スペインのテネリフェ島で行われている「FIBA 女子バスケットボールワールドカップ2018」も残すところ2日となり、9月29日には5-8位決定戦2試合と、準決勝の2試合が開催。5-8位決定戦ではフランス代表と中国代表が勝利し、それぞれ5位決定戦に進んだ。敗れたナイジェリア代表とカナダ代表が7位決定戦を戦う。
準決勝の第1試合はアメリカ代表とベルギー代表の対戦。序盤からベルギーのエース、エマ・メッセマンが、昨シーズンのユーロリーグMVPの実力をいかんなく発揮し、第1クォーターを5点リードで終える。大会を通じてなかなかペースの上がってこないアメリカだったが、第2クォーターにベンチスタートのエレーナ・デル・ダンが7得点を挙げて逆転に成功すると、後半に入るとエースのダイアナ・トーラジが自身のギアを解放し、ベルギーを一気に突き放しにかかる。ポイントガードのスー・バードもトーラジに呼応するかのように集中力を高め、巧みなゲームコントロールでアメリカの流れを作りだしていく。ブリアナ・スチュワートは第3クォーターだけで9得点を挙げ、さらにブリトニー・グライナーも高さとパワーを発揮し、アメリカのリードに貢献していく。ベルギーはメッセマンを中心に反撃を試みるが追いつくまでには至らず、93-77でアメリカが3大会連続の決勝戦進出を決めた。
上記のとおり、大会の序盤からペースのつかめないアメリカだったが、この試合でトーラジが26得点、次代のエース候補ともいうべきブリアナ・スチュワートが20得点。スー・バードも7アシストを決めるなど、大会3連覇に向けて調子を上げてきていることがうかがえる試合となった。
第2試合のスペイン代表対オーストラリア代表は、アメリカ対ベルギー戦以上に壮絶なゲームとなった。序盤こそオーストラリアが、2018年のWNBAで1試合最高得点となる53得点を記録したエリザベス・キャンベージのポイントでリードを奪った。しかしスペインも第1クォーターの終盤からポイントガードのクリスティーナ・オウビナ、シューティングガードのクエラルト・カサスら、いわゆる「セカンドユニット」の繰りだす激しいディフェンスと、そこからのトランジションオフェンスで流れを奪い返す。
第3クォーターを終えた時点でスペインが8点リードしていたが、最終第4クォーターにオーストラリアがキャンベージを中心としたフロアバランスのよい攻撃を仕掛け、大事な場面でケイラ・ジョージが3ポイントシュートを沈めるなど、スペインを追い越すことに成功する。最後は3ポイントシュートで猛追を狙うスペインを、ベック・アレンの厳しいディフェンスなどで守り抜いたオーストラリアが2006年のブラジル大会以来のワールドカップ決勝戦進出を決めた。キャンベージはスペインファンのブーイングを一身に背負いながらフリースローを12本中11本決めるなど、33得点15リバウンドの“ダブルダブル”を達成した。
最終日となる29日は、7位決定戦がカナダ対ナイジェリア、5位決定戦が中国対フランス、3位決定戦がスペイン対ベルギー、そして決勝戦がオーストラリア対アメリカとなった。
文=三上太