プロのバスケットボールチームってどんな人たちが仕事しているんだろう? スポーツは選手が主役。だけど、選手がコートに立てるのは、支えてくれる人たちがいるから。裏方としてチームを後押しするスタッフの皆さんはどんな想いで舞台を整えているのか。今回は、今季B1西地区で戦う京都ハンナリーズのフロントスタッフが、試合を開催する大変さとうれしさを語ってくれました。
インタビュー=樋口隆太朗
写真=Bリーグ
武田真一さん(チケット販売・会場運営担当)
――お仕事内容を教えてください。
武田 ホームゲームの開催に際して、各プレイガイドやBリーグにどの席をどれくらい販売してもらうかを決めたり、企画チケットを作って販売したり、会場の準備や当日の運営全般を行っています。
――やりがいはどんなところですか?
武田 お客さんに喜んでいただけることが一番ですね。僕らにとっての結果とは、お客さんにアリーナに来ていただいて、喜んでいただき、また来ていただくこと。もちろんチームが勝つに越したことはないですけど、負けたしても、お客さんが楽しんで帰っていただけたら、僕らの仕事が報われたということだと思います。試合を開催するまではずーっと突っ走るだけでしんどいですけど(笑)。
――アリーナで見てほしいのはどんなところですか?
武田 うちは4面のLEDビジョンを使ったりとか、空間演出をとても大事にしています。ハコとしては体育館なんですけど、ただの体育館ではなくてアリーナ空間を作ろうとやっている中で、そうした部分を見てもらえると非常にうれしいです。
武市仁さん(会場演出・競技運営担当)
――お仕事内容を教えてください。
武市 運営という仕事の中でも、「演出」と「競技」を担当しています。アリーナでどういった音を流すか、照明をどう使ってお客さんを楽しませるかという演出面、それと審判やT.O(テーブル・オフィシャルズ)さんとのやりとりを行う競技面の担当ですね。今年から、ダンスタイムの会場内ビジョンにお客さんを映して一緒に踊ってもらうなどの企画を始めています。試合以外にもいろいろ楽しいイベントを作って、またアリーナに来ていただけるような空間を作りたいと思っています。
――もともと音響や照明のお仕事をされていたんですか?
武市 僕は去年まで学生だったので今年が1年目なんです。なので去年までの担当に教わりながら一緒にやっています。もともと中高とバスケをしていて、このチームでもインターンを2年半くらいやっていたのですが、インターンから社員へという自分の環境もそうですし、bjリーグとBリーグは全く違うものなので、自分にとっては本当にゼロからのスタートという気持ちです。
――京都ハンナリーズのオススメポイントはどこですか?
武市 今年は特に選手の仲がいいんです! パッと見ではわからないかもしれないですが、そういうところが今のチームの強みだと思いますし、あとは自分が演出担当なので、そこを見てほしいと思います(笑)。
樋口久恵さん(会場運営・グッズ担当)
――お仕事内容を教えてください。
樋口 がっつり運営ですね。中でも、試合当日の設営や、業者さんの手配や、ボランティアさんとのやり取りなど、会場全体を見てのお仕事をしています。あとはグッズ担当も兼任しています。シーズン中でもお客さんの声からグッズを企画して、新たに商品を投入したりしています。
――お仕事で大変なことややりがいを感じることはどんなことですか?
樋口 大変なところは、運営担当として業者の方やお客さんも含めてたくさんの人と関わるので、そこが面白くもあり難しくもあるところですね。お客さんに気持ち良く観戦していただきたいと思っているので、試合の勝ち負けも大事なんですけど、「楽しかった」と言って帰っていくとか、満足して帰っていただくのを見た時はやっぱりうれしいです。
――直接お客さんから声を掛けていただくことも多いですか?
樋口 そうですね。私は運営担当で会場をうろうろしている時が多いので、お客さんと挨拶したり、会話したりする機会が多く、いろいろと意見をいただいたりしています。実はこのチームに来る前は、飲食メーカーで経理をしていました。全然違う仕事だったんですけど(笑)、もともと人を楽しませる仕事をしたいと思っていたんです。私自身もバスケをやっていて、地元でバスケに携われる仕事だったので、京都に戻ってきました。今はお客さんと接しながら、楽しんでもらえる仕事ができて本当にうれしいです。
田中雄一郎さん(広報担当)
――お仕事内容を教えてください。
田中 以前はスポンサー営業をしていましたが、今はほとんど広報の仕事を担当しています。取材の対応や、行政とのやり取り、試合の日に各プレスさんに資料を作成して配布したり、記者会見の準備をしたり、スポーツクラブの一般的な広報業務をしています。
――Bリーグ開幕年ということで、取材依頼が増えたのでは?
田中 はい。メディアさんからの取材依頼はすごく増えました。去年と比べて倍くらいになっていて、僕たちも選手たちもすごくうれしく思っています。メディアさんとのコネクションを作っていくことは、今後チームやリーグが発展するためにはすごく大切なことだと思っているので、その場限りではなくて、今後もつながるような接し方を心がけています。最近はこれまでお付き合いのなかった地元のフリーペーパーが、ハンナリーズの枠を作って特集してくれたりといったこともありました。あとは各区のふれあい祭りなどにも積極的に参加するようにしていて、こうした地域の方々の目に触れるような活動を大切にしていきたいと思っています。
――京都ハンナリーズのここを見てほしい、こういう部分を伝えたいというのはありますか?
田中 よく観戦に来られる方にも言われるのですが、今年は特にチームの仲がいい、楽しそうと感じていらっしゃる方が多いです。そういったチームだと、見ていても面白いし、愛着も湧いてくると思うので、その部分でハンナリーズはいいチームだなと認識してもらえたらすごくうれしいですね。この前も、あるカメラマンの方が「ハンナリーズの雰囲気がすごく良くて、専属カメラマンとしてやりたい」と言ってくれて、こんなことは去年にはなかったと思います。チームの勝敗以外にも、ハンナリーズって楽しそうだとか、見ていて面白いとか、応援したくなるようなチームだと評価してもらえたらすごいうれしいですね。