2018.10.24

【この一足~バッシュへのこだわり】太田敦也「足型に悩む日々で偶然出会った『GEL DOUBLE』には、今でも憧れています」 (前編)

バッシュの話題ながら、太田選手ならではのユーモアと人情味あふれるインタビューとなった
シューズコーディネーター

Bリーガーにバッシュへのこだわりを聞いていく連載を今シーズンもお届け! 8回目を数える今回登場するのは、太田敦也選手(三遠ネオフェニックス)。長くフェニックスに在籍してチームを支え、アカツキファイブの一員としても活躍する日本屈指のビッグマンが、これまで相棒に選んできたのは? この取材では太田選手にたっぷりとお話をうかがうことができた。そこで2回に分けてインタビューをお伝えする。今回はその前編だ。

取材協力=三遠ネオフェニックス
文=CARTER_AF1

ずっと履いてきたかのようにすぐに足になじむ『GEL TRIFORCE 2』

――現在履いているバッシュを教えてください。
太田 ASICSの『GEL TRIFORCE 2』です。

――太田選手はこれまでもASICSのシューズを履いてきたかと思いますが、『GEL TRIFORCE 2』を選んで履いている理由というのは?
太田 このモデルは新しいまま、おろしたてですぐゲームで履けます。ならしが必要ないぐらい、初めからピッタリくるというか。

――このモデルはソールががっちりしている割に、クッションもしっかりあるな、という印象もあります。
太田 そうですね。この前までに履いていたモデルの『GEL TRIFORCE 1』などは結構重量のあるものでした。それに比べると『GEL TRIFORCE 2』は結構軽いわりに安定性もあり、なかなか壊れない。壊れるところ見たことないですよ、これは(笑)。

――このモデルは本当に強い作りですよね。あと、アウトソールがフラットなレイアウトなのと、外倒れを抑制するアウトトリガー(出っ張り)もあります。こうした安定性を重視した設計が、太田選手の好みに合ったということでしょうか。
太田 はい。僕はインサイドで、踏ん張るプレーヤーなので。どちらかと言えば、細かいステップを踏みやすいというよりは、どっしり構えて安定しているバッシュの方が嬉しいですね。

――インサイドでのバックダウンやターンなどのプレーで、その安定性が生きてくると。
太田 はい、そこで生きてくるし、踏ん張って力を込める時に、他のモデルとは違うなと感じます。安定性もありつつ軽さもあるので、ローポストでの1対1などで足がスムーズに運べるというか。あまり崩れずにステップを踏めるので、そこがいいなと。

インサイドで踏ん張るプレーの多い太田選手は、安定性の高いASICS『GEL TRIFORCE 2』を着用 [写真]=B.LEAGUE


――なるほど、ありがとうございます。続いて、太田選手のこれまでキャリアについてお聞きします。バスケはいつから始められましたか。
太田 小学4年生の時ですね。

――それから各年代で、どういったバッシュを履いてきたのか、思い出せるものを教えてください。
太田 バスケを始めたころから体が大きかったのもあって、ASICSの『JAPAN PRO』を履いていました。小学生のころは体育館シューズか何かで練習していたのですけど、その後バッシュを探したら僕の足が大きすぎて、見つけた『JAPAN L』だと入らなかったんですよ。ですから足が入るモデルを探して、『JAPAN PRO』の30センチを履いた覚えがありますね。

――『JAPAN PRO』の30センチですか! それは中学生のころでしょうか。
太田 はい、中学ぐらいだったと思います。

――中学生で初めてバッシュを買って、それがいきなり30センチ!?
太田 はい、30センチを(笑)。

――いや~、驚きました(笑)。それ以降はいかがでしたか。
太田 高校生の時は、一番気に入っていたのはASICSの『GEL DOUBLE』でした。マジックテープが2つ付いていて、それで固定するモデルです。僕の足って本当に日本人らしい幅広甲高なのですけど、『GEL DOUBLE』は幅広な作りなので、マジックテープを締めると足がガシッとハマって、すごくフィットしたんですよ。

――他のバッシュを履いた時とは、明らかに違ったと。
太田 はい、(他のバッシュを履いた時には足幅が合わずに)横がとにかく圧迫されて、魚の目ができたりしたこともあったんです。でも『GEL DOUBLE』を履きだしたら、そういうストレスに悩まされなくなりました。

――ただ、『GEL DOUBLE』に出会う前も、中学生のころからずっとASICSを履かれていたのですよね?
太田 はい、ASICSでした。でも『GEL DOUBLE』の前に何を履いていたかは、正直あまり覚えていません(笑)。足に合うのを探して、色々試したと思います。

――その前に履いていたモデルの印象が薄れるぐらい『GEL DOUBLE』が足に合ったということですね。では高校時代は『GEL DOUBLE』に出会ってからは、ずっとそれを。
太田 もうずっと、それを履いていました。

唯一心を動かされたのは『AIR MAX 95』。そのわけは?

「見た目よりも、とにかく履ければいい」と思っていた太田選手が唯一心を動かされたのは社会現象としても注目を集めた『AIR MAX 95』


――大学時代はどんなモデルを?
太田 大学ではチームみんなでCONVERSEを履いていましたね、日本大学出身なので。篠山竜青川崎ブレイブサンダース)と一緒ですね。

――ちなみに中学時代や高校時代は、部活の先輩や同級生の中では何が流行していたのでしょう。NIKEやADIDASでしょうか?
太田 ああそうですね、みんなその辺りを履いていたと思います。

――部活の仲間たちが履いているバッシュを見て、「いいな、それカッコいいな」と心が揺れ動いたりとかは?
太田 いや、僕は当時ファッションとかに全然興味がなくて。見た目よりも、とにかく履ければいい、と。むしろ履けるだけよかったなと思っていました。足がデカかったし(笑)。

――それこそ『AIR JORDAN』などを見ても、カッコいいな履いてみたいな、と心が揺れたりはしなかったと。
太田 はい、揺れ動かず。昔の”エアマックス狩り”【注1】があった後とかは、「ああ、『AIR MAX』はちょっと履いてみたいな」と思ったぐらいです(笑)。

【注1:1995年に発売されたNIKEの大ヒットシューズである『AIR MAX 95』は、あまりの人気に品薄状態となり、プレミア価格で取り引きされもした。その人気シューズを履いて歩く人を襲い奪い取るという強盗事件が数多く発生し、それは「エアマックス狩り」と通称された】

――それは、エアマックス狩りのニュースがあってそれで気になって、ということですか?
太田 そうです、そうです! ニュースで見て、そこまで人気があるならちょっと履いてみたいなと(笑)。

――実際、『AIR MAX 95』は当時履かれましたか?
太田 いえ履けずじまいです。

――とんでもないプレミアが付いていましたものね。子供が8万円も出せるかっ、ていう。
太田 無理ですよね。マジで高かったので(笑)。

――ではバスケットボールで使う、オンコートで使うモデルというと。
太田 そうなればもうASICS だけです。

――何というか太田選手らしいと言うか、ストイックですね。「バスケではASICSだけだ」というのは、この連載では太田選手が初めてです。
太田 え、ホントですか? 僕は「履けるだけ嬉しい!」と思っていましたから。

――それでは続いて…、ここまでお聞きした中で答えが出ている感もあるのですが。特に好きだった・憧れたバッシュを挙げるなら、何かありますか?
太田 いやもう、『AIR MAX』ぐらいしかない(笑)。あれ? でも一応バッシュでしたよね?

――いえ、『AIR MAX 95』はランニングシューズですね。
太田 あ、そうか(笑)。

――はい、でもこのくだりも載せておきます(笑)。ではスニーカー全体で言えば、子供のころ憧れたのは『AIR MAX 95』だったと。
太田 はい、広く見れば、当時はそれが一番!

――ではオンコートで履いたバッシュで、と言ったら。
太田 それはもう、一番は『GEL DOUBLE』ですよね。本当に今でも履きたいです。

――そうなると逆に、今憧れる、今履きたい、というのが?
太田 もちろん『GEL DOUBLE』です。当時履いていた時の違和感のなさを、もう一度体験したいです。

――他にバッシュにまつわるオモシロエピソードなどはありますか?
太田 中学生のころ、『JAPAN PRO』はサイズがあっても数がなくて、同じのものをずっと履いていたんです。そうしたら、ある時爪先を踏まれたら、「ベリッ」って。

――ソールがですか?
太田 ソールが(笑)。だいぶ(使い込んでダメージが)きていたのもあって、思いっきり全部剥がれました。

――それで壊れてしまったと。で、次に履いたのは、また『JAPAN…』
太田 『PRO』(笑)。

――ですよね!(笑)。そこで他のモデルに変えるってことは…。
太田 ないです(笑)。そこはブレようがないです!

実際に太田選手が履いている『GEL TRIFORCE 2』。軽量、かつ安定性の高いシューズで、太田選手曰く「壊れたところを見たことがない」ぐらい丈夫なモデルだという

【この一足~バッシュへのこだわり】太田敦也「足型に悩む日々で偶然出会った『GEL DOUBLE』には、今でも憧れています」(後編)はこちらのリンクから→ https://basketballking.jp/news/japan/20181026/103839.html

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