【琉球のキーパーソンに聞く②】「僕らの攻撃が相手の守備を上回れるかがカギ」佐々宜央HC

今シーズンから琉球の指揮官に就任した佐々HC[写真]=B.LEAGUE

bjリーグのチャンピオンとして初年度のBリーグに臨んだ琉球ゴールデンキングスだったが、チャンピオンシップに進出したものの、1回戦で敗退してシーズンを終えた。2シーズン目の開幕を迎えるにあたり、佐々宜央ヘッドコートを迎え入れ、日本代表経験者を移籍で獲得するなどチーム改革を断行した。今回、2017-18シーズンの後半を迎えるにあたり、琉球のキーパーソン4名にインタビュー。現在のチーム状況、そして、今後の展望についてお話をうかがった。

――改めて沖縄はいかがですか?
佐々HC 非常に過ごしやすいですね。本当にアスリートからしたら暖かい地域って結構助かると思うんですよ。

――新しくチームを見始めて3カ月が経ちましたが、ヘッドコーチから見て今のチーム状態はどうですか?
佐々HC そうですね。成長はしてると思います。毎回試合が終わるたびにしょっぱいコメントをしてるんですけど(笑)。まだまだ荒削りな部分も多くありますが、でもそれはネガティブなことじゃなくて、「常に課題はあるよ」「慢心せずに一つひとつ進んでいこうよ」っていうことです。やっぱり成長してるっていうところの自信は持ってほしいなと思っています。でも、本当にバスケットって怖いスポーツで何が起きるかわからないので、慎重にしながら積み重ねていければいいなと。本当に開幕のときよりは全然良くなってると思いますよ。

――具体的にどこが一番良くなってきているんですか?
佐々HC 正直ディフェンスの質に関しては良くなってるんですけど、シーズン当初もディフェンスはそんなに悪くなかったんですよ。本当に激しくやってますし、ポイントもつかんでもらっていました。一方オフェンスの方がどちらかというと課題が多くあった中で、僕もそういった意味で初めてヘッドコーチをやって、最初は選手がやりづらそうだなっていうのが結構あったので自分の中でも試行錯誤して。でも、今は整理してすごいシンプルです。それが選手にもすごくわかりやすいというところで、うまくいってるんではないかなと思っていますね。

――オフェンスの部分で?
佐々HC そうですね。オフェンスのところでやっぱり戦術・戦略がだいぶシンプルなものにしました。実は毎週毎週、戦術をちょっとずつ変えてるんですよ。僕も毎試合ごとに反省を繰り返して「もう少しこうした方が選手の方がやりやすいんじゃないか」とか、「こうした方がもうちょっといいな」っていうのを積み重ねてきたことが、今、少しやりやすくなってきている要因かなっていうふうには多分選手も思ってくれてると思いますし。そうなると、今度は相手も使うディフェンスとか色々読んでくると思うので、多分また次のステップになった時にその裏をかけるようになるのかとか。今、土台がやっとここに来て少しできたのかなっていうとこですね。

――相手のことよりも、自分たちのベースを作ってきた3カ月だったんですか?
佐々HC ディフェンスはもちろん激しさとか、精神的なものもありますけど、対戦相手ありきですね。やっぱり相手もオフェンスの特徴があるわけなので。でも、オフェンスはどちらというと、向こうよりはこっちっていう方が多かったですね、実際。

開幕当初に比べオフェンスをより一層シンプルにしたことが現在の好調につながっているという[写真]=B.LEAGUE

――アシスタントコーチ時代も相手のスカウティングをやられてきたと思います。今、ヘッドコーチになってみて変わったなという部分はありますか?
佐々HC ディフェンスのスカウティングのところはほぼ変わらないですね。当時、僕はトム(トーマス・ウィスマン、元栃木ブレックスHC)の下とか、日本代表チームで長谷川(健志)さんの下でやってるときも結構任せてもらってたので、今とはそんなに変わってないです。ただ、オフェンスのところは、トムも長谷川さんも然り、色んなコーチも含めて元々のヘッドコーチがやってるオフェンスがあるので……。今は自分がヘッドコーチになったので、そのオフェンスを全部変えることもできるわけじゃないですか。だからアシスタントとヘッドコーチになって違うのは大きく言ったらやっぱりそこですかね。大きな枠でさえも変えちゃうっていう。実際にやってますし、それを変えたときに勇気もいります。ダメな方向にいく可能性もありますけど、それでも崩しちゃいます。

――そこが面白いところでもありますよね。
佐々HC 多分一番ヘッドコーチとしては面白いとこですけど。まだ自分はそこまでいけてないので、すごい緊張感ありながら「これ大丈夫かな?」とか、まだそういう段階です。

――当然琉球もメンバーが変わりましたが、リーグ全体で昨シーズンと何か違うなっていうのはありますか?
佐々HC 今年は地区によって多少違うでしょうけど、単純に激しくやるチームが増えてると思います。それこそ西の島根(スサノオマジック)さんとか西宮(ストークス)さんとかも、勝ち星は伸ばせてないですけど僕らが実際に対峙して島根には2連敗してますし結構嫌ですね。捨て身覚悟で本当にすごい気持ち入ってきているので、簡単に勝てる試合というのがそんなにないっていうシーズンなのかなと。東を見た時も(レバンガ)北海道さんであったりとか、(サンロカーズ)渋谷さんもそうですよね。川崎(ブレイブサンダース)さんだったら去年とあんまり変わってないところが意外に勝ち星が伸ばせていない。ディフェンシブなチームがすごい増えてきてるというのは、大きな違いなのかなっていう感じはしてますね。

――その原因は何だと思いますか?
佐々HC やっぱり単純に、去年のBリーグを制したチームが栃木ブレックスだったからでしょうか。栃木ブレックスって田臥勇太が光って見えますけど、去年はオフェンスの成功率もそんな高くない中で、リバウンドとかディフェンスとかルーズボールとかをすごくがんばって勝っていったのです。なので、「こうすると勝てるんだ」という成功例とも言えるのではないでしょうか。僕も栃木でやってたのでそういうDNAももちろんありますし、そういう見方をしたコーチ陣が多かったんじゃないかなというのは勝手に思ってます。

指揮官は昨季ディフェンシブな栃木が優勝したことで、リーグ全体のバスケが変わったと自身の見解を述べた[写真]=B.LEAGUE

――となると、この先どういうチーム作りをする、その青写真はできてるんですか?
佐々HC 本当にディフェンスを激しくやる部分は不可欠です。それこそ僕が代表にいさせてもらった時も、スカウティングして相手のオフェンスを潰しにいくのは意外にやりやすいですけど、逆に自分たちのオフェンスを相手にスカウティングする、それを潰しにかかってくるわけじゃないですか。
その対応は難しいものです。なので本当に後半戦のもう一つカギになるのが、さっき言ったディフェンシブなチームに対して僕らがやりたいオフェンスがそのディフェンスを上回れるか。要するに裏をかくプレーなのか、その上をもうちょっと賢くいけるのかっていうところがすごい重要になってくるのかなと。多分激しい攻防になると、お互いにディフェンスでも攻撃でももっとレベルの高い試合になって、すごいディフェンスも激しいんだけど、オフェンスもやっぱ決まるよねとか。なので、次スカウティングされてときとか前回負けたチーム、ディフェンスが激しいチームに対して僕らがどうオフェンスしていくのかっていうのがまた一つ大きな課題かなと思います。

――見ている方からすると本当に楽しみです。
佐々HC 僕もすごいそれは楽しみにしてます。僕の立場であんまり勉強になるって言い方しちゃいけないですけど、今うまくいってないところも常に改善しようとはしてるので、本当に成長しながら後半戦に向けてもっともっといいバスケできたらなと思います。

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