10月28日、ハンナリーズアリーナで行われた京都ハンナリーズとアルバルク東京の一戦。昨シーズンのチャンピオンシップでの対戦も含め、激闘を繰り広げてきたこのカード。前日の対戦では後半京都がいい流れでゲーム運びをするも、終盤に引き離されて惜しくも敗戦。シーズン開幕前に様々な出来事もあり、チーム作りが遅れた感のあった京都だが、開幕してみるとこのゲームの前までで勝ち越しをしており、悪くないシーズン序盤を過ごしている。
この日は、序盤から昨日のいい流れを引き継ぎながら試合を進める。ジュリアン・マブンガを中心にゲームをコントロールしてリードを広げると、課題のリバウンドもチームで獲得して相手にセカンドチャンスを与えない。その中心になったのは浜口炎ヘッドコーチから期待されている、アウトサイドシュートが得意の晴山ケビン。彼が序盤からリバウンドをもぎ取り、オープンのアウトサイドシュートを次々とねじこむなど第1クォーターだけで10得点とゲームの主役に躍り出た。しかし、同クォーター中盤にいきなりファウルトラブルという問題に直面してしまう。デイヴィッド・サイモンが個人ファウル2つを取られてしまったのだ。ここで今シーズンから少しずつ試しているゾーンディフェンスに変更。これが結果的に流れをさらに加速させ、相手にオープンシュートを打たせないハードワークで流れをつかんだ。正しい表現ではないかもしれないが、まさしく「怪我の功名」という形でA東京のオフェンスをほぼ完璧に止める形となり、前半を17点リードで折り返した。
A東京のルカ・パビチェビッチHCは「今日の敗因はゲームの序盤も悪さを含めて、前半にビハインドを背負ってしまった」と話せば、竹内譲次も「出だしで京都の勢いを止めることができなかった。ゲーム中にケガ人が出たりしたが、昨日の後半からの京都の勢いをチームとして対処できなかったのが敗因」とこの前半がゲームを大きく左右したのであった。
後半に入って少しずつA東京も反撃を見せるが、要所で京都のアウトサイドシュートが決まる。さらにはサイモンが非凡な才能でアウトサイドシュートやペイントエリア内で次々と得点を重ねていく。前半からいいペースでバスケットを展開していった京都であったが、第4クォーターに入り、ハードワークの疲れから徐々に足が止まり始めた。その隙を逃さないA東京が怒とうの反撃を見せて追いあげるが、京都が逃げきる形となり、79-70で勝負が決着。
試合後、浜口HCは「ゲームの出だしからエネルギーを持ってしっかり戦えたのかなと思います。体力的にしんどくて最後は厳しくなって取られ始めましたけど、リバウンドに関して特に前半はしっかり取れたのが良かった。サイモンのファウルトラブルでゾーンディフェンスに変えたんですけど、今シーズンはゾーンディフェンスを使っている中でそれが少しずつ機能してきているかなと感じています。ポイントはリバウンドとターンオーバーでした。この2日間でリバウンドの重要さを凄くわかりました。大部分の時間帯では体を張ってリバウンドを確保してくれ、少しは良くなったかなと思います」と、チームの課題の改善にて一定の手応えを感じている様子であった。
このゲームの勝因である、出だしからエナジーを持って戦えたことに関して、選手たちも同じような感想を持っていた。マブンガは「とてもいいゲームだった。昨日の後半ですごくいいゲームができていたので、それを継続した形で勢いに乗っていけたと思います。リードを保ちながら、最後までいけたのは大きかった」と語れば、岡田優介も「本当に1つ勝てて良かったです。昨日も勝てるチャンスはあったんですけどやっぱり向こうのバスケは完成されているし、なかなか簡単にはいかないなと思っていた。今日はエナジーとかそういった部分でこちらが上回っていたのでみんなの自信になったと思います」と昨シーズン王者からの勝利に満足感を見せていた。
写真・文=鳴神富一