2018.04.14
毎節、Bリーグのタフショットを厳選してピックアップする「BEST of TOUGH SHOT Weekly TOP5 presented by G-SHOCK」。Bリーグ2017-18シーズンの第26節から選ばれたタフショットトップ5を大塚商会アルファーズ(B3所属)の青野和人ヘッドコーチに解説してもらった。
解説=青野和人(大塚商会アルファーズ ヘッドコーチ)
写真提供=Bリーグ
【5】#7並里成選手が見せた、縫うように「消える」クロスオーバーからのレイアップシュート(名古屋ダイヤモンドドルフィンズvs滋賀レイクスターズ GAME2)
#7並里選手が#55ベンキー・ジョイス選手に対してフラット(フリースローラインと並行)のボールスクリーンを使うと、ヘルプに出てきたビッグマンと1on1のシチュエーション。体を止めてシュートと思わせた瞬間に素早くフロントチェンジをして抜き去り、2ステップを踏んでレイアップシュートを決めた。実際#7並里選手がシュートモーションではなかったのだが、ディフェンスしたビッグマンはその「間」とステップで体が浮いてしまった。あっという間の出来事に、近くにいたもう1人の外国籍選手は、すぐに寄っても反応できないほどだった。クイックネスとハンドリングを兼ね備え、さらには間まで使いこなす#7並里選手は常にハイライトのような動きを見せてくれる。
【4】#12アル・ソーントン選手のスピンムーブからのダブルクラッチショット(西宮ストークスvs島根スサノオマジック GAME2)
絶対に負けられない2チームによる熱い戦いは、第4クォーターの最後まで4点差を行き来していたが、#2ドゥレイロン・バーンズ選手に2人をかいくぐってシュートを決められ、島根は6点ビハインドを背負った。残り3分45秒、トップで#12ソーントン選手がボールをもらうと、ショットフェイクをして左に力強くドライブ。ボールを取りに来たディフェンスを置いていくようにスピンターンでかわし、シュートモーションとなった。そこに次のディフェンスが来ると、飛んだあとにボールを一度下げ、右手でダブルクラッチを決めた。3月の合流後、すぐに得点が安定し出したのは、3ポイントショットのタッチが悪い時に、ドライブに切り替えられる彼のアジャスト能力の高さがあるからだ。
【3】#8エグゼビア・ギブソン選手による破壊力満点の両手ダンク(大阪エヴェッサvs新潟アルビレックスBB GAME2)
この日の大阪はオンザコート2の時間帯を中心にパスワークが冴え、面白いようにフィールドゴールが決まり、オーバータイムなしで100点オーバーのゲームを展開した。第4クォーター残り3分40秒、ボールセットオフェンスで#1今野翔太選手がドライブからレイアップを狙うと、ディフェンスがヘルプに来た。ドライブと逆のエルボー(フリースローラインのかど)にいる#8ギブソン選手がパスを受けると、高く舞いあがり両手でゴールへたたきこんだ。ここでは、ダンクを演出した#1今野選手の決断に注目。チームセットプレーの中でボールを受け、逆サイドでスクリーンプレーに気を取られているディフェンスに気がつき、ドライブで割っていったところ。一瞬遅れての判断のため、ディフェンスも駆け引きができない動きになった。#8ギブソン選手がいた位置が、「ダンカースポット」と言われる意味が十分に理解できる。
【2】42得点と絶好調だった#32ウェンデル・ホワイト選手による、会場総立ちの同点3ポイントショット(三遠ネオフェニックスvsシーホース三河 GAME2)
大敗の翌日、三遠が見事な修正と試合運びを見せて食らいついて行く。試合終了残り10秒、#14金丸晃輔選手のフリースローが入り3点差で、三遠はタイムアウトがなく#32ホワイト選手にゲームを託す。三河はチームファウルが残っていたため、同4.5秒にファウルを使って賢くゲームを切った。三遠はサイドからのボール出しの場面で、2人がかりで#32ホワイト選手にスクリーン。#32ホワイト選手は3ポイントラインでボールをもらうと、1ドリブルからターン&フェイドアウェイ3ポイントを決め、延長へ持っていった。#0橋本竜馬選手がベッタリとついて守っていたが、簡単にスイッチしてしまったことで高さで優位に立てていた。この直後に“幻の”ブザービーターを決めた#14金丸選手と、ゾーンに入った#32ホワイト選手による点取り合戦は「すごい」の一言。大敗を喫してもたくさんのブースターが駆けつけ、その声援に応えるため“不死鳥”が底力を見せた。
【1】チームの冷静さが生んだ#22上江田勇樹選手の気迫溢れる大逆転バスケットカウントショット(富山グラウジーズvs横浜ビー・コルセアーズ GAME2)
ゲーム終盤、#22上江田選手の起用が大逆転劇を生んだ。第4クォーター残り15秒、#22上江田選手がハンドオフプレーからクイックジャンプショットを決めて1点差。直後のファウルゲームで相手のフリースローが落ちると#11宇都直輝選手が、走っている#45デクスター・ピットマン選手に飛ばし、ディフェンスをひきつけてコーナーから合わせて入ってきた#22上江田選手にパス。体勢を崩しながらも沈めたレイアップシュートは、バスケットカウントで決勝ゴールとなった。富山の熱い逆転劇は、タイムアウト中の選手とコーチの冷静な表情に表れている。1つは#45ピットマン選手がフルスピードから、オフェンスファウルを避けて倒れながらもパスに切り替えたところ。もう1つはベンチワーク。残り28秒で4点ビハインドにも関わらず、#1川村卓也選手にはファウルゲームをせずにトラップし、フリースロー成功率89パーセント以上とはいえ利き手を負傷した#0細谷将司選手にファウルをしたところ。残り10秒では、2人で#1川村選手に持たせないようにし、#4ジェフリー・パーマー選手に持たせた采配が見事に的中した。
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