「何をしたいか」が明確な西宮ストークス、連敗するも緻密なバスケで持ち味発揮

西宮をリードする谷直樹 [写真]=B.LEAGUE

 10月1日、西宮ストークスは西宮市立中央体育館に千葉ジェッツを迎え、Bリーグ開幕第2戦を行った。最終スコアは72-93と千葉が勝利。確かにスコアだけを見れば2試合続けて大差で敗れた(第1戦は70-86)。「完敗でした」と、試合後の囲み会見で天日謙作アシスタントコーチは言葉が少なかったが、B1リーグに昇格して味わったB1の強豪との対戦で、西宮は持ち味を発揮できたのではないだろうか。

 まず注目したのがディフェンス。この日はマンツーマンとゾーンのチェンジングだったが、ボールマンへのプレッシャーはもちろん高く、ディナイも徹底できた時間帯があった。チームとして守る意識も強く、40分間集中力が切れる場面もほとんど見受けられなかったと言っていい。第2クォーターには開始から約5分間、2-3のゾーンディフェンスが奏功し千葉の得点を0点に抑えた。その際はインサイドにボールを入れさせず、外角から攻めるしかなかった千葉のシュートはリングを弾くのみだった。

道原紀晃 [写真]=B.LEAGUE

 オフェンスではボールが1人の選手に集中するのではなく、きっちりとパスを回してノーマークを作る戦術を遂行。谷直樹はチーム最多タイの13得点を挙げたが、フィールドゴール成功率が50パーセントと高い確率を残せたのも、パス回しでディフェンスを振りきれていたからこそ。同様に道原紀晃も11得点を挙げ、しかもFGが7分の4とこちらも確実にシュートを沈めた。

 とはいえ、千葉の富樫勇樹に23得点、マイケル・パーカーに18得点も奪われたことへの反省は必要だ。特に富樫にはディフェンスが戻る前にドライブで突破される場面が何度もあった。これは前日、西宮のゾーンディフェンスに苦しんだ千葉がそれに対してアジャストしてきたもの。富樫のスピードを活かし、「相手が戻る前に富樫にボールを持たせて、アウトナンバー、数的有利な状況を作りたかった」(千葉・大野篤史ヘッドコーチ)という敵将の意図が反映されている。リーグ戦では修正してアジャストする能力も要求される。

[写真]=B.LEAGUE

 エースの谷は「開幕戦で優勝候補である千葉とできて、自分たちにとってはとてもプラスになった経験だと思います」と前向きに捉える。「収穫もあったし、課題もたくさん見つかった2試合でした。手ごたえというよりは反省することのほうが多いですが、しっかりディフェンスをして、そこから早い展開に持っていけたら、自分たちのいいオフェンスが入っていけたので、それを継続してできるようにしていきたいと思います」

 昨シーズンから構築されてきた西宮のバスケットボールは、攻防において『何をしたいか』『どこに目的があるか』が明確だ。今回の千葉戦ではやりきることができなかったが、それを完遂すればおのずと勝利が見えてくる。意外とその日は近いのではないだろうか。

文=入江美紀雄

[写真]=B.LEAGUE

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