2018.10.26

【この一足~バッシュへのこだわり】太田敦也「足型に悩む日々で偶然出会った『GEL DOUBLE』には、今でも憧れています」(後編)

太田敦也選手にバッシュのこだわりをうかがうインタビューの後編をお届け
シューズコーディネーター

Bリーガーにバッシュへのこだわりを聞いていく連載を今シーズンもお届け! 8回目を数える今回登場するのは、太田敦也選手(三遠ネオフェニックス)。長くフェニックスに在籍してチームを支え、アカツキファイブの一員としても活躍する日本屈指のビッグマンが、これまで相棒に選んできたのは? この取材では太田選手にたっぷりとお話をうかがうことができた。そこで2回に分けてインタビューをお伝えする。今回はその後編だ。

取材協力=三遠ネオフェニックス
文=CARTER_AF1

偶然だった『GEL DOUBLE』との出会い。そして、古田悟選手のプレーを見てキャリアを切り拓く

大学卒業後、OSGに進んだ太田選手は古田悟氏のプレーを参考にしたという

――前回のインタビューでは、サイズ探しにずっと苦労なさっていたとおっしゃいました。ご両親と一緒だったと思いますが、中学校の時だとサイズはどれくらい探されましたか?
太田
 とりあえず住んでいた(愛知県)豊川市内にはなかったですね。兄が愛工大名電高校に入学して、名古屋に行っていたのですけど。それで名古屋市内にならあると聞いて、名古屋まで買いに行ったという覚えがあります。そうして名古屋市内にまで行って、(入ったスポーツショップで)「ありますよ」と。やっと見つけて、「はぁ、よかったぁ」となりました。

――それ以降は、バッシュが壊れて買い替えるとなったら、そのたび名古屋市内に?
太田
 中学の時はそのソールが剥がれた時の1回ぐらいしか履き替えてないです。それぐらい長持ちました。ASICSの丈夫さ、半端ないですよ(笑)。

――では高校の時はどうでしたか?
太田
 高校の時は、ASICSをみんなで(まとめてオーダーすれば)定価よりは安く買えて。それでまとめてオーダーする時に、僕もサイズを伝えてお願いしました。その時、特にモデル名は指定していなくて、「サイズがあるものを」とだけお願いしてあったんですが、そうして届いたのが『GEL DOUBLE』だった。たまたまだったのです。

――ご自分で足を合わせて選んだ、ということではなくて、これならサイズがあるよと届いたのが『GEL DOUBLE』だったと。
太田
 そう、本当にたまたまです。マジたまたまです。

――そうだったんですね。バスケットボールでは体の大きさはアドバンテージとなるところですけど。バッシュ探しの面では、ご苦労なさってきたと。
太田
 はい、ご苦労なさってます(笑)。でも体の大きい人は、みんな困っているだろうと思いますね。

――ちなみに今のバッシュのサイズは?
太田
 バッシュは32センチです。インソールなど入れずに、そのまま使っています。

――ASICSの32センチとは、驚くばかりです! その太田選手が最も憧れた、一番参考にしたプレーヤーというのはどなたですか?
太田
 古田悟さん(元三菱電機他、現アースフレンズ東京Zヘッドコーチ)です。古田さんのプレーはビデオを見たりして参考にしました。三菱時代のプレーも、トヨタ時代のプレーも見ましたし。ポストムーブもですけど、ディフェンスを一番参考にしましたね。

現在はアースフレンズ東京Zのヘッドコーチを務める古田悟氏 [写真]=B.LEAGUE


――オフェンス面よりもディフェンスですか。
太田
 はい、どうやってディフェンスすべきか、というものを。僕は(社会人になった)最初のころはゲームにもほとんど出られてなくて。自分ではどうしたらいいかわからない状態でした。

――ゲームに出てプレーするのに、自分のサイズをどのように生かしてインサイドを守るかというのを学んだと。
太田
 はい。当時インサイドプレーヤーで一番活躍していたのは古田さんだったと思います。大学の時には代表に呼ばれた際にお会いして少し話すこともあったり、マッチアップすることもあったので、一番参考にさせていただきました。

――古田選手から直接指導を受けたり、助言を受けたりということは?
太田
 そこまではなかったですね、本当にちょっとお話しさせていただいただけで。ビデオを見て勉強させてもらっていました。(古田さんの)ビデオを見させられた、というのもありますけど(笑)。

――見させられた?(笑) それは当時のコーチに?
太田
 中村和雄さん(元オーエスジー/浜松・東三河フェニックス他)や、今三遠のGMをされている鹿毛(誠一郎)さんにもどうしたらいいかと相談して。中村さんは当時オーエスジーの監督で、鹿毛さんは選手として一緒にプレーしていて自主練なども一緒にやってくれていて。お二人にセンターで一番うまいのが古田さんだから、ビデオを見てそれを参考にしてプレーしなさいと案を出してくれました。

――社会人になってからの太田選手のキャリアは、そうして始まったと。
太田
 はい。それでようやくゲームに出られるようになりましたから。

――貴重なお話、ありがとうございました。ではそうなると、例えば海外のプレーヤーを見て参考にしたというのはないですよね。
太田
 NBAはあまり見ないので。

――例えばですけど、NBAでマッチアップしたいプレーヤーはいますか?
太田
 ああ、それは考えたことなかったなぁ(笑)。

――現役選手ではなく、引退した選手の中からでも。それこそシャキール・オニール(元ロサンゼルス・レイカーズ他)とか。
太田
 いやぁ……やりたくないです。彼とはむしろやりあいたくない(笑)。対戦するならティム・ダンカン(元サンアントニオ・スパーズ)【注2】かなと思います。彼の方が、強さだけではなくて巧さもあるので、(対戦すれば自分も)吸収できるものがあるだろうなと。

派手さはないが基本に忠実なプレーで“ビッグ・ファンダメンタル”とも呼ばれたティム・ダンカン [写真]=Getty Images


【注2:サンアントニオ・スパーズを5度もの優勝に導いたNBA史に残るスーパースター。得意技であるバンクショットに代表されるような、派手さを抑えた堅実なプレーぶりでチームの勝利に貢献した。】

――ダンカンは基本を忠実に実行しつつ、その全てが高次元で巧い。
太田
 あんな選手はNBAでもなかなかいない。逆にこれがシャキール・オニールだったら、押し込まれて“ガコーン!”と決められて終わりですから(笑)。

バッシュはこれまで白や黒ばかり。新たなカラーにも挑戦したい!

――まあオニールは人間ダンプカーとも言えますよね(笑)。では続いての質問です。バッシュやオフコートのもの含めて、スニーカーは何足くらいお持ちですか?
太田
 バッシュは3足くらいですね。外履き用のものは、まだ履いていないものも含めて20足くらいあったかな、全部ASICSで。

――ちなみにどのあたりのモデルです?
太田
 モデル名ですか?(笑)

――私そのあたりは食いつくので(笑)。
太田
 ああでも、(履いているランニングシューズを示し)これは気に入ってよく履いていますね、すごく履きやすいです。外履きだと31センチを履いているんですけど、それでも足が痛まず楽に履けますし。

――ではこれも含め、全てASICSで。
太田
 はい。…そういえば1足だけ『AIR JORDAN』がありました。

――それは、『AIR JORDAN』の何作目でしょう?
太田
 それはもらったものなのでわからないです(笑)。本当に名前覚えないんですよ。

――どなたからのプレゼントですか?
太田
 当時、外履きのシューズがなかったのもあって。金丸(晃輔、シーホース三河)にプレゼントしてもらいました。

――では金丸選手からプレゼントされた『AIR JORDAN』が1足だけで、あとはASICS。
太田
 はい。僕そういうところは本当にブレないですね。

――うわぁかっこいい。私の場合、色んなところに浮気しちゃっています(笑)。
太田
 (笑)。でもいいですよね、色んなの履けるのって羨ましい。僕はサイズや足型の問題があって、やっぱASICSから選ぶので。スポーツなどに関係なくオシャレなシューズとかだったら、嫁さんとABCマートとかに寄って見ることもあって。外履きするものだったらこういうのも履いてみたいな、と思うことは結構あります。

――ただ、試着して足を合わせるまではいかないと。
太田
 いかないですねぇ、明らかに小さいですし。

――ちなみにバッシュも含めてですけど、デザインやカラーに何かこだわりはありますか?
太田
 以前は、白とか黒とかをすごく履きたかったんですけど。最近は、特に外履きのシューズだったら色んなものを履きたいなと思っていて。自分でも似合わないなぁってわかってはいるんですけど、すごく緑のシューズを履きたいって思っています。

――今まではシンプルな色が好みだった。
太田
 だったのですけど、緑とか明るい黄色のラインが入っているモデルや、そのようなカラーのシューズを履きたいなって思っている今日このころです(笑)。バッシュに限定すれば、チームカラーやユニフォームの色に合わせたいというのもあります。ただバッシュだと、これ(GEL TRIFORCE 2)はもうすぐ廃版になるんですよ。次を探さないと。

――では今後、それこそ『GEL TRIFORCE 2』から新たなバッシュに変えたタイミングで、太田選手の足元はどんなカラーになっているかも注目させていただきますね。
太田
 何か奇抜な色を選んだとして、もしそれが似合わなかったなら、似合ってないとファンの皆さんにも言ってもらいたいですね(笑)。

――分かりました。似合わない色だったなら三遠のファンの皆さんからそう指摘してもらえると嬉しい、と書き加えておきます。
太田
 はい、ぜひ入れておいてください(笑)。

――(笑)。バッシュ選びに迷う人に、太田選手ならどんなアドバイスを送りますか?
太田
 決められない時は、とりあえず何か履いてみたらいいと思うんですよね。まずは試着だけでもいいので、それで合うなと思ったら、続けて履いてみる。あまりコロコロ変えると、本当になじむ前に……「ああ、やっぱりこれで良かった」と気づく前に、変えてしまうことになりますし。まずは選んで、そしてそれを履き続けるのがいいと思います。

――そうしないと良さがわからないからですね。ただ、太田選手と『GEL DOUBLE』のような出会いなんて、そうそうないですから。
太田
 マジでないと思います。あと、見た目のカッコよさはあとからでいいんじゃないかなと思いますね。足に合うのが一番大事だし、それなれば怪我もしにくくなり、プレーするうえでも長く続くだろうと思います。

――それでは、最後の質問です。太田選手にとって、バッシュとはどんな存在ですか?
太田
 うわぁ、それはとても難しい質問ですね(笑)。やっぱり、なくてはならない存在です。こいつがいなかったら、インサイドで踏ん張れてないですし。うん、相棒です。いや~ありきたりだなぁ! 出てこなかったなぁ!(笑)

――いえいえ(笑)。ただとにかく、もうこの相棒あってこその太田選手ですね。
太田
 そうですね。だからこそ、ゴール下で体を張れるっていう。チームを支えられているってことですね。…うん、やっぱ引き出しねぇな~俺(笑)。

――いえバッチリです、大丈夫です(笑)。質問としては以上となりますが、他にこれだけは言っておきたい、ということがもし何かあれば。
太田
 バッシュは見た目じゃない!

――なるほど、そうですよね! 今回はありがとうございました。
太田
 はい、見た目じゃないです!(笑)。こちらこそありがとうございました。

今後はこれまで履いたことのないカラーにも挑戦したいという太田選手

 

【この一足~バッシュへのこだわり】太田敦也「足型に悩む日々で偶然出会った『GEL DOUBLE』には、今でも憧れています」 (前編)はこちらのリンクから→ https://basketballking.jp/news/japan/20181024/103225.html

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