広島ドラゴンフライズにとって厄介な存在だったはずだ。
勝負の分かれ目となった第3クォーター、広島は点差を詰めては離され、最終的にこの10分間で6点差から39-55と16点差まで広げられた。
横浜ビー・コルセアーズに良い流れを持ってきたのは竹田謙だ。後半開始3分51秒に広島の鵤誠司のシュートが決まり30-36。そこから竹田は続けざまにレイアップを決めて30-40とさらなるリードをもたらした。2本とも相手ディフェンス陣の隙を突く絶妙なポジショニングからの得点だった。
勢いに乗った横浜は、最終スコア74-53でB1・B2入替戦を制し、見事B1残留を果たした。38歳の大ベテランはこの大一番で18分48秒出場して、チーム3位となる12得点をマーク。一度引退して2年ぶりの復帰となったシーズンで、ブランクを感じさせない上々のパフォーマンスを見せた。
試合後に開口一番、「ホッとしている」と表情を緩めた竹田は、入替戦を戦う状況を思い返して「生きた心地がしなかった」と苦笑いで話した。自身の活躍については、「いいスクリーンが掛かったので、オープンでシュートが打てた」と、味方のサポートに感謝した。
決意新たに臨んだシーズンについて「純粋に楽しかった」と語る一方で、「自分にフラストレーションが溜まることもあったし、チームとしてまとまりきれない時期もあった」と反省を口にした。
「シーズン前半は自分の体じゃないみたいだった」が、後半に入り「感覚が戻ってきた」。リーグ戦60試合の長丁場ということもあり、「終盤は疲労もあって厳しかったし辛かった」と語りながらも、入替戦は1週間のインターバルもあり「準備はできていた」。そして勝負どころを見極め、チームをB1残留に導く殊勲のプレーを見せた。
シーズンが終わったばかりだが、38歳という年齢から今後の動向は気になるところ。本人は進退や去就については明言を避けたが、横浜に不可欠なピースであることは証明した。