5月12日から、レギュラーシーズンを勝ち抜いた8クラブによるBリーグ王座を懸けた激闘、「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017-18」が幕を開ける。そこでバスケットボールキングでは、よりチャンピオンシップを楽しんでもらえるよう、さまざまな企画を用意。ここでは同メディアで活動してくれているライター陣とともに、今シーズンにおける各クラブの振り返り、チャンピオンシップに向けての展望を紹介する。
的確な補強が功を奏し地区優勝達成、士気が上がった状態でクライマックスへ
昨季はアルバルク東京との東地区2位争いであと一歩及ばず、ワイルドカード枠でのチャンピオンシップ進出となった千葉ジェッツ。クォーターファイナルの栃木ブレックス戦に敗れ、アウェイで戦う難しさを痛感させられた。それを受けて今季は、優勝はもちろんのことながら、「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017-18」ホーム開催を目標に据え、ギャビン・エドワーズとアキ・チェンバースという的確な補強を敢行してシーズンに臨んだ。
富樫勇樹を起点としたオフェンスは開幕から昨季以上の完成度を見せ、安定した得点力を誇るマイケル・パーカーや小野龍猛らにエドワーズが加わったことで破壊力がアップ。大野篤史ヘッドコーチが強調する“ディフェンスマインド”も浸透し、開幕ダッシュを見せたA東京の背中をしっかりと追走した。第15節のA東京との直接対決で連敗を喫して3勝差に開いてしまったが、直後の「第93回天皇杯」では前年度に続く連覇を達成。第16節の横浜ビー・コルセアーズ戦で114得点のリーグ新記録を樹立するなど再び上昇気流に乗り、2月は5勝1敗、3月は9勝1敗の快進撃でA東京と並走した。第26節、49試合目でついに地区首位の座を奪うと、そのまま1位を守り抜き念願のチャンピオンシップホーム開催権を獲得。士気が上がった状態で2冠を狙う。
リーグ戦で大野HCが時折口にしていたのが、大量リードを奪った展開で「リラックスしてしまう」ことだ。特に、大きく勝ち越した中地区や西地区との対戦で、大差がついた第4クォーターに失点がかさんでしまうケースが散見されたのは事実。短期決戦のチャンピオンシップではそれが命取りになりかねないことを大野HCも危惧しているはずであり、現に栃木に屈した昨季のクォーターファイナルでは、2戦目の第1クォーターで試合を支配したにもかかわらず、最後は栃木にひっくり返されている。また、今季も連戦の1戦目を2ケタ点差で快勝しておきながら2戦目を落とすケースが5度あった。レギュラーシーズン同様に2連戦となるチャンピオンシップでは、それらの教訓を活かさなければならない。
とはいえ、集中力を持続することさえできればどんな相手をも圧倒する力があることは、レギュラーシーズンで証明済み。天皇杯とその後のリーグ戦も、富樫と西村文男を故障で欠いた状態で白星を重ねた。勢いよく勝ち進んだ昨季の姿に地力を加えた今季の千葉が、優勝候補の一角であることは誰の目にも疑いようがない。16年のキャリアに幕を下ろす伊藤俊亮の花道を、この上ない最高の結末で飾ることができるか。
文=吉川哲彦