1月9日、都内で日本バスケットボール協会(JBA)の三屋裕子会長とBリーグの大河正明チェアマンが合同で、JBAとBリーグ、バスケットボール女子日本リーグ(WJBL)、Bマーケティングのスタッフに向けて新年のあいさつを行った。
全体あいさつ終了後、囲み取材に応じたJBA三屋会長とBリーグの大河チェアマンは、新年らしく達磨への目入れと、新年の抱負を書き込んだ。
「前進あるのみ」と記入した三屋会長は、その意味について「これまで準備してきたことがいよいよ実行に移される年です」と述べると、「自分たちのやっていることは日本のバスケ界が拡大するために必要なことだと信じて、今年は前進あるのみ。いろいろな障害やハードルがあると思うが、そこで立ち止まることなく、1歩でも2歩でも、1センチでも1ミリでも前に出ていくという気持ちで今年は過ごしていきたい」と力強く語り、47都道府県協会を力強いリーダーシップで引っ張っていく決意を改めて表明した。
また、日本代表については「男子は(FIBAバスケットボールワールドカップ2019 アジア地区)1次予選を突破という近々の課題が、女子はスペインで(FIBA女子バスケットボール)女子ワールドカップが開催されます。特に女子代表は2020年のオリパラ(東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会)でメダルを獲ると言っていますので、確実に、ここはメダルを狙ってもらわないと困るということで、女子はワールドカップでメダルを狙っていきます」と宣言した。
続いて、先日千葉ジェッツの2連覇、JX-ENEOSサンフラワーズの5連覇で幕を閉じた天皇杯・皇后杯の感想を問われると、「男子は新しいファンの拡大が進んでいると感じました」と千葉ファンの盛り上がりや、シーホース三河の応援に遠路駆けつけたたくさんの観客が見せた熱量について感想を述べると「反面、女子は企業色が抜けないので、WJBLのテコ入れをしないといけない。男子のBリーグの効果が表れているのと、女子のテコ入れが確実に課題になったということが、JBAとしては良かった大会と反省点が見えた大会だった」と総括した。
大河チェアマンは「日々是好日(こうじつ)」と記入すると、「私たちがバスケットボール界に携わってもうじき3年になります。この間、良かった時ばかりではありませんでした。『今日はお客さん少ないな』、とか、『なんでフィリピンに負けたんだろうとか』と、色々な悔しいこと、悲しいことがありました。一方で、開幕を迎えたり、(Bリーグの)チャンピオンシップがあれだけ盛り上がったり良かったなということも色々あって、それの繰り返しです」と収穫も課題もあった2017年を振り返ると、「そういったことに一喜一憂せずに、2020~21年には、1億円プレーヤーを必ず出す、そして事業規模として300億円、総入場者数として300万人を目指していく、それを着実にやっていくために、日々良いこと、悪いことがあると思うけれども、そんなことに惑わされずにしっかりと前を向いてやっていきたい」と具体的な目標を改めて確認した。
天皇杯に関し、善戦したものの、さいたまスーパーアリーナを満員で埋め尽くすにはもう一歩足りなかったチケッティングについて質問が及ぶと、「さいたまスーパーアリーナという会場で初めてやりましたが、カップ戦の決勝というのは、どの場所でどの時期にやっているのかが定着してくれば、だんだんとお客さんは増えてくると思います」と語りつつ、「ただし、10年、20年待つわけにはいかないので、さいたまスーパーアリーナの決勝でさいたまを一杯にしたいという思いはあります」と個人としての想いを述べた。
また、「決勝戦に出てくる相手がどこかわからない中で、前日の夜に(対戦カードが)決まって、翌日チケットを売る大変さはあるので、準決勝と決勝の間を続けたほうが良いのか、空けた方が良いのか、今までの前例にとらわれずに議論していきたいと思います」と課題解決に向けて、しっかりと検討することを示唆した。
2018年のバスケットボール界は、男子日本代表にとっては運命の決まる重要な一次予選が、女子にはワールドカップのメダル獲得という命題が課せられている。また、JBA、Bリーグや関連組織にとっても、引き続きガバナンスの強化や、クラブの育成など課題は盛りだくさんだ。新年の決意表明のとおり、強いリーダーシップを発揮して、バスケットボール界を牽引してくれるのか、両トップの動向に注目したい。
文=村上成