2019.03.28
Bリーガーにバッシュへのこだわりを聞いていく連載は今回で区切りの10回目。今回登場するのは、ロバート・サクレ選手(サンロッカーズ渋谷)。NBAでプレーし、現在は日本にその活躍の場を移しているビッグマンが、選んできたバッシュとは?
取材協力=サンロッカーズ渋谷
文=CARTER_AF1
――現在履いているバッシュを教えてください。
サクレ 『AIR JORDAN』を色々履いてきましたが、今はずっと、NIKEの『HYPEDUNK 2017』を履いています。
――まず、『HYPERDUNK 2017』を選んだ理由を教えてください。
サクレ 履いていた『AIR JORDAN』が壊れてしまって、次のシューズはどうしようと考えている時に履いた『HYPERDUNK 2017』の感触がすごく良かったので、それから続けて履いています。
――『HYPERDUNK 2017』を履くきっかけにもなった、壊れてしまった『AIR JORDAN』はどのモデルでしたか?
サクレ 『AIR JORDAN 11』です。以前は他にも『AIR JORDAN 9』とか、色々なシューズを履き替えていたんです。1つのシューズを履き続けるのは好きではなかったので。でも今シーズンは、(感触の良い)『HYPERDUNK 2017』を履き続けています。
――『HYPERDUNK 2017』には、<リアクト>というクッション技術が搭載されています。そのリアクトのクッショニングはどう感じていますか?
サクレ このシューズのクッションは私にとってすごく心地よいもので、NIKEの製品の中でも上位といえるクッショニング性能を持っていると感じています。
――『AIR JORDAN』のクッショニング機能は<エア>です。対する『HYPERDUNK 2017』は<リアクト>です。その違いは?
サクレ 『AIR JORDAN』の中では、プレーする上で一番お気に入りなのは『AIR JORDAN 10』なのですが。(それに搭載されていた)<エア>と、『HYPERDUNK 2017』の<リアクト>では、プレーに影響するほど気になる違いはなかったですね。『AIR JORDAN 10』が一番好きなのは、ずっと履いてきたシューズだからです。日本に来てからも、サンロッカーズ渋谷に加入した2年前のシーズンの後半から昨シーズンまで、また履いていました。
――サクレ選手はローポストから相手選手を背負ってから押し込んだり、ターンしたりしてリングを狙うプレーが得意ですが、『HYPERDUNK 2017』が持つグリップの良さというのは、そうしたプレーにどういう好影響を与えてくれますか?
サクレ しっかりグリップしてくれるので、ポストプレーでも力を込めやすいです。私は今『HYPERDUNK 2017』を2足所有しているのですが、これまでバスケをしていなかった人にもお勧めできるシューズだなと感じています。見た目がカッコいいことも大事ですしね(笑)。
――なるほど(笑)。それではここから、サクレ選手がこれまでのキャリアでどのようなバッシュを履いてきたかをお聞きします。バスケを始めたのは何歳からですか?
サクレ 11歳の時でした。
――その頃に履いたバッシュを覚えていますか?
サクレ コービー(ブライアント:元ロサンゼルス・レイカーズ)のいたレイカーズが初めてNBA制覇した時に彼が履いていた、ADIDASのKOBEモデルですね。
――コービーが2000年のNBAファイナルで履いていた、『THE KOBE 1』ですか?
サクレ そうですそうです、ADIDASの『THE KOBE 1』です。それから、AND1の『TAICHI MID』も履いていました(笑)。
――『THE KOBE 1』も『TAICHI MID』も、カッコいいバッシュですよね。サクレ選手はカナダの高校を卒業していますが、高校以降はどんなバッシュを履いていたのか、覚えている範囲で構いませんので教えていただけますか。
サクレ (在学した)ハイスクールのスポンサーがNIKEでしたから、高校の時はNIKEを履いていました。その後進学したゴンザガ大学【注1】でもNIKEがスポンサードしてくれていたので、NIKEばかり履いていて。「どれ?」と聞かれても全ては答えられないくらい、たくさんNIKEを履きましたね(笑)。
【注1:NCAAディビジョンⅠに所属し、アメリカ大学バスケットボール界においても名門で知られる強豪校。多数のNBA選手を輩出し、現在八村塁選手も所属している。琉球ゴールデンキングスのアイラ・ブラウン選手も同大学出身】
――学生時代、どんなバッシュを履こうかと選ぶ時に、当時憧れていたNBAプレーヤーのシューズを選ぶというようなことは?
サクレ 憧れていた選手のシューズだから選んだ、というものはなかったんですが(笑)、『AIR JORDAN 10』や、『ZOOM UPTEMPO V』はよく履いていた記憶があります。
――『AIR JORDAN 10 』、本当にお好きなのですね(笑)。ゴンザガ大学時代、『AIR JORDAN 10』以外にも『AIR JORDAN』は履いていましたか。
サクレ 1年生の時から色々履いていました。4年生の時は、『AIR JORDAN 11』も履きましたね。
――『AIR JORDAN』が好きなのは、やはりデザインが良いからですか? それともマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズ他)のファンだったから?
サクレ それはもう、ルックスが良かったからです(笑)。カッコいいものを履けば、プレーもよくなると感じているので、見た目重視で選びましたし、本当に好きです。
――では幼少期から少年期を通して、履きたくても履けなかった憧れのバッシュ、というのは何かありますか。
サクレ う~ん……、履きたいと思ったものは、手に入っていたので(笑)。逆に今になって手に入れたいのが『TAICHI MID』です。なぜなら探しても私が履けるサイズが見つけられないので。『TAICHI MID』はもう一度履いてみたいと思えるバッシュですね。
――足のサイズは?
サクレ 33センチか、34センチを履いています。
――そのサイズで『TAICHI MID』を探しても見つけられないですよね!?
サクレ そうですね(笑)。
――憧れていた選手、もしくはプレーの参考にした選手は誰ですか?
サクレ 子供の頃ならシャキール・オニール(元ロサンゼルス・レイカーズ他)【注2】です。シャックのことは本当に大好きでした。それから、ストロマイル・スウイフト(元バンクーバー・グリズリーズ他)もですね。
――子供の頃から、運動能力もあるパワープレーヤーが憧れだったのですね。
サクレ はい、そうです。
――ちなみにシャキール・オニールと言えばREEBOKのバッシュが有名ですが、それを試しはしなかった?
サクレ ノー、ノー(笑)。ただ、REEBOKのPUMPモデルは少しの間だけ履きました。2005年くらいだったと思います。それ以外では、REEBOKのシューズは履いたことはないです。
――ここからは、ロサンゼルス・レイカーズ時代のことをお聞きします。入団した当時、パウ・ガソル(サンアントニオ・スパーズ)や、ドワイト・ハワード(ワシントン・ウィザーズ)がサクレ選手と同じポジションにいました。彼らが履いていたバッシュは、気になったりはしませんでしたか?
サクレ いいえ(笑)。ドワイトはADIDASを履いていて、パウの方は普通のNIKE製バッシュを履いていましたから(笑)、特に気になったことはありませんでした。
――サクレ選手自身は、レイカーズ入団当時はどんなバッシュを履いていましたか?
サクレ レイカーズに入った1年目から6モデルは履いたはずで、あまり覚えていないのですが全てNIKEでした。それ以降も、プロのキャリアではNIKEしか履いていなくて、(NIKE製の色々なシューズを)履きすぎて全部は覚えていないくらいです(笑)。ただ、今思えば、イエローとパープルの、レイカーズカラーの『AIR JORDAN』というのはあまりないので、そういう配色の『AIR JORDAN』は履いてみたかったなと。
――レイカーズ時代のサクレ選手は、コービー・ブライアントのモデルを履いているシーンも多かったように思います。
サクレ 今でも練習中に『KOBE AD』を履くこともあります。ただ、試合で履くことはないですね。
――当時は、『ZOOM KOBE 4』なども履いていらしたかと思います。ガード向けのバッシュだとも言えますが、それを選んだきっかけというのは何かあったのでしょうか。
サクレ きっかけと言うと…実は、KOBEモデルはレイカーズに在庫がたくさん置いてあったんです(笑)。それをもらって履いていました。
――それは、レイカーズのロッカールームに、「欲しい人はどうぞ」と積んであった、ということですか?
サクレ そうですね。当時ロッカールームでもらってきたシューズは、今でも何足か持っていますよ(笑)。
――レイカーズのリーダーだったコービーのモデルだから、ということではなく、たくさん置いてあったからだと(笑)。そういえば、チームメイトでも『ZOOM KOBE 4』などを履いている選手が多かったですよね。
サクレ 「コービーのモデルだから履く」というようなルールや義務だった訳ではなく、そこにあるから持ち出して履いているというのと(笑)、当時流行していたシューズだったから、というのもあったと思います。『AIR JORDAN』を好きな選手はそちらを履いていましたけど、『KOBE』を履いている
――そのコービー・ブライアントとは、彼が引退したシーズンまで一緒にプレーしました。引退試合でも、サクレ選手はその場にいましたね。
サクレ はい。コービーのような伝説の選手と一緒にプレーしてこられて非常に誇りに思っていますし、彼の引退試合【注3】はとても印象深い経験でした。
【注3:2015-16シーズンでの引退を表明していたコービー・ブライアントは、コンディションが上がらずに全盛期の面影は全くないラストシーズンを過ごした。しかし現役最後の試合となった2016年4月のユタ・ジャズ戦では、全盛期に戻ったかのように60得点の大爆発。チームを逆転勝利に導く、感動のフィナーレとなった】
――ではレイカーズ時代に履いた中で、最も印象深いバッシュを教えてください。
サクレ チームカラーのシューズがあまりなかったので、NIKEから提供してもらった『ZOOM UPTEMPO V』をよく履いていた記憶があります。NIKEiDなどでは様々なカラーをオーダーできますけど、当時はレイカーズカラーのシューズなどをオーダーすることができなかったですから。
――バッシュやスニーカーに対して「最も愛がある」と感じた選手はいますか?
サクレ ケンドール・マーシャル(元ロサンゼルス・レイカーズ他)。そしてニック・ヤング(現FA)【注4】。彼らはコレクターでもあって、本当にたくさんシューズを持っていましたし、クールでした。例えばニック・ヤングは、自分が履いたシューズにチームメイトからもサインをもらって、それを飾っていたりするのです。私がサインしたものも、彼は今も自宅に飾ってくれています。
【注4:誰もが目を引かれるファッションセンスを持ち、”スワッギーP”との愛称でも呼ばれるニック・ヤングは、NBAで屈指のスニーカーコレクターとしても知られた。試合で履くシューズのチョイスも独特で、ADIDAS YEEZY BOOST 750 のようなそもそもバッシュではないものもコートで使用した】
――そうだったのですね、貴重なお話ありがとうございます。ではBリーグの選手で、この選手は「スニーカーを愛しているな」、と感じる選手は?
サクレ (ベンドラメ)礼生ですね。たくさん所有してもいますし、比較できる選手が見つからないくらい、絶対的に(スニーカーに対する愛が深いのは)礼生だと思います。
――ベンドラメ選手と、バッシュやスニーカーのことについて話をしますか?
サクレ 礼生とはよく、「そのシューズどうしたの?」、 「そのシューズどう?」と情報交換をしますし、コーチH(廣瀬慶介アシスタントコーチ)もかなりシューズを持っていますから、彼も交えて話をしたりしています(笑)。
――ベンドラメ選手にも、以前この連載でインタビューしました。サクレ選手が印象に残ったシューズとして挙げた『ZOOM UPTEMPO V』の原型となった、『ZOOM FLGHT 5』をベンドラメ選手は本当に大好きで、それが日本でオーダーできなくなりもう履けない、となった時に「バスケをやめようか」と迷ったとおっしゃっていましたよ(笑)。
サクレ オ~。…フフフ(笑)。
――サクレ選手のキャリアの中で、バッシュにまつわる面白いエピソードなどが何かあれば教えてください。
サクレ 昨シーズンの栃木での試合の時、履いていたシューズのエアが破裂してしまって(笑)。そこからの残り時間は、エア抜き(クッションがない状態)でプレーしなければならなかったことがありました。
――ちなみに、モデル名は?
サクレ KD、ケビン・デュラント(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)のシューズです。『KD 9』だったと思います。あのシューズはいい履き心地だったのですけど、破裂してしまったので。(ゲン担ぎで)私はもう、KDのシューズは履かないことにしようと決めました(笑)。
――なんと、そうだったのですね(笑)。バッシュやスニーカーは、現在何足ほど所持していらっしゃいますか?
サクレ 日本に持ってきている分ですか? それとも全て?
――サクレ選手が所有されている全て、それから日本で所有している数を教えてください。
サクレ 250足です。今日本にあるのは20足程度です。
――そのサクレ選手の目には、日本におけるスニーカーカルチャーの盛り上がりは、どのように映っていますか?
サクレ 電車で移動している時とか、日本の皆さんはお洒落なシューズを履いているなといつも思いますし、そうしたシューズは私には履けるサイズがないので羨ましく見ています(笑)。本当に皆さん素敵で、日本でもスニーカーが流行っているのだという実感がすごくあります。
――Bリーグを見るなどして、これからバスケを始めようという人が、バッシュ選びに迷っていたとします。その様子をサクレ選手が見かけたとしたら、どんなアドバイスを送りますか?
サクレ それはもう、NIKEを勧めます。私の中では常にNIKEがベストで、他のものを履くという選択肢はほとんどなかったほどNIKEをずっと履いてきましたから。勧めるなら自然とNIKEになりますね。
――あなたにとって、バッシュとはどんな存在ですか?
サクレ ルックスで楽しめ、履き心地で楽しめ、そしていいプレーができる、そういう存在ですね。ルックスが良ければ(気分も良くなって)自分のプレーにいい影響をもたらしてくれますし、そういう意味で体の一部のようなものだとも言えます。
――バスケットボールが好き、バッシュが好き、という日本のファンに、最後にサクレ選手から一言メッセージをお願いします。
サクレ 好きなシューズや履きたいシューズがあったなら、買えるかぎり買って手に入れて、履いてほしいですね。私も今までそうしてきましたから(笑)。欲しいシューズは、どうぞ迷いなく買ってください。
――力強いメッセージですね。今回はありがとうございました。
サクレ (日本語で)アリガトウゴザイマシタ!
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