10月22日、横浜国際プールでB1リーグ第4節第2戦が行われ、横浜ビー・コルセアーズとシーホース三河が対戦。三河は開幕戦で栃木ブレックスに敗れた後から連勝を続けてきたが、昨日に続きこの日も横浜に96-69で勝利して連勝を7に伸ばした。
横浜の田渡凌のオープニングショットから始まったこの試合、三河はすかさず比江島慎が入れ返すも、横浜は佐藤託矢、さらに田渡がテンポよくシュートを決め、リズムに乗ろうとする。その流れを切ったのが三河の西川貴之。ジャンプシュート、ドライブ、さらに速攻を決めて第1クォーターだけで9得点を挙げる活躍を見せた。さらに横浜が2-3のゾーンディフェンスを敷くと、待ってましたとばかり先発PGに起用された狩俣昌也が2本の3ポイントシュートを決め、横浜の出鼻をくじいた。
「インサイドを固めるディフェンスは効果があったと思うが、外角のシュートからリズムを作られてしまった」と、横浜・古田悟ヘッドコーチは悔しがった。
第2クォーターに入ると、三河のディフェンスがさらに強固になる。三河はオフィシャルタイムアウトを挟んで4分間、さらに終盤間際の2分間、横浜に得点を許さなかった。攻めては、ベンチスタートの松井啓十郎が得意の3ポイントシュート2本を含む8得点を挙げて、チームをけん引した。
79-73と競ったスコアとなった第1戦の反省を踏まえて、鈴木貴美一HCは「昨日はディフェンスが中途半端なところもあった。選手には『ディフェンスを緩めると試合がキツくなるよ』とミーティングで伝えたが、今日は試合開始からできたと思う」と、試合内容には満足の表情だった。
第3クォーターは西川の独壇場となった。「(ディフェンスが)空いたら積極的に打とうと思っていた」と、小気味よくジャンプシュートを沈めていく。周りも西川にボールを集め、得点を演出。最後はアイソレーションからジャンプシュートを撃ち抜くと、西川はこのクォーターだけで12得点を挙げ、勝利を決定づけるパフォーマンスを見せた。
三河にとって第4節の横浜戦は、主力の橋本竜馬、金丸晃輔を故障で欠く苦しい陣容だったはずだ。それをカバーしたのがスターターに抜擢された西川や狩俣、そして松井という普段ベンチスタートのメンバーの働きであり、三河の選手層の厚さを改めて誇示する結果となった。
「橋本と金丸は無理すれば出せないわけではなかったが、長いシーズンや、今後の代表活動を考えて、今回は欠場を決めた。代わりに先発した狩俣と西川には早く三河のバスケに慣れてほしいという思いもあったので、疲れは見えたけど2人にはがんばってもらった。普段の練習で身につけたものを、いかに試合で発揮するかが大事。調子の波があるのは承知しているし、試合で成功させるのが私の仕事でもある。これからもどんどん使っていくつもりだ。失敗から学ぶものもあるけど、成功は人をより成長させる」(鈴木HC)
チームの危機を控えメンバーの起用で乗りきった三河。「インサイドの守り方、特にハシーム・サビートのところでやられた部分もあるので、まだまだ修正が必要」と、鈴木HCは快勝の試合内容にも、気持ちを緩めるつもりはない。リーグ初制覇に向けて、ケミストリーの構築を確実に進め、さらに強固なチーム像が見えてきた。
文=入江美紀雄