12月2日に行われたB1リーグ第11節第1戦で、レバンガ北海道は川崎ブレイブサンダースに78-87で敗れ、連敗をストップすることができなかった。しかし、16勝3敗と圧倒的な強さを誇る川崎を相手に、北海道は今後に向けての確かな手応えをつかんだ。
敗れはしたものの、前節まで1試合の平均得点がリーグ最少の66点だったオフェンスは、78点をマーク。前半終了時点では38-37と1点リードするなど、トランジションからの速攻とタイトなディフェンスで川崎を苦しめた。
特に存在感を放ったのが司令塔の多嶋朝飛だ。今季最多の21点をマークし、2ポイントとフリースローの成功率はともに100パーセント。試合後には「前節(千葉ジェッツ戦)の連敗を受けて、しっかり準備してきたことを出すことができた」と、チームとしての取り組みが一定の成果を挙げたことへの充実感を語った。一方で、自身の出来について話が及ぶと、「自分が0点だったとしても、チームが勝つことが一番大事」と、チームを勝利に導きたかったという悔しさと強い意志を感じさせた。
もっともその活躍ぶりは目を見張るものがあり、水野宏太ヘッドコーチも「チームの状態が悪かった千葉戦から、一番奮起して良いパフォーマンスを見せてくれた」と、攻撃の中心としてだけでなく、キャプテンとしてもチームを引っ張る多嶋の働きを高く評価した。
北陸高校時代の同級生である篠山竜青とのマッチアップが注目されたが、スタッツでは多嶋が大きく上回った。「(篠山との対戦は)さすがにもう意識はしないです(笑)。ただ、強豪の川崎で常に活躍して、日本代表にも入りましたし、彼がずっと先を行ってくれているので、僕もそれに負けたくないという意識はあります」と、ライバルを称えた。
「今日のようなプレーをチームのスタンダードにしたい」と語った多嶋。奇しくも、試合後の会見で開口一番、「積極的なプレーで相手に食らいついていくことができた。どのチームを相手にしてもこれができるようにしたい」と話した水野HCの想いと重なった。
川崎戦の前半が北海道の“スタンダード”になれば、チームの浮上、そして多嶋自身のさらなる飛躍につながることは間違いない。
文=山口晋平