6月15日(東京・大田区総合体育館)、17日(宮城・ゼビオアリーナ仙台)に開催される「バスケットボール男子日本代表国際強化試合2018」。韓国代表を招いて行われるこの一戦は、男子日本代表にとってニック・ファジーカス、八村塁をいう新戦力が加わるWindow3を前に、チーム作りの観点からも重要な意味を持つと言えるだろう。そこで、ここでは日韓戦の歴史、さらに韓国代表の現状を紹介したい。
FIBA国際大会では20年勝利していない相手
日本がなかなか超えられない壁、それが男子バスケットボールにおける韓国だ。近年のFIBA公式戦では、1997年アジア選手権(現アジアカップ)の2次ラウンド以来勝ち星がなく、それ以外の国際公式戦でも、昨年6月に行われた東アジア選手権と2009年の東アジア競技大会の予選ラウンドでしか勝利をあげていない。
しかもその3戦にしても、韓国はただ敗れているわけではない。1997年FIBAアジア選手権と2009年東アジア競技大会では敗れたあとに修正しながら優勝まで駆け上がっており、昨年の東アジア選手権は若手中心で準優勝の成績を収めている。その後、8月に行われたFIBAアジアカップではベストメンバーを揃えて81-68で日本に勝利。さらには3位決定戦でニュージーランドを下して銅メダルを獲得したことからも、やはり一枚上手の相手だといえる。
韓国と対戦すればフィジカルやスタミナの強さに屈し、組織的なプレーに翻弄されて完敗を喫してきた。また粘った試合でも、勝負所でのシュートの正確さやディフェンスのチェンジングといった駆け引きで惑わされてしまうことが多かった。その試合巧者ぶりが韓国の特徴であり、ここ数年は機動力ある2メートル級選手が多く出現しているのも強みである。
FIBAワールドカップ1次予選において、韓国のここまでの戦いでは2勝2敗。中国には敗れているが、香港に勝利し、強豪のニュージーランドには1勝1敗。アジアカップでの2勝を加えると、すでにこの1年でニュージーランドから3勝をあげるほどの力がある。Window3では中国と香港とのアウェー戦を残しており、2連勝を目指している。
センター3人、シューター2人。主力5人の不在をどう乗り切るか
韓国の地力はアジアでも認められるところだが、ここに来て主力の欠場が相次いでいるのが懸念材料だ。昨年のアジアカップでベスト5を受賞したエースのオ・セグン(200センチ、31歳)をはじめ、跳躍力抜群のキム・ジョンギュ(207センチ、26歳)、2014年ワールドカップでブロックショット王のイ・ジョンヒョン(205センチ、24歳)といった代表常連のセンターが負傷のために外れている。
また、昨シーズン(2017-18)KBLでレギュラーシーズンMVPを受賞した得点力あるガードのドゥ・ギョンミン(184センチ、26歳)と、Window1のニュージーランド戦で3ポイントを爆発させたチョン・ジュンボム(191センチ、26歳)という、勢いがあるシューター2選手が不在。2人は兵役に就いたばかりであり、新兵に課せられる基礎訓練を受けるために今回は辞退に至った。主力センター3人と3ポイントの得点源を一気に失った韓国は、チーム構成の面で大きな課題に直面している。
帰化選手と2メートル級の若手ら新戦力の融合が課題
だが主力5選手を欠いても、名を連ねているのはKBLで躍動する選手ばかりであり、選手層の厚さがうかがえる人選になった。中でも警戒したいのは、Window2から帰化選手として新戦力となったリカルド・ラトリーフだ。センターとしては199センチと高さはないが抜群のスタミナと走力を誇り、KBLでは54試合連続となる得点とリバウンドでのダブルダブルを記録した鉄人である。
チームの中心となるのは、司令塔のキム・ソニョン、ポイントゲッターのイ・ジョンヒョン、サウスポーの万能型選手のイ・スンヒョン。彼ら3本柱を軸に、チェ・ジュニョン、カン・サンジェ、キム・ジュニルといった2メートル級の若手が成長しており、さらには昨シーズン、Gリーグ(NBAの育成リーグ)に挑戦したイ・デソンも攻防両面でカギを握る存在として浮上している。これらの個性派を現役時代に「バスケの大統領」と呼ばれたホ・ジェ監督が率いる。今回の日本戦では、新戦力を鍛えながらもチーム力を融合させる場となるだろう。
文・写真=小永吉陽子