2026.07.13
2016年に始まった女子日本代表国際試合「三井不動産カップ」は、東京2020オリンピックの銀メダル獲得など代表強化に多大なる功績を残してきた。2017年からは大会MVPを選出しており、のちに主力へ育った選手も多い。歴代MVPの系譜をたどることで、三井不動産カップの歴史を振り返っていこう。
文=田島早苗

ポジション:SF 身長:182センチ 所属:JX-ENEOSサンフラワーズ ※所属チームは当時のもの
2017年7月8日|日本 91-42 オランダ|11得点4リバウンド1アシスト
2017年7月9日|日本 73-46 オランダ|7得点10リバウンド0アシスト
2017年大会から設けられた三井不動産カップのMVP。最初に獲得したのは宮澤夕貴だった。7月に愛知県刈谷市で開催されたこの大会は、オランダを相手に2試合を行い、いずれも勝利。宮澤は第1戦で11得点4リバウンド、第2戦では7得点10リバウンドと安定した数字を残した。当時24歳のオールラウンダーは、持ち味の3ポイントシュートからの得点のみならず、要所でのリバウンドも光った。このときの三井不動産カップは、同じ7月に開催された「FIBA女子アジアカップ2017」(インド)に向けた壮行も兼ねており、実際に三井不動産カップをステップに、日本は女子アジアカップを制して大会3連覇を達成。宮澤も決勝のオーストラリア戦で11得点7リバウンドと、チームの優勝に大きく貢献した。

ポジション:C/F 身長:180センチ 所属: トヨタ自動車アンテロープス ※所属チームは当時のもの
2018年6月8日|日本 96-66 チャイニーズ・タイペイ|19得点7リバウンド1アシスト
東京大会(立川立飛)は1試合が行われ、日本が同じアジアのチャイニーズ・タイペイを96-66で下した。試合は、日本が序盤からリードを奪うと、第2クォーターこそ互角の展開となったものの、終始危なげない戦いで試合を進めていった。なかでも途中出場ながら輝きを放ったのが馬瓜エブリンで、約25分半の出場で3ポイントシュート5本を含む19得点。リバウンドでも7本を奪取した。9月の「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2018」のメンバー争いのさなか、しっかりと数字を残した馬瓜。ワールドカップのメンバー入りに向けた大きなアピールともなっていた。なお、女子ワールドカップでは4試合を戦い、馬瓜はパワフルなプレーから得点を奪取。1試合平均11.0得点と得点源の一人として奮起した。

ポジション:SF 身長:182センチ 所属:JX-ENEOSサンフラワーズ ※所属チームは当時のもの
2018年8月5日|日本 73-70 カナダ|8得点5リバウンド0アシスト
2018年8月7日|日本 88-50 カナダ|22得点1リバウンド3アシスト
強豪カナダを迎えた8月の新潟大会と群馬大会。新潟大会では前半を終えて5点のリードを奪い、さらに第3クォーターでもリードを広げたが、第4クォーターにはカナダに追い上げられてしまい、最後は73-70と辛勝となった。しかし、2日後に行われた群馬大会では新潟大会でも8得点をマークしていた宮澤夕貴が大暴れ。3ポイントシュート4本を含む22得点で、チームに勢いをもたらし、88-50と、勝利の立役者になった。前年に続いて2度目のMVP受賞となった宮澤は、その後行われた女子ワールドカップでも主力として活躍。1試合平均で15.0得点8.8リバウンドと、いずれもチーム一の数字を記録した。

ポジション:SG 身長:173センチ 所属:JX-ENEOSサンフラワーズ ※所属チームは当時のもの
2019年5月31日|日本 91-75 ベルギー|19得点1リバウンド2アシスト
2019年6月2日|日本 84-71 ベルギー|17得点1リバウンド2アシスト
前年の「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2018」で4位となったベルギー代表と対戦した水戸大会。同大会は第1戦が91-75、第2戦が84-71とハイスコアでの勝利に。そしてこの2試合では新進気鋭のシューターが脚光を浴びることとなった。
当時24歳、白鷗大学からENEOSサンフラワーズに入団して2年目の林咲希が2試合ともに3ポイントシュート5本を沈めたのだ。アウトサイドのシュートが生命線でもあった日本。ベンチスタートからの出場であった林は、見事にトム・ホーバスヘッドコーチの期待に応える活躍を見せ、大きなインパクトを残した。この水戸大会は、林自身がそのあと、日本代表には欠かすことのできない選手の1人として駆け上がっていくきっかけともなる大会になった。

ポジション:PF 身長:185センチ 所属:デンソーアイリス
2019年8月24日|日本 91-59 チャイニーズ・タイペイ|12得点4リバウンド4アシスト
2019年8月25日|日本 81-58 チャイニーズ・タイペイ|15得点7リバウンド2アシスト
女子日本代表の主軸としてチームを引っ張ってきた髙田真希が埼玉大会では初の三井不動産カップMVPを受賞した。チャイニーズ・タイペイとの2試合を戦った日本。髙田はいずれの試合もスターターで出場すると、インサイドやミドルシュートなど多彩な攻撃で第1戦は12得点4リバウンド4アシスト。第2戦でも15得点7リバウンド2アシストと、どちらも2桁得点を挙げ、またリバウンドやディフェンスでも高レベルのプレーを発揮した。安定感抜群のパワーフォワードで、この年の9月に控える「FIBA女子アジアカップ2019」を見据え、埼玉大会ではキャプテンとしても、また主軸の選手としてもチームを引っ張った。

ポジション:PG 身長:167センチ 所属: トヨタ自動車アンテロープス ※所属チームは当時のもの
2021年6月10日|日本 69-47 ポルトガル|14得点1リバウンド0アシスト
2021年6月12日|日本 68-43 ポルトガル|12得点1リバウンド0アシスト
2021年6月13日|日本 67-58 ポルトガル|3得点1リバウンド3アシスト
新型コロナウイルス感染症の影響で2020年夏に開催予定だった東京オリンピックが1年延期となり2021年夏に。その夏の祭典に向けて強化を図っていた日本は、6月の横浜大会ではオリンピックのメンバー入りを目指す16人の選手が出場した。すでにこの16人からオリンピックのメンバーが選出されることはアナウンスされており、横浜大会では選手個々のパフォーマンスに注目が集まったが、そこでチャンスをつかんだのは外角シュートを得意とする三好南穂。ポルトガルとの3試合では、第1戦で6分50秒という出場時間ながら3ポイントシュート4本を含む14得点を挙げた三好。続く第2戦でも3ポイントシュートを4本沈めて猛アピールし、文句なしで大会MVPを獲得するとともに、自身にとってリオデジャネイロ(2016年)に続く2度目のオリンピック出場を大きく引き寄せた。

ポジション:PF 身長:185センチ 所属:デンソーアイリス
2021年7月17日|日本 94-59 プエルトリコ|12得点4リバウンド2アシスト
そのあと、三好を含む東京オリンピックの内定選手12人が発表されたあとに行われた埼玉大会では、同じくオリンピックに出場するチームと対戦した。横浜大会をステップに内定選手に選ばれた三好の勢いはここでもとどまるところを知らず。第1戦のベルギー戦で3ポイントシュート5本を含む17得点の働きで日本の勝利に一役買い(84-76)、この試合のMVPを獲得した。第2戦のMVPは髙田真希。プエルトリコを相手に12得点7リバウンド2スティールと攻防において頼もしい動きで好調を維持した。

ポジション:PF 身長:182センチ 所属:富士通レッドウェーブ ※所属チームは当時のもの
2022年6月18日|日本 77-49 トルコ|15得点2リバウンド2アシスト
2022年6月19日|日本 83-57 トルコ|11得点5リバウンド4アシスト
東京オリンピックを終え、指揮官がトム・ホーバス氏から恩塚亨氏(現・東京医療保健大学女子バスケットボール部監督)となった女子日本代表。新指揮官のもとで初めてとなる三井不動産カップは、千葉ポートアリーナで6月に開催され、トルコと対戦した。初選出の選手など、装いも新たとなった日本。そのチームにおいて2試合ともにスターターとして出場し、第1戦で15得点、第2戦でも11得点を叩き出したオコエ桃仁花が初受賞。第1戦は、第1クォーターで15得点と「チームに勢いを与えようと」という自身の思いがしっかりとプレーとして表現された。試合は、トルコが200センチを超える大型センターを擁していたが、2試合ともに25点差以上をつける圧勝で終えている。

ポジション:SG/SF 身長:175センチ 所属:トヨタ紡織サンシャインラビッツ
2022年8月11日|日本 83-54 ラトビア|8得点0リバウンド2アシスト
2022年8月12日|日本 74-48 ラトビア|16得点4リバウンド0アシスト
杜の都・仙台を舞台にラトビアとの2戦に挑んだ日本代表。1カ月後に出場予定の「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2022」を見据えて、宮城大会では選手の組み合わせを「いろいろ試したい」という恩塚ヘッドコーチの意向からスターターは第1戦と第2戦では異なるメンバーとなった。そして第2戦でのスターター起用に奮起したのが宮城大会のMVPとなる東藤なな子で、第1戦では8得点(3ポイントシュート1本)だったが、第2戦では3ポイントシュート3本を含む16得点と大量得点を奪った。また、オフェンスだけでなく、もともと持ち味であるディフェンスでも安定感が光っていた。

ポジション:PG 身長:163センチ 所属トヨタ自動車アンテロープス ※所属チームは当時のもの
2023年6月16日|日本 101-39 デンマーク|12得点3リバウンド2アシスト
2023年6月17日|日本 87-63 デンマーク|18得点5リバウンド7アシスト
2023年6月18日|日本 102-49 デンマーク|14得点4リバウンド6アシスト
2023年の三井不動産カップはデンマークを迎えての6月の高崎大会のみではあったが、3連戦と実に見応えのある大会となった。3試合のうち2試合は100点ゲームで3連勝を収めた日本は、どの試合も2桁得点が4、5人と、バランスの良い得点で層の厚さを見せた。際立っていたのはMVPを獲得した山本麻衣で、第1戦を12得点、第2戦では18得点7アシスト、さらに第3戦では14得点6アシストというスタッツをマーク。前年の女子ワールドカップで出た課題を修正しながらの戦いで、直後に待つ「FIBA女子アジアカップ」(6月)に向けても実りの多い大会となった。

ポジション:SG 身長:173センチ 所属:富士通レッドウェーブ
2024年6月20日|日本 96-85 オーストラリア|15得点1リバウンド1アシスト
2024年6月21日|日本 95-87 オーストラリア|19得点3リバウンド2アシスト
女子日本代表は2月の予選を勝ち抜き、夏にはパリ2024オリンピック出場が決まっていた。オリンピックまであと1カ月という時点で臨んだ北海道大会では、オーストラリアという世界トップレベルのチームと対戦。オリンピックに向けたチーム内の競争が激化しているなかでの2試合で、どの選手もチームの勝利に加えて自身の持ち味をいかんなく発揮する。開催地の札幌出身であった東藤なな子の奮起は記憶に新しいところだろう。そうした状況で圧巻のパフォーマンスを見せたのが林咲希。2試合ともに3ポイントシュート5本を沈めて、文句なしのMVP獲得となった。なお、試合は接戦の様相も高得点を挙げた日本が連勝を飾っている。

ポジション:PF 身長:185センチ 所属:デンソーアイリス
2024年7月4日|日本 125-57 ニュージーランド|13得点6リバウンド0アシスト
2024年7月6日|日本 92-50 ニュージーランド|23得点4リバウンド1アシスト
パリ2024オリンピックに向けた内定選手12人が参加した東京大会は、女子日本代表国際強化試合史上最多の1万1624人が会場に駆けつけ、大声援のなかでの試合となった(第1戦)。パリに向けた期待が高まるなか、ニュージーランドを相手に第1戦は125-57と大勝。第2戦でも92-50と完勝でオリンピック前の国内最後の強化試合を終えた。MVPには第1戦で13得点、第2戦にいたっては23得点と得点を量産した髙田真希が選出された。タイムシェアをしながらの戦いではあったが、髙田は限られた時間のなかで高いパフォーマンスを見せて自らの役割をきっちりとこなしていた。

ポジション:PG 身長:173センチ 所属:ENEOSサンフラワーズ
2025年6月7日|日本 95-42 チャイニーズ・タイペイ|10得点2リバウンド2アシスト
2025年6月8日|日本 89-45 チャイニーズ・タイペイ|2得点1リバウンド6アシスト
女子日本代表の現ヘッドコーチであるコーリ・ゲインズ氏が指揮官となって初めての三井不動産カップ。日本女子全体のレベルアップを図りながらチームの強化も行っているゲインズヘッドコーチは、それまでのベテラン選手はもとより、若手選手も積極的にコートへ送り出した。特にチーム最年少の19歳でスターターを務めた田中こころは、果敢にシュートを放ち、チャイニーズ・タイペイを相手に第1戦は10得点、第2戦では6アシストとパスも光って初出場の三井不動産カップでMVPに輝いた。なお、同大会では、田中と同じ19歳でアメリカの大学でプレーする中村ミラー彩藍も日本代表として初めて試合に出場するなど、若手選手のハッスルプレーも目を引いた。

ポジション:SG 身長:178センチ 所属:デンソーアイリス
2025年7月3日|日本 65-65 デンマーク|12得点0リバウンド0アシスト
2025年7月4日|日本 89-55 デンマーク|14得点2リバウンド1アシスト
6月の愛知大会に続いて7月の東京大会(対デンマーク)でMVPを獲得したのは、こちらも20歳(当時)と若い薮未奈海だった。U19女子日本代表などアンダーカテゴリーでの実績もある薮は、第1戦で3ポイントシュート3本を含む12得点。続く第2戦では、第1戦の活躍から熱視線を受けてプレッシャーを感じながらの試合ではあったが、第1戦を上回る14得点(3ポイントシュート4本)で会場を大いに盛り上げた。薮にとってこの東京大会は、それから約1カ月後、初参戦となった「FIBA女子アジアカップ2025」(9月/中国)での飛躍につながった。

ポジション:PG 身長:173センチ 所属:ENEOSサンフラワーズ
2026年5月16日|日本 98-73 ラトビア|13得点1リバウンド5アシスト
2026年5月17日|日本 76-69 ラトビア|15得点3リバウンド5アシスト
2019年以来の5月開催となった神奈川大会。日本はラトビアと対戦し連勝。MVPは司令塔の田中こころが前年に続いて2度目の受賞となった。田中は、第1戦の13得点、第2戦の15得点と、自身の得点はもちろんのこと、アシストも2試合ともに5本を記録。ガードとして周りの選手も生かしたプレーを披露した。また、神奈川大会では唯一の大学生・後藤音羽(東京医療保健大学2年)など、三井不動産カップ初出場の選手も多く、懸命なプレーでチームの士気を高めていた。

子どもたちからエールを受けてコートに入るのも「三井不動産カップ」の重要な場面 [写真]=野口岳彦
歴代の三井不動産カップで輝いた選手たち。8月13、14日に行われる三井不動産カップ2026 (東京大会) では、いったい誰がMVPを受賞するのだろうか。出場する選手たちは、「自分が今大会のヒロインになる」と意気込んでいるだろう。
そんな試合直前の選手たちを後押しする企画として、三井不動産カップの恒例となっているのが「ハイタッチキッズ」だ。
「ハイタッチキッズ」とは、バスケットボール女子日本代表を応援する三井不動産のオリジナル企画である。子どもたちがコートに入場する選手をハイタッチで迎え、熱いエールを送る。
さらに、試合中は「ハイタッチキッズシート」から迫力あるプレーを間近で観戦できる。小学生を対象とした、貴重な体験プログラムである。
次世代を担う子どもたちの熱い視線とエールを受け、有明アリーナでどのようなドラマが生まれるのか。選手とファンが一体となる特別な瞬間に、今から期待が高まる。
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