アウェイの第3節レバンガ北海道戦は日曜、月曜の開催。さらに代表組は水曜日まで合宿に参加。そして、第4節のサンロッカーズ渋谷戦はホームながら金曜開催となり、川崎ブレイブサンダースにとっては非常に厳しい状況でのゲームとなった。
その影響が顕著に出る。10月20日の第1戦、第1クォーター、足の重い川崎に対し、SR渋谷はアップテンポなリズムから速攻を主体に攻める。さらに3ポイントシュートが5分の5の100%、フィールドゴールとしても61.1%と高い成功率で、28-15とリードを奪った。 しかし、「とてもいいスタートを切れたので、ディフェンスをアジャストされて、第2クォーターは足が止まってしまった」(渋谷・勝久ジェフリーヘッドコーチ)に対し、「試合の最初がソフトに入ってしまった。なので、第2クォーターはディフェンスの強度を上げることを指示。選手たちはそれに応えてくれた」(川崎・北卓也HC)。
川崎がディフェンスからリズムを奪い返し、44-43とハーフタイム前に逆転に成功する。後半に入ると、互いに点を取り合う展開に。川崎は第3クォーター残り5分6秒、ニック・ファジーカスが2本をフリースローを決めると、川崎としてこの試合最大の7点リードを奪ったが、しかし、ここから引き離せない。 この場面、SR渋谷はオフェンスリバウンドに食らいつき、粘り強く攻め立てた。広瀬健太やジョッシュ・ハレルソンがフリースローやオフェンスリバウドをねじ込み、離されない。最後はベンドラメ礼生がドライブを決め、60-62の1ゴール差で第4クォーターへ入っていった。
第4クォーターは点の取り合いとなる。残り2分を切り81-81の状況から川崎はジョッシュ・デービスがゴールを決めると、SR川崎はベンドラメがディフェンス網をかいくぐり、ドライブインに成功。離されない。タイムアウト後、今度は川崎は辻直人のパスを受けた篠山竜青がジャンプジュートを沈むて2点のリードを奪った。 残り時間は1分を切った。川崎・ファジーカスのジャンプシュートが外れると、攻撃権はSR渋谷に。ベンドラメが素早くトップスピードでドライブを仕掛けるとゴール下に構えるロバート・サクレにパスを送ろうとした。それに対応したのがデービス。ハリーバックでディフェンスに戻り、ベンドラメのパスを読みインターセプト。ボールは川崎がキープして、ここで試合が終了した。
「開幕当初連敗が続いたが、そこからカムバックして、ホームで名古屋Dに連勝することができた。選手たちは互いの良さを引き出そうとしていて、方向性は間違いない。チームはいい感じになっている。あとは最後の場面で状況判断をよくできれば勝ち切れたと思う」。 勝久HCは僅差で敗れたことに悔しさをにじませながらもチームの進化に手ごたえを感じたようだ。
一方、北HCは「北海道遠征から代表の合宿と厳しい日程だった。リーグ中に代表選手が抜けるという初めてのケースだが、いろいろなことに対応できるチームにしていかないと。そのためにも控えの成長が不可欠。チーム内の競争もいいチャンスとしてとらえてほしい」と、ホッとした表情でチームの現状を語ってくれた。
翌21日の第2戦、第1戦のように最後まで勝敗の行方が読めない激戦となった。最後はSR渋谷はサクレがシュートを決めきれず、この日も2点差の惜敗。「今日も離されずに我慢してついていけた」と試合後のインタビューに答える川崎・北HCは安堵の表情を浮かべていた。
文=入江美紀雄