“心に響く、一発勝負”をキャッチフレーズに「第94回天皇杯・第85回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」のファイナルラウンドが本日より4日間に渡って行われる。
新年最初のチャンピオンに輝くのはどのチームか?
興味は尽きないが、男子の準々決勝第一試合、栃木ブレックスとサンロッカーズ渋谷との一戦には、フレッシュな顔がコートに立った。
昨年12月に行われた『第70回全日本大学バスケットボール選手権記念大会』(以下インカレ)で準優勝となった専修大学の3年生・盛實海翔。パスにシュートにと器用にこなすエースは、インカレではアシスト、3ポイントシュートでのタイトルに加えて、敢闘賞も獲得した。インカレ後の12月25日にSR渋谷に特別指定選手として入団すると、今日の試合が公式戦デビューとなった。
注目の集まる盛實が登場したのは第2クォーター残り1分11秒。その29秒後には、鮮やかに3ポイントを決めて見せた。
「チームメートがドライブからキックアウトしてくれて、ノーマークでいい感じにパスが来たので自分のリズムで打ちました。“自分のシュート”を思いきって打てたと思います」と、初得点の感想を語り、またSR渋谷の一員として得点を決めることができたことにも素直に「うれしかったです」と笑顔を見せた。
もちろん、中心選手でポイントゲッターの専修大学とはSR渋谷では立場や役割が違う。それは本人も理解済みで、「今日みたいに(試合では)ワンポイントで使われることがあると思うので、しっかりベンチで準備をして、自分の役割、シュートだったりドライブだったりをできればいいなと思っています。心の準備と体の準備が大事だと思うし、出たら思いきってやるだけですね」と言う。
まだまだチームのシステムを理解して落としこむことなどやるべきことは多いが、プロ選手たちから学ぶことは多いようで、ロバート・サクレら元NBA選手たちからも「練習での声の出し方、練習の態度だけでなく、日常でも勉強になることだらけです」と声を弾ませる。
埼玉県出身で大会が開催されているさいたまスーパーアリーナは、実家にも近いとのことで、「(埼玉に)帰ってきたという感じはありますし、楽しくプレーできました」と盛實。
「プロの世界はフィジカルの部分が(大学と)違うと思うので、大学ではできてもここでは通用しないことはたくさんあると思います。まずは体作りが先決だと思います」と、当面の課題も的確に挙げていた。
文=田島早苗