2019.09.04

トルコに辛勝したアメリカのケンバ・ウォーカー「この勝利は僕らを一段階引き上げる」

延長の末にトルコを下したアメリカ代表のケンバ[写真]=Getty Images
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息詰まる接戦の中、延長の末にトルコを撃破したアメリカ

 9月3日。「FIBAバスケットボール ワールドカップ2019」(以降、W杯)は大会4日目を迎え、多くの激戦が展開された。

 グループGではドミニカ共和国(FIBAランキング18位)が70-68でドイツ(同22位)に2点差で勝利。グループFではブラジル(同12位)とギリシャ(同8位)が激戦を演じた。残り約2秒で3点ビハインドの場面、ギリシャはコスタス・スロウカスが3本のフリースローを獲得するも、最後の1本をミスしてしまい、最後はブラジルが79-78で逃げ切った。

 そしてアメリカ(同1位)とトルコ(同17位)によるグループEの頂上決戦は、延長にもつれ込む手に汗握る熱戦に。

 アメリカが先行する中、トルコはこの試合でいずれもゲームハイとなる23得点14リバウンドを奪ったエルサン・イリヤソバ(ミルウォーキー・バックス)を中心に食らい付き、接戦を演じる。

 第4クォーター終盤。トルコはイリヤソバのティップインで2点のリードを奪うも、3ポイントを狙ったジェイソン・テイタムにファウルを犯してしまい、絶体絶命のピンチに陥ってしまう。

 ところが、テイタムは3本のフリースローのうち2本目がリングに嫌われてしまい、試合は延長へ。

 5分間の延長でも、両チームは互いに点を奪い合うシーソーゲームを展開。トルコはスコット・ウィルベキンやジェド・オスマン(クリーブランド・キャバリアーズ)、アメリカではジョー・ハリス(ブルックリン・ネッツ)やケンバ・ウォーカー(ボストン・セルティックス)、テイタムらが加点。

 トルコは残り約3分に5点のリードを奪うも、ケンバが3ポイントとジャンパーを突き刺してアメリカが同点に追いつく。その後は2点差以内の息詰まるゲームとなり、最終盤を迎える。残り50秒、トルコはオスマンの3ポイントプレーで92-91と1点のリードをつかむと、アメリカはショットミスやターンオーバーを犯してしまい、時間が過ぎていく。だがゲームは最後までどちらに転ぶか分からない展開に。

 そして残り9秒からトルコは計4本のフリースローを獲得するも、まさかの4本連続ミス。最後はクリス・ミドルトン(バックス)が残り2秒にフリースロー2本を確実に沈め、アメリカが93-92でなんとか勝利をモノにした。

残り約50秒に3ポイントプレーを決めたオスマンだったが、最後にフリースローを2本ミスしてしまった[写真]=fiba.com

「僕らはこれからも団結してプレーしていかなきゃ」と気を引き締めたターナー

 トルコのコーチを務めるウフック・サリジャが「(負けてしまって)とてもつらいが、私は相手チームを祝福するよ。我々は今夜、彼らに2度か3度は勝てるかもしれないと思う場面があった。本当に傷ついたよ。延長にもつれた時、主導権は我々の手にあると思っていたんだ。彼らではなかった」と試合後に語ったように、ゲームはほんの紙一重の差で勝敗が決まったと言っていいだろう。

 アメリカ代表を率いたグレッグ・ポポヴィッチ(サンアントニオ・スパーズ ヘッドコーチ)は「我々はこの勝利を受け入れるが、これはすべての対戦相手にとってのゲームであり、どのチームも勝利するためにプレーしている。この勝利によって、我々は向上していかなければならない。だが選手たちがコートでやるべきことをこなすことで、このチームがどんなことができるのかということを示す良いケースになったと思う」と振り返った。

 この試合、アメリカはミドルトンの15得点を筆頭に、ケンバが14得点に6リバウンド7アシスト3スティール、ハリスとテイタム、マイルズ・ターナー(インディアナ・ペイサーズ)がそれぞれ11得点、ハリソン・バーンズ(サクラメント・キングス)が10得点を記録。

 特に延長で5点ヒバインドを背負った場面で、5連続得点を挙げて一気に同点へと追いつく原動力となったケンバは殊勲の働きを見せていた。「信じられない試合になったね。でも同時に、僕らにはまだまだ向上すべきことが数多くあることがわかった」とケンバ。

ミドルトン(右から2番目)のフリースローで勝利を決定づけた[写真]=Getty Images

 そして「僕らの中には数多くの若手がいて、新しいチームなんだ。今でも僕らは学んでいるし、互いのことについても学んでいる最中なんだ。でも今夜、勝利した経験は僕らを助けてくれると思う。そして僕らを一段階、引き上げてくれるはずさ」と口にしていた。

 アメリカは5日に日本戦を行い、7日からセカンドラウンドへ進出することとなる。今後に向けて、ターナーは「僕らはアメリカ代表チーム。どのチームも僕らを倒したいと思っているだろうし、どんな相手よりもベストなゲームをしてくるだろう。僕らはこれからも団結してプレーしていかなきゃならない」と気を引き締めていた。

 このW杯を機に自信を増して、今季NBAで急成長を見せる可能性を持つ若手が多いアメリカ代表。大会3連覇への道のりは険しいことが予想されるが、このチームがどこまで勝ち上がることができるのかは興味深いところだ。

トルコとの熱戦を制したことで、アメリカは自信を深めたに違いない[写真]=Getty Images

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