湊谷安玲久司朱、ケガ乗り越え52試合ぶりに出場「『できるんだ』と思えたことが一番の収穫」

27日の復帰初戦で7得点を挙げた横浜ビー・コルセアーズの湊谷 [写真]=B.LEAGUE

 待望の瞬間は、第2クォーター残り2分55秒に訪れた。名古屋ダイヤモンドドルフィンズを迎えた4月27日のB1リーグ第30節第1戦、横浜ビー・コルセアーズの主将を務める湊谷安玲久司朱が、実に52試合ぶりにコートに立った。

 今季は主将という大役を任されながらも、開幕4試合目で右足アキレス腱断裂の大ケガを負い戦線離脱。アシスタントコーチの肩書きを加えてベンチには入っていたものの、6カ月半もの間、実戦から遠ざかっていた。コートに戻った瞬間を湊谷はこう振り返る。

「あまり緊張しないほうなんですが、今日は緊張した。でも後半に出る時はそれも収まって、気持ちいい感じで『バスケしてるなぁ』と。練習ではそういう気分を味わえないので」

 この日の出場時間は7分48秒。2点リードで迎えた第4クォーターは最初からコートに立ち、ドライブで復帰後初得点を挙げた。その後のフリースローを挟み、残り7分55秒にはアーリーオフェンスでうまくフリーになり、田渡凌のパスを受けて得意の3ポイントを決めてみせた。復帰初戦とあって当の本人も「今日は、シュートは打たなくていいかな、感覚をつかむだけでいいかなと思っていた」というが、この3ポイントで相手にタイムアウトを取らせるなど、チームに勢いをもたらしたことは間違いなく、7得点という数字は上々の出来と言っていいだろう。

限られた出場時間で7得点2アシストを記録 [写真]=B.LEAGUE

 結果的にチームは接戦をものにできず、「B1 残留プレーオフ 2017-18」出場が決定。やはり残留プレーオフを戦った昨季からステップアップすることができなかったことに、湊谷は「残りの試合はプレーでチームを引っ張ることを第一にやっていきたい」と、主将としての強い意志を口にした。その思いの原動力はブースターの存在だ。

「これだけ長い時間コートに立てないのは初めてだったので、何回も心が折れそうになった。ブースターのみんなが会う度に『待ってるよ』と言ってくれたのが励みになりました」

 チームの残留プレーオフ出場は決まったが、試合後の記者会見に姿を見せた湊谷の表情はむしろ明るく、冗談も口にするほどだった。それはやはりコートに立てた喜びと、残り試合への手応えを見出したからだろう。

「緊張はしていたが、もっと緊張する、頭真っ白になるのかなと思っていたら、ベンチでずっと見ていたおかげなのか、試合の中でも意外に冷静でいられた。6カ月ぶりでそれができたのはこの先に活かせる。今日プレーしてみて『できるんだ』と思えたことが一番の収穫だと思います」

文=吉川哲彦

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