2018.07.13

台湾版「能代カップ」に明成と福岡第一が参戦。ライバル国と強化を図る

大会ベスト5に選ばれた福岡第一のクベマジョセフ・スティーブ(写真左)と明成の木村拓郎(写真右から2人目)[写真]=小永吉陽子
スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者に。国内だけでなく、取材フィールドは海外もカバー。日本代表・Bリーグ・Wリーグ・大学生・高校生・中学生などジャンルを問わずバスケットボールの現場を駆け回る。

台湾の強豪校、U20、U18代表も参戦する大会に日本の高校が出場

松山カップは国立台湾科技大学体育館で行われた


 7月2日~6日にかけて、福岡第一高校と明成高校が台北市にて開催された松山盃(以下松山カップ)に出場した。この大会は台湾バスケットボール協会による招聘大会であり、全国大会で2連覇中の強豪、松山高級中学(※)が主管校となり、高校生の強化と交流を図る大会だ。

 台湾の学校は9月始まりため夏休みに入っており、この時期は秋からのリーグ戦に向けて、各地で強化大会が盛んに行われている。その中でもこの松山カップは、全国上位の高校や、チャイニーズ・タイペイU18代表やU20代表など8チームが参戦するレベルの高さを誇る。さながら台湾版『能代カップ』といえる大会だろう。2回目の今年は、U20代表が全勝優勝。以下、福岡第一、U18代表、明成の順位となり、日本から参戦した両校の奮闘が光った。

 また、両校は遠征中の7月2日に台北市にて開催された「FIBAワールドカップ1次予選」の日本対チャイニーズ・タイペイ戦を観戦。日本代表の活躍に刺激を受け、とくに明成のOBである八村塁の奮闘にはひときわ大きな声援を送っていた。

※高級中学(日本における高校に相当、以下、高中と略)

同時期に行われていたFIBAワールドカップ1次予選、日本vsチャイニーズ・タイペイに声援を送る明成、福岡第一のスタッフ、選手たち[写真]=小永吉陽子

インターハイに向けたチーム作りの場となった福岡第一

福岡第一はガードの小川麻斗を軸にU18代表に競り勝つなど、収穫の多い大会となった[写真]=小永吉陽子


 昨年もこの大会に出場して優勝を果たしている福岡第一。2年連続出場となる今大会は「インターハイに向けたシミュレーション」と井手口孝コーチは目的を語る。

 今年のインターハイはU18アジア選手権と日程が重なるために、代表選手はインターハイに出場することができない。エースである松崎裕樹と河村勇輝の代表選出が有力視されているために、今回は彼ら2名を外し、さらに負傷中のディアラ・イソフと古橋正義を治療に専念させ、選手層を厚くするために松山カップに挑んでいた。ライバルである明成には大黒柱のクベマジョセフ・スティーブが終盤に負傷したことで失速したのは反省点だが、ガードの小川麻斗を軸にU18代表に競り勝ち、2位の成績を収めたことは収穫だ。

「この大会では、チャイニーズ・タイペイのアグレッシブなバスケに触れ、インターハイで戦うメンバーを鍛えられたことが良かった。海外の大会に出ると、ご飯をしっかり食べたり、体調管理をしたり、挨拶ができるかといった人としてのファンダメンタルや、パスやドリブルが弱いといった不足する基本技術が目につきます。明成に負けたのはそういう部分。九州にいると、うちや大濠(福岡大附属大濠)が抜けているから見過ごしてしまうことばかりで、この大会で原点に戻ることができました」(井手口コーチ)

毎年、松山高中との交流を図っている明成

下級生の多い明成はチーム全体の底上げを図っていた[写真]=小永吉陽子


 明成と主管校の松山高中は、お互いの国を行き来して交流を図るほど関係が深い。2010年のU18アジア選手権にて、佐藤久夫コーチと松山の黃萬隆コーチがU18代表の指揮官として対戦したことがきっかけで交流が始まった。毎年、明成では夏休みに全国から多くのチームが集結して交流を図るキャンプを開催しているが、ここ数年はそのキャンプに松山も参加している。

 この遠征中に「日韓中ジュニア交流競技大会」の代表選考を兼ねた強化合宿があったため、候補選手の田中裕也は松山カップを欠場。今年の明成は下級生が多く試合に出場するため、この遠征ではエースを欠く中での鍛錬の場となり、チーム全体の底上げを図っていた。

「チャイニーズ・タイペイはコンビネーションプレーに課題はあるけれど、1対1のアグレッシブさがあり、ボディコンタクトが強い。それに比べると日本は競り合った時にプレーをやめてしまう傾向がある。バスケの質が違う国と対戦することで、自分たちの足りないものを見つけ、新しいことを注入するいい機会になった。ただ、そうした中で戻るところはやっぱり基本プレーだと再確認。ボディコンタクトの中でいい状況判断ができるようにこれからも練習したい」(佐藤久夫コーチ)

チャイニーズ・タイペイU18代表の強さは?

近年、台湾のチームとの交流を図っている明成と福岡第一。写真左から佐藤久夫コーチ(明成)、井手口孝コーチ(福岡第一)、黃萬隆コーチ(松山高中)[写真]=小永吉陽子


 松山カップには、8月のアジア選手権に出場するチャイニーズ・タイペイU18代表が参戦していた。大学生数名を含めたU18代表は初戦で福岡第一に11点差で敗れる屈辱を味わったが、最終戦では明成を大差で叩いている。それもそのはずで、U18代表のヘッドコーチを務める黃萬隆コーチは松山の指揮官でもあり、U18代表に数名送り出しているために自チームは1勝止まり。「やられてばかりはいられない」と、最終戦では下級生主体の明成に容赦なく襲い掛かったのだ。2年生ながら軸となってベスト5を受賞した明成の木村は「フィジカルに差があるとこんなにも攻められないのだと実感し、もっと体作りをしなければ」と新たな誓いを立てている。こうした容赦ないライバル関係のやり合いこそが、国を超えた交流戦の意義でもある。

 なお、チャイニーズ・タイペイU18代表は、この他に強豪の南山高中の選手を加えて最終的な12名を選出するという。サイズでは2メートル台が2人いて、パワフルな布陣であることにも注目したい。

【順位】
1位 チャイニーズ・タイペイU20代表(7勝)
2位 福岡第一高校(5勝2敗)
3位 チャイニーズ・タイペイU18代表(5勝2敗)
4位 明成高校(4勝3敗)
5位 能仁家商(3勝4敗)
6位 三民家商(2勝5敗)
7位 松山高中(1勝6敗)
8位 高苑工商(1勝6敗)

【個人賞】
◆ベスト5
クベマジョセフ・スティーブ(福岡第一) 木村拓郎(明成) 高國豪(U20) 林彦廷(U18)李毓辰(松山)

◆ハッスル選手賞
小川麻斗(福岡第一) 越田大翔(明成)ほか各校一人ずつ選出

【試合結果】
福岡第一(5勝2敗)
〇70-59  vs U18代表
〇85-54  vs三民家商
●66-73  vs U20代表
〇72-52  vs能仁家商
〇74-53  vs高苑工商
●60-74  vs明成
〇63-61  vs松山高中

明成(4勝3敗)
〇79-68  vs三民家商
〇78-46  vs高苑工商
〇71-67  vs松山高中
●76-85  vs能仁家商
●52-83  vs U20代表
〇74-60  vs福岡第一
●37-98  vs U18代表

文・写真=小永吉陽子