2点差で連覇逃した岐阜女子、2年生石坂が決意表明「自分たちの代で全部優勝する」

「打倒桜花」の夢を託された2年生エースの石坂ひなた [写真]=大澤智子

“チャレンジャー”同士の決勝戦。誤解を招く言い方かもしれないが、両校の想いを知ると、その表現は何の違和感もないことがわかる。

 インターハイと国体を制した桜花学園高校(愛知県)だが、今大会は岐阜女子高校(岐阜県)に3年連続3冠を阻止された昨年の悔しさを晴らす一戦だった。前日、岐阜女子に先んじて決勝進出を決めた後、決勝への抱負を問われた井上眞一コーチが「岐阜女子のことしか考えていない」と言っていたように、照準はあくまでも岐阜女子だった。一方、岐阜女子にとっては、いずれも決勝で敗れたインターハイと国体の借りを返す一戦。彼女たちに、ディフェンディングチャンピオンの意識はかけらもなかった。

 互いの想いが表れた、期待に違わぬ激戦だった。出だしの3分余りで桜花学園が13-5と先手を取っても、岐阜女子も第2ピリオドからは強気にインサイドを攻める。第3ピリオド開始早々には、石坂ひなたの連続3ポイントで一時逆転。しかし桜花学園も、馬瓜ステファニーと粟津雪乃がインサイドでやり返す。第4ピリオド、桜花学園のリードは11まで広がるが、岐阜女子はディヤイ・ファトーへのロブパスを次々に通して猛追。終盤は互いに激しいディフェンスで相手のミスを誘うが、最後は桜花学園が2点差で逃げきった。

 昨年の優勝の味を知る岐阜女子の藤田歩は、40分フル出場で9得点8アシスト。個人の出来は悪くなかったが、「ゴールに向かうプレーを40分間続けることができなかった。相手の方が気持ちが強かったというのが、去年と一番違うところだと思います」と、チームを引っ張りきれなかった反省を口にした。そして「(安江満夫コーチから)お疲れ様と声を掛けられて、勝てなかったのが申し訳なくて……」と言葉を詰まらせた。

 2年生ながらファトーに続く得点源の石坂は「来年、自分たちの代で全部優勝して、恩返しします」と誓った。「打倒桜花」の夢は後輩たちに託される。

文=吉川哲彦

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