東地区4位と5位の直接対決となった、2月9日の墨田区総合体育館で行われたサンロッカーズ渋谷とレバンガ北海道のB1リーグ第19節第1戦は、90-64と北海道が26点の大差をつける圧勝。まずは5位の北海道が先手を取り、その差を1つ縮めた。
開幕直後は台風の目としてリーグをかき回した北海道も、中盤に差しかかるとさすがに激戦の東地区の荒波にのまれ、さらには外国籍選手が不祥事で退団するというショッキングな出来事も起きた。しかし、第18節には同地区首位のアルバルク東京から1勝を奪い、当面のライバルとなるSR渋谷からも白星をもぎ取った。
ズルズルと滑り落ちそうな状況でも強い気持ちで戦い、結果を残している今のチーム状況を、折茂武彦はこう説明する。
「僕らは何も変わったことをしているわけではなく、今までやってきたことの積み重ね。ああいうことがあってチームに動揺が走ったことは事実ですが、僕らにはいろんな人の支えがあるし、ゲームは待ってくれない。このチームは前向きな選手が多いので、それを引きずることもしないし、外国籍選手が1人足りない状況を言い訳にせずに戦えている。これから新しい外国籍選手が合流すると思うんですが、今後のゲームがもっと楽しみになるんじゃないかと思います」
クラブ代表であり、最年長選手でもある折茂は、当然ながらその一挙手一投足がチームメートに大きな影響を与える存在。チームがネガティブな状況に陥った時、様々な修羅場をくぐってきた折茂の言葉はチームを引っ張り上げる要素になり得る。しかし、折茂自身はそれをことさら意識することはないと言う。
「チームにはキャプテンもいるし、他にベテランの選手もいる。年齢に関係なく、みんながものを言える環境を作ることが大切だと思うので、僕が特別何かを言うことはしません。僕は最年長ではありますが、戦力であり続けることが現役でいる理由の1つ。コートに立った時に自分の持ち味を出すことが、チームにとってプラスになると思っています」
あくまでもチームの一員として、プレーで貢献したいと語る折茂。その言葉のどおり、この日も約20分間の出場で12得点をマークし、スコアラーの本領を発揮した。26点差という大勝にも満足することなく、「もっともっと上を目指せる」と貪欲だ。
今季ここまで35試合すべてに出場して1試合平均8.3得点を記録。折茂の高いパフォーマンスが、上位再浮上を狙う北海道の生命線であることは間違いない。
文=吉川哲彦