2019.10.02

アジアリーグCEOが抱く野望「将来的にはシーズン中のリーグにしていきたい」

日本メディアの取材に応じたアジアリーグCEOのマット・ベイヤー氏
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 9月17日から22日にかけてマカオで行われた「The Terrific 12(テリフィック12)」。日本、中国、韓国、フィリピンから計12チームが参加した大会は、遼寧フライングレパーズ(中国)の優勝で幕を閉じた。

 大会期間中に日本メディアの取材に応じたアジアリーグCEOのマット・ベイヤー氏は、「将来的にはシーズン中のリーグにしていきたいし、皆さんの関心を常にバスケットにしていきたい」と展望を語ったが、今後ネックになるのはやはり日程面だ。サッカーの「AFCチャンピオンズリーグ(ACL)」のように、シーズン中にホーム&アウェイ方式で行うとなると、各国リーグとのスケジュール面での調整が必要になる。さらに、先発メンバーを大きく入れ替える“ターンオーバー制”を採用できるサッカーに対し、登録人数が少ないバスケットボールではそれも難しく、選手の疲労蓄積やケガにつながりかねない。

日本の4チームはすべて予選敗退と苦戦を強いられた

「どうスケジュールを合わせていくかCBAやBリーグと交渉していく。僕らはそれができると思うし、競技力やコンテンツのレベルを上げることを達成したい。僕らが考えているアジアのターゲットは日本、韓国、中国、フィリピン。総人口が約20億人になるし、バスケットボールの大会が目白押し。中国でワールドカップが終わり、2020年には東京オリンピックがあり、2023年にはアジア(フィリピン、日本、インドネシアの共催)でワールドカップが行われる。アメリカやヨーロッパにどう勝っていくかが、アジアのバスケットボール全体を盛り上げるために必要なことだと思うし、我々がそのプラットフォームになりたいと考えている」

ランス・スティーブンソンを擁する遼寧フライングレパーズが頂点に立った

 現在考えているのは「8チームでグループリーグを戦うレギュレーション」。「Bリーグをはじめ中国や韓国も、どのチームが勝つかわからないリーグ構造になっていると思う。それをアジアのリーグとしてまとめ上げたい」。将来的には東アジア各国の16チームによる大会を理想としており、「地域が近いからこそ文化交流もできるんじゃないかなと。また、東アジア各国は似ている人種なので、僕らのプラットフォームを通じて、若くてスポーツ好きで、スマートフォンを使っている世代にはいいアプローチができると思っている」とも語った。

 夢のある大会にしていくためには競技面だけでなく、「見たい」、「行きたい」と思われるエンターテイメント性も必要不可欠。実際に今大会ではLEDライトやド派手な音楽での演出、チアリーダーやアーティストのハーフタイムパフォーマンスなども行われた。

ハーフタイムパフォーマンスの様子

 また、SNSや動画での発信にも力を入れ、試合結果やハイライトのほか、NBA通算508試合の出場を誇るランス・スティーブンソン、ダラス・マーベリックスで4シーズンにわたってプレーしたサラ・メジリの散髪や髭剃りの様子など普段は見ることができない裏側にも迫った。さらに、日本から人気YouTuberのともやんを招待。選手との1on1が実現し、動画は10月1日時点で約41万回もの再生が記録されている。ベイヤー氏はコンテンツに関して「皆さんを飽きさせることはない」と自信をのぞかせており、『ESPN』から「ハイライト動画を使用したいと大会中にオファーがあった」ほどだ。

 会場となった塔石體育館の収容人数は約2000人。決勝戦やサンミゲルビアメン(フィリピン)の試合は満員にもなり、スティーブンソンの活躍には「MVP! MVP!」と割れんばかりの歓声が起こった。「まだ新しいことをしている」模索段階かもしれない。アジアリーグ、テリフィック12がどのようになっていくか、引き続き注目していきたい。

取材・文=酒井伸
写真=EASL

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