2018.06.04
Bリーガーにバッシュへのこだわりを聞いていく連載、第3回は並里成選手(滋賀レイクスターズ)。Bリーグ屈指のファンタジスタは、そのキャリアでどんなバッシュを履いてきたのだろうか?
取材協力=滋賀レイクスターズ
文=CARTER_AF1
――現在履かれているバッシュを教えてください。
並里 このASICS(『GEL TRIFORCE SO』)です。
――それを選んだ理由は?
並里 かかとのホールドがしっかりしている、ということ。また(爪先の)第一関節の動かしやすさを重視して、それが良かったということがあります。
――安定感の高いバッシュだと評価される『GEL TRIFORCE SO』ですが、ボールハンドラーである並里選手がこれを選んだことが少し意外でした。もっと柔らかくて軽いバッシュをチョイスするのではないかと考えていたのですが。
並里 逆に、僕は柔らかいバッシュはあまり好みではなく、アッパーもソールも硬めの方が好きです。スピードを保ったまま切り返しをすると、柔らかいものだとパワーが逃げてしまうように感じるので。
――並里選手の得意とされている左右の切り返しやヘジテーションムーブなどには、硬めのバッシュの方が合っているのですね。
並里 はい、そう思います。
――並里選手のこれまでについて質問です。バスケットボールを始められたのはいつ頃ですか?
並里 5歳ですね。幼稚園の時からです。
――それからこれまでは、どのようなバッシュを履かれてきたのでしょうか。
並里 ASICSを履きましたし、小学生の頃は『AIR JORDAN』シリーズをよく履いていました。『AIR JORDAN 10』や『AIR JORDAN 11』などをよく履きましたね。中学生になってからは『AIR JORDAN 12』も履いていました。
――なるほど、『AIR JORDAN 12』もアッパーやソールがかなり硬いバッシュでしたね。
並里 いえ、当時はそうしたことにそれほど敏感ではなくて、単純に「かっこいいものを履きたい」ということが一番でした。それもあって、小学校、中学校は『AIR JORDAN』が多かったです。他には、(REEBOKの)アレン・アイバーソン【注1】のバッシュも履きました。
――アイバーソンモデルですか。当時(1990年代後半~2000年代前半)はアイバーソンが全盛期を迎えていましたが、彼への憧れもあったのでしょうか。
並里 はい、そうです、そうです。
【注1:並里選手が憧れた、アレン・アイバーソン。NBAフィラデルフィア・セブンティシクサーズ他で活躍したスーパースターであり、実質は180cmに満たないという体格ながら、切れ味鋭いクロスオーバードリブルと抜群のスコアリング能力、そしてハートの強さとでリーグを席巻し、ファンに愛された。そのアイバーソンの着用モデルはREEBOKから発売され、第一弾の『QUESTION』やそれ以降の『ANSWER』シリーズは大変な人気を博し、現在もなお復刻発売されているモデルがある。】
――高校生になってから履いていたのは?
並里 ASICSに戻りました。モデル名は覚えていないんですが、マジックテープを留める作りのASICSのバッシュを履いていました。そして高校2年生になった頃からは、またNIKEを履くようになりました。
――ASICSに戻ったのにまたNIKEを履くのですね。その時に何があったのでしょうか。
並里 その頃に、NIKEの『ZOOM FLIGHT 5』に出会ったのです。履いてみたらクッションがいいですし、力が逃げないところも気に入って、そしてかなり足にも合っていたので。それからは『ZOOM FLIGHT 5』は(販売が終了して)なくなるまで、ずっと履いていました。
――なるほど。実はこの連載の第2回に登場いただいたベンドラメ礼生選手(サンロッカーズ渋谷)も『ZOOM FLIGHT 5』がお好きだったそうなのですが。ベンドラメ選手は、高校生の時に並里選手がNIKEiDのシューズ袋を首から下げていた写真を見て、それがカッコ良くてマネしていたとおっしゃっていました。それは並里選手の当時のスタイルというか、アピールのようなものだったのでしょうか?
並里 いや~覚えていないですね~(笑) 僕はそういうのはあまり意識していなかったので、おそらくは気分でやったのかな、なんて思います(笑)。
――『ZOOM FLIGHT 5』以降はどんなバッシュを選ばれたのですか?
並里 それからは色々なバッシュを試したんですが、『ZOOM FLIGHT 5』を上回るものにはなかなか出会えなくて。しっかりした作りが特徴のNIKEの『LEBRON』シリーズなども履きました。『LEBRON 10』や『LEBRON 11』、『LEBRON 12』も履いたと思います。その他では『UPTEMPO』系も試しました、でも、やはり『ZOOM FLIGHT 5』とは違うなと。
――そうなると、色々なバッシュを試して悩んだ時期があったということでしょうか。
並里 正直言えば、去年まで悩んでいましたね(笑) 色々試して、NIKEが多かったんですが、ずっと履きたいと思えるものには出会えなくて。またASICSを履くようになるまでは、古くなった『ZOOM FLIGHT 5』を履いたりもしていました。
――それでは、過去履いてきた中で最も印象深いバッシュを一つ挙げるとすれば?何かエピソードがあれば、それも教えてください。
並里 『AIR JORDAN 11』ですかね。ローカットで、スネーク柄のものがあったんです。小学生の時にそれをすごく履きたくて、父に買ってもらった思い出があります。クッションが良くて履きやすかったですね。それにやっぱりカッコいいですし。手に入りづらいモデルで、周りで履いている子もいなかったですから。
――周りから 「あいつエアジョーダン11のスネーク履いてるぞ」 という目で見られるというような、ある種の優越感もあった訳ですね(笑)。
並里 はい、それもありました(笑)。
――他にもいくつか質問があります。現在はバッシュやそれに類するスニーカーは、何足程度所持されていますか?
並里 どうでしょうか、僕は譲ってしまったりもしているので、正確な数はわからないんですが。実家にあるものも含めれば、50足はあると思います。
――その中でプレー用のバッシュとなると、現在はASICSになるかと思われますが。そもそも昨年になってまたASICSを履くことになったきっかけとは?
並里 ASICSを履いていたチームメイトの狩野(祐介選手)が、サイズが少し小さかったものを僕なら(サイズ的に)履けるだろうと譲ってくれまして。それがきっかけですね。
――それを履いてみたらフィーリングが合ったので、再びASICSを選んだと。逆に言えば、サイズが合わずに譲ってもらうことがなければ、今もASICSではなかったかもしれませんね。
並里 そうですね。そういう縁があったからなので、その(今もまだASICSを履いていなかった)可能性はあったと思います。
――Bリーグを見て、これからバスケを始めようとする人はたくさんいると思います。その皆さんのバッシュ選びについて、並里選手ならどんなアドバイスを送りますか?
並里 やはりバッシュは、足元から体を守るものですから、バスケットボールに詳しいスタッフさんがいるショップで話を聞きながら、サイズ合わせはしっかりした方がいいと思います。あとは、自分が本当にしっくり来ると感じるものを探してみるのもいいかと。バッシュはそれぞれ(機能面の特徴が)違いますから、色々なバッシュを試してほしいなと思いますね。
――最後の質問です。並里選手にとって、バッシュとはどんな存在ですか?
並里 保険、でしょうか。僕の体を守ってくれる、保険となりうるもの。それがあるからプレーできているのだと思います。
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