9月30日、スペインのテネリフェ島で行われていた「FIBA 女子バスケットボールワールドカップ2018」は大会の全日程が終了した。
オーストラリア代表との決勝を制したアメリカ代表が3大会連続の優勝。3位決定戦では地元のスペイン代表が、予選リーグで敗れたベルギー代表に雪辱を果たして銅メダルを獲得した。大会MVPはアメリカのブリアナ・スチュワート。彼女とダイアナ・トーラジ(アメリカ)、エリザベス・キャンベージ(オーストラリア)、アストゥ・ンドゥール(スペイン)、エマ・メッセマン(ベルギー)が大会のベスト5に選出された。
優勝したアメリカは圧巻の強さだった。直前までWNBAのプレーオフを戦っていた選手もいて、決して本調子ではなかったはずだ。実際に今大会のアメリカの戦いぶりを見ると、準々決勝までは出場時間をシェアしながら、内容的にもいわゆる凡ミスが多く見受けられた。しかし準決勝のベルギー戦あたりからエースのトーラジが集中力を上げ始め、ポイントガードのスー・バードもゲームをうまくコントロール。次世代のエース候補ともいうべきスチュワートも先輩たちを立てながらも、その先輩たちの調子が上がらないと見るや、自身がしっかりと得点を挙げてチームを勝利に導いていた。結果として、そのスチュワートが大会MVPに選ばれたことは順当と言っていいだろう。
オーストラリアはスペインに勝って決勝戦まで進んだが、やはり個々の能力に勝るアメリカを乗り越えることはできなかった。頼みの綱であるセンターのキャンベージも、アメリカのセンター、ブリトニー・グライナーとのマッチアップではわずか7得点。チームに勢いを与えることはできず。逆にそのグライナーがファイナルのMVPに選ばれるなど、アメリカは結果を出すべき選手がしっかりと結果を出した。この牙城を崩すのは当分難しいとさえ思えるアメリカの完勝だった。
むしろゲームの面白さとしては3位決定戦のほうが上回っていたかもしれない。序盤こそベルギーがエースのメッセマンを中心に得点を重ねた。しかしスペインは準決勝同様にディフェンスのギアを上げて、ベルギーにプレッシャーをかけ始めると、徐々に流れはスペインに傾いていく。後半の立ちあがりはベルギーがまたも得点を伸ばして点差を縮めるが、再びスペインがディフェンスを締め直して流れを呼び戻す。同じヨーロッパであり、今大会も一度対戦しているチームであるだけにお互いの特長をお互いが知っているため、おのずとゲームは重たいものになっていった。
それでもスペインはパワーフォワードのラウラ・ニコラスが大事な場面でジャンプシュートを沈めて勝負あり。ニコラスは前半にもオフェンスリバウンドや、体を張ったディフェンスでチームに流れを呼びこんでいた。ベルギーも最後まで諦めず1点差に詰め寄るシーンもあったが、あと一歩が出ず、初出場のワールドカップでメダルを獲得することはできなかった。
大会の終盤で攻守のギアを引きあげ、世界基準のバスケットとはこういうものかと、改めて痛感させられたワールドカップの最終日だった。
文=三上太