Bリーグと日本バスケットボール協会(JBA)は21日、富士通株式会社とのパートナー契約を締結した。
富士通は今後、BリーグやJBAと協力し、バスケットボールのプレーヤーや指導者などを対象とした「データ・マネジメントサービス(1)」や、ファンへのタイムリーな情報提供を実現する「デジタルマーケティングプラットフォーム(2)」、プレーヤーのスキルやチーム力の向上、視聴者に新たな視聴スタイルを提供する「スマートアリーナソリューション(3)」などのICT(情報通信技術)での提供を目指していく。
1.データ・マネジメントサービス
これまでチームや学校ごとの個別管理だったバスケットボールのプレーヤーの戦歴やキャリアなどの情報を一元管理することで、強化選手や日本代表選手を選出するために必要な基礎データを簡単に検索できるようになるサービス。
2.デジタルマーケティングプラットフォーム
ファンの拡大や各チーム拠点の地域活性化を目的として、試合やイベント参加などの顧客情報を一元管理。それをBリーグに提供することで、ファンへのタイムリーな情報提供やきめ細かいプロモーションなどの効果的なマーケティング活動を支援していく。
3.スマートアリーナソリューション
マーカーを装着することなく、立体的かつ高精度に取得した選手の3Dモーションデータをリアルタイムに分析し、選手の個人スキルやチーム力向上を支援する「3Dレーザーセンシング技術」や複数のカメラ撮影で選手の位置や動きを自動的かつ正確にトラッキングし、スタッツを生成して戦術策定を支援する「プレイヤーモーショントラッキング技術」などのスポーツIoTの実用化。
さらに、複数のアングルで撮影したカメラ映像から三次元構造を解析し、カメラの置けない方向からも迫力のある映像を生成する「自由視点映像生成技術」の活用により、アリーナやテレビ、タブレットでの新たな視聴スタイルを提供。エンターテイメント性の向上を図る。
東京都内のホテルで行われた調印式には、JBAの川淵三郎エグゼクティブアドバイザーと三屋裕子会長、Bリーグの大河正明チェアマン、富士通の山本正己会長と廣野充俊常務らが出席。今回の契約締結に関するコメントは以下のとおり。
◆山本正己会長(富士通)
「BリーグとJBAのパートナーとしてBリーグが目指している3つの使命、“世界に通用する選手やチームの輩出”、“エンターテインメント性の追求”、“夢のアリーナの実現”に対して、世界最先端のスポーツICTで貢献していきたいと思っています。また、Bリーグの45クラブが拠点とする33の自治体を通じて、スポーツ・文化市場の振興、高齢者や障がい者に対するユニバーサルデザイン、観光や防災などの街づくり、引いては地域活性化に向けたムーブメントを起こして参りたいと思います」
◆川淵三郎エグゼクティブアドバイザー(JBA)
「今年の5月に富士通さんのフォーラムで初めてスポーツICTを見せていただいて、バスケットボールのスポーツとしての面白さをこんな風に表現できるのかと驚いた。男子の代表は40年もオリンピックから遠ざかっています。オリンピックに出場するには男子チームの強化、国内における人気の上昇、そういったものが必要になる。そういった時に富士通さんのICT技術を見て、これは一緒にやっていけばバスケットボール協会も発展すると心から思いました」
◆三屋裕子会長(JBA)
「バスケットファミリーの拡大が私に課せられた大きなミッションですので、デジタルマーケティングにしてもそうですけど、バスケットファミリーをいかに増やしていくかという部分で、今まで取りこぼしてきた部分をICTの技術を活かして増やしていけることは魅力に感じています。指導に関しても、3Dの技術を使うことで、経験や感覚的な部分でやってきたことを数値化できるようになり、選手も自分で把握し、修正できるようになる。それは非常に有力なアイテムだと思っている」
◆大河正明チェアマン(Bリーグ)
「Bリーグとしては、夢のアリーナを1つのキーワードとしていますが、富士通さんのスマートアリーナ技術をもってすれば、その夢はきっと近い将来実現するものと思っています。プレーヤーと観客を結びつけ、さらに多くの方にもアプローチしていけるようになることで、Bリーグはさらなる可能性に満ち溢れるものとなりました。明日いよいよリーグは開幕します。いまは人事を尽くして天命を待つ心境。心穏やかにその日を迎えたいと思います」