2019.04.13

【この一足~バッシュへのこだわり】馬場雄大「ウェストブルック、ハーデン、アービングのすごさを体感したい!」(後編)

Bリーグの連覇を果たし、そして夏のワールドカップでも活躍が期待される馬場雄大
シューズコーディネーター

Bリーガーにバッシュへのこだわりを聞いていく連載、第12回。今回登場するのは、馬場雄大選手(アルバルク東京)。Bリーグ連覇を狙うアルバルク東京、そして日本代表でも中心選手として躍動する彼のプレーを支えるのは、どんなバッシュなのか? また、今夏のワールドカップについても語ってもらった。

前編はこちら

取材協力=アルバルク東京
文=CARTER_AF1

オールスターゲームで新作バッシュを披露

富山で行われたオールスターでは発売前の『JORDAN WHY NOT ZER0.2』を履いてプレーした [写真]=B.LEAGUE

――前編では『PG 2』について色々とうかがいましたが、もう1つ聞きたいモデルがあります。JORDANブランドの『JORDAN WHY NOT ZER0.2』を、今年のBリーグオールスターで着用されていました。実は『JORDAN WHY NOT ZER0.2』はあのオールスター後に発売となったものであり、それに先行する形で馬場選手がオールスターで着用したことになります。あれはどういった経緯だったのでしょう。
馬場
 オールスターなので、お祭りという側面がありますよね!? ですから他の(出場選手の)皆さんも「見せるシューズ」を履いていました。自分へもオールスター用に何足か届いた中に、『JORDAN WHY NOT ZER0.2』もあったんです。それで「これもいいかな」と。『PG 2』とどちらにしようか、最後まで悩みました。でも、その日は練習もあまりしていなかったですし(笑)、履いてみたら違和感もなくて、これはいけるなと。後半は『PG 2』の赤に替えましたけど、スタートは『JORDAN WHY NOT ZER0.2』を履きました。

――まだ発売前でファンが注目するモデルということなら、PGシリーズ最新作の『PG 3 “NASA”』という選択肢もあったかと思います。
馬場
 そうですね、ただそこは『PG 3』にまだ踏み込めなかったというか(笑)。

――実は、バッシュ好きな方たちがざわついていたんです。以前のNBAでは、マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズ他)がAIR JORDANシリーズの新作をお披露目するのがNBAオールスターという時もありました。今年のBリーグオールスターでは、発売前の『JORDAN WHY NOT ZER0.2』を馬場選手たちが着用してお披露目した。そんな光景が日本のオールスターで見られたことに、「凄いな日本バスケ、ついにここまで来たか!」という感動もあったのですけど。馬場選手にそういう意識は?
馬場
 そうなんですね~! 僕にはそういう意識はなくて、「あ、新しいバッシュがあるな」と思ったぐらいでした(笑)。

――来年以降のオールスターも機会があればぜひ。「今日はこれ履いているぜ」、とアピールしていただければ、ファンも盛り上がりますし、NIKEのプロモーションにもなると思います。
馬場
 また機会があるかもしれないですね。そうなったら普段の試合とは違うアングルからでも、足元も撮ってほしいですね。

――馬場選手はプレー用のバッシュを選ぶ際に、カラーリングを含めたデザインにこだわりはありますか?
馬場
 デザインにはあまりこだわりはありません。プロになってからは、チームカラーを意識するようにはなりましたけど、僕は結構(NIKE BY YOUも)好きなように作ります。あ、でもそういう意味では、こだわりと言えるかな?

――形にこだわりはないけど、色にはこだわりをお持ちだと。
馬場
 そうですね、大学時代も左右色違いのバッシュを履いたりしていましたし。同じモデルでちょっと色を変えたものを2足作って、右と左で片足ずつ履くというような遊び心も出してはいました。そういった意味では好きと言えるかもしれません、色にこだわるのは。

――現在よく使うのは、やはりアルバルク東京のチームカラーですか?
馬場
 それに絡めますね。やはり外せない。ただ逆にまったく外すこともあります、チームカラーではない、銀色のバッシュとかもたまに履きますし。(チームカラーを)少し絡めるか、むしろ完全に外して選ぶか、自分の思うままにしています。そういうこだわりが自分の中ある、というか(笑)。

――ちなみに、プレー用や外履き用など、全て合わせて何足くらい持っていますか。
馬場
 いやぁ、ちょっとわかんないなぁ。

――100足ぐらい?
馬場
 そのぐらいでしょうか。

――そのうちプレー用は。
馬場
 プレー用は、そのうち3分の1くらいです。

――所有数が三桁というのは、なかなか聞けない数字ですね。それは確かに断捨離が必要です(笑)。
馬場
 なかなかNIKEのシューズって処分できないんですよね、デザインもカッコいいし。「まだ履くだろ」と思って、ずっと持ち続けていて。で、結局履いていないって感じになる(笑)。

――処分するのはもったいないですよね。
馬場
 いや~、でもホントに増えていっちゃいますから、処分する時はしなければ(笑)。断捨離はしっかりしないと、と思っています。

NBAプレーヤー、ワールドカップへの想い

馬場選手がマッチアップを楽しみにしている左からウェストブルック、ハーデン、アービング [写真]=Getty Images

――これまでバスケをしてきて、憧れた選手・プレーの参考にした選手は誰ですか?
馬場
 参考にした選手というのは、あまりいないですね。尊敬した選手というのも、あまりないかなと。ただ自分が思うようにやってきた感じです。

――例えば、お父様は?
馬場
 父のプレーは記憶にありません。尊敬する人は父と言えるかもしれませんけど、まねることはなかったですね。自分の感覚で、自分の思ったとおりプレーするというスタンスでしたから。

――小中高の頃、NBAを見て「あのNBA選手の真似をしよう」というのもなかったと。
馬場
 それもなかったですね。

――現在、マッチアップしてみたいNBAプレーヤーはいますか?
馬場
 ラッセル・ウェストブルック(オクラホマシティ・サンダー)、ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)、それと、カイリー・アービング(ボストン・セルティックス)でしょうか。

――それはポジション的にもマッチアップの可能性がありそうな選手たちですね。彼らとマッチアップしてみたい理由は?
馬場
 まず、ウェストブルックはあのスピードです。テレビの画面越しでもあれだけのスピード感があるのですから、実際に肌で感じてみたくて。ほんとに全く歯が立たないかもしれませんが、それに挑戦したいという気持ちがあります。ハーデンは、あのステップバックからの3ポイントシュートですよね。「何であんなにエンドワンで決められるんだろう」、「どうして(ディフェンスは)ファールしてしまうんだろう」と思っていて、それに対して自分がどれだけや守れるのかを試してみたいのです。カイリーについては、あのドリブルのスキルというのを、目の前で体感したいというのがあります。

――“彼らの凄まじさをとにかく体感したい”、というところでしょうか。
馬場
 はい。そして自分が、今どのレベルにいるのか、どれくらいやれるのか、彼らとマッチアップして、それを感じてみたいです。

――今夏のワールドカップではアメリカ代表との対戦があります。それは馬場選手にとっては、力試しというか、ご自身の現在地を確かめる意味でも重要なものになりますね。
馬場
 そうですね。夢だと思っていたレベルの選手たちと対戦することになるので。そこでもし活躍することができれば、先も明るいですし。神様が与えてくれたチャンスなので、そこでいかにパフォーマンスを出せるかというのを考えながらやりたいです。

――世界中が注目していますから、「あの日本人は誰だ!?」と驚愕させるプレーをアメリカ代表に対しても見せてほしいです。また、アメリカ戦に限らず、ワールドカップで強豪国と対戦していくことになります。そこで、自分のこんなプレーを見せたい、というものがあれば教えてください。
馬場
 世界規模の大会では経験不足な日本なので、消極的になったりチームメイト任せになってパスを回してしまったり、というような弱気なプレーをしてしまうかもしれません。でもそこでは自分が先陣を切って、アグレッシブにプレーしたいですし。それはオフェンスに限らずディフェンスでも、ファールを恐れず食らいつくような、戦う気持ちを出していきたいと思います。

――再びバッシュの質問に戻ります。馬場選手が、これからバスケットボールを始める人のバッシュ選びの場に遭遇したとします。そこでその人にどんなアドバイスを送りますか?
馬場
 これからバスケを始める人なら、僕は、デザインは二の次だと思います。いくらカッコ良くても、機能の面で違和感などがあっては良くないと思います。「プレーで見せる」ことが一番だと思うので、バッシュの見た目よりも、プレーすることを考えて、機能性を大切にしてほしいなと。ケガも怖いですから、足首(の動き)をしっかりカバーしてくれるバッシュを、最初は勧めたいです。

――試着などもしっかりして、足首やかかとをがっちりと押さえてくれるバッシュを選んでもらいたいと。
馬場
 そうですね。ローカットしかりミッドカットでも、足首などがぐらつかない、しっかりしたものがいいと思います。

――馬場選手にとって、バッシュとはどんな存在ですか。
馬場
 「バッシュとは」ですか。う~ん…職業道具?(笑)。相棒、仕事道具……それは本当に、バッシュがなかったらバスケはできないですし。なくてはならないものですかね、それは確かです。

――あのアグレッシブなプレーは、相性のいいバッシュという存在があればこそですね?
馬場
 大げさに言えば(笑)。でもそうですね、そうだと思います。

――ところで、ワールドカップの組み合わせ抽選の中継は、どんなシチュエーションでご覧になっていましたか?
馬場
 ちょうどBリーグの秋田(ノーザンハピネッツ)戦が終わったあとの控え室で見ていました。

――そこでコービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)がくじを引いて。【注2】
馬場
 「ジャパーン」と(笑)。おいおいおい、アメリカかよって。あの時は外国籍選手たちがすごく騒いでいたんですよ、アレックス(・カーク)とかが。勝手に構想図を描いてましたね、「お前があいつをマークするだろ、そうしたらお前はあいつだ」という風に(笑)。

【注2:コービー・ブライアントは昨年、FIBAワールドカップ2019のグローバル・アンバサダーに就任。5度のNBA制覇を果たした伝説的スターである彼は、ワールドカップ2019の組み合わせ抽選会の場で各出場国の名が記されたクジを引き読み上げる役目も果たした。日本の名が記されたクジも、コービー・ブライアントによって読み上げられた】

――馬場選手自身には、ふつふつと燃え上がるものがあったりはしなかったのですか?
馬場
 それはあまりなかったです。どことやっても一緒というか。もちろんアメリカとは対戦したかったですけど、騒ぐほどのことではないなと。

――おお? なんと!
馬場
 あ、いや、そういうことじゃなくてですね!(一堂笑)。あまり気にしてもというか、どこと対戦することになっても、それは結果だと思っているので。相手がどうこうよりも、自分たちがいかにラマスの求めるバスケットボールをするか、それを体現して世界でどう戦うかだと思うので。相手云々言っていられないな、という感じです。まずは自分たちと向き合うことだと思っていますから。

――とにかく馬場選手としては、周囲の盛り上がりほどには燃えるということはなく、「ああアメリカか、でもやるべきことをやるだけだ」と。
馬場
 はい。ただ、常にそのレベルの選手が目の前にいて、マッチアップしているイメージでやっていきたいなと、その時は思いました。

――そうして、日々のリーグ戦も戦っている。
馬場
 ええ、(現在の自分に)満足なんかしていられないですね。

――渡邊雄太選手(メンフィス・グリズリーズ)は、プレシーズンゲームでクリス・ポール(ヒューストン・ロケッツ)とマッチアップした時のことを振り返って「絶対にクリス・ポールともう一度マッチアップしたい」と話していました。
馬場
 そうですね、あの2人(渡邊雄太選手、八村塁選手/ゴンザガ大学)にとっても、特別な試合になると思います。

――そこでは、「馬場雄大ここにあり」、というプレーを見せてください。「PG2を履いたあの日本人は誰なんだ? あいつ凄ぇぞ」となってほしいです。今回はありがとうございました。
馬場
 はい、ワールドカップは間違いなく『PG 2』でプレーしますので。こちらこそありがとうございました。

ワールドカップの予選グループでアメリカとの対戦が決まったが、「もちろんアメリカとは対戦したかったですけど、騒ぐほどのことではないなと」冷静だったという

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