辻&篠山の穴を埋めた川崎の藤井、“日韓戦”活躍の裏にあった“反省会”とハーフタイムの指示

日本人トップの10得点3アシスト2スティールを記録した川崎の藤井祐眞 [写真]=B.LEAGUE

 1月14日、国立代々木競技場第一体育館にて「“世界に通用する選手を輩出する”というBリーグのミッション実現」を目的とした「EAST ASIA CLUB CHAMPIONSHIP」が行われた。

 昨年度NBL王者である川崎ブレイブサンダースと韓国KBLに所属する強豪の安養KGC人参公社が顔を合わせた日韓初の“クラブ頂上決戦”は、川崎が83-80で競り勝ち、初代チャンピオンに輝いた。

 序盤は川崎が安養のゾーンディフェンスに対し見事なパッシングオフェンスで得点を重ねリードを奪うが、次第に得点源のニック・ファジーカスライアン・スパングラーへのディフェンスが激しくなり、ペースを握られた。北卓也ヘッドコーチも「序盤はニックとライアンが点を取ってくれたが、彼ら頼みになってしまった」と、前半の37得点中32得点をマークした両外国籍選手に攻撃が偏っていたことを苦戦の要因に挙げた。

 その状況下、藤井祐眞が10得点3アシスト2スティールと、いずれも日本人選手トップの数値を記録。エースの辻直人がコンディション不良により欠場、篠山竜青がファウルトラブルで出場時間を延ばせない中、藤井は後半の逆転勝利に大きく貢献した。

 藤井は「北HCから『日本人選手が5得点しか取れていない。ニックに頼り過ぎているせいで彼も疲れてきてシュートを落としてしまう。もっとみんなが積極性を持たなければいけない』と言われた」と、ハーフタイムの指示を明かす。その結果、後半は課題を修正し、「第3クォーターはニックに頼り過ぎることなく、他の選手をうまく使うことでニックをフリーにし、周りの選手も得点できるようになった」と述べ、藤井を含めた日本人選手の積極性が逆転につながったと語った。

 実は第92回天皇杯・第83回皇后杯(オールジャパン2017)決勝後(千葉ジェッツに66-88で敗戦)、藤井は篠山やコーチ陣と反省会を実施したという。

「ニックだけでなくライアンがいるのが川崎の強み。ライアンをもっと活かしてニックや他の選手が得点を取れるようになることと、得点源である辻さんのマークをいかに外していくか、そのセットプレーやゲームコントロールの部分を話した」

 辻の欠場により前半は苦戦を強いられたものの、後半は見事にその成果を見せる格好となった。それでも「(川崎は)オン・ザ・コート1の時間帯で得点が停滞するのが課題であることはわかっている。(第4クォーター残り1分20秒で見せたような)ドライブをもっと増やしていきたい」と、リーグ後半戦のさらなる飛躍に意欲を見せた。

 この試合、5457名と多くの観客が会場に詰めかけ、会場は大いに盛りあがった。北HCは「実は“オールスターの前座”という形であまりお客さんが入らず、モチベーションが上がらないんじゃないかと考えていた。しかし、多くのお客さんが来てくれたので、白熱した試合になった」と述べた。安養KGCのイ・サンボムHCも「接戦でお客さんも楽しめる試合になったと思う。こういった大会は続けていくべきだし、フィリピンや中国なども含めた東アジアの大会としてさらに発展していけたらいいと思う」と、初の試みとなった今大会の意義を強調した。

 15日のオールスターを挟み、Bリーグは17日から再開する。北HCは「オールジャパンでは負けてしまったが、Bリーグ初代チャンピオンに向けてこの試合をきっかけに盛りあげていきたい」と話す。川崎は18日のサンロッカーズ渋谷戦で勝利し、後半戦を好発進していきたいところだ。

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