンイーグルスがスウィート16で敗北するまで、アブマスは1試合平均26.7得点、4.7アシストをマークし、強豪相手にその実力が本物であることを証明した。

 身長は185センチと小柄。しかし、思い切りが良く、エリア、距離不問のキャッチアンドシュートのほか、1歩で敵を置き去りにするドライブやスピード感溢れるカットなど、オフェンススキルは一級品。大化けするポテンシャルは、上の4選手を凌ぐほどかもしれない。

 文=Meiji

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