2018.04.10

【この一足~バッシュへのこだわり】第2回ベンドラメ礼生「バスケをやめようかと迷ったくらい、『ZOOM FLIGHT 5』が好きでした」

並々ならぬバッシュへの思い入れを語ってくれたベンドラメ礼生選手
シューズコーディネーター

Bリーガーにバッシュへのこだわりを聞いていく連載、第2回はベンドラメ礼生選手(サンロッカーズ渋谷)。中心選手としてチームを引っ張る若き司令塔は、どんなこだわりを持っているのか?

取材協力=サンロッカーズ渋谷
文=CARTER_AF1

『HYPERDUNK 2017』は、クッションがしっかりした厚みのあるバッシュ

今シーズンのベンドラメ選手はNIKE『HYPERDUNK 2017』を着用[写真]=B.LEAGUE


――現在履かれているバッシュを教えてください。
ベンドラメ
 NIKE『HYPERDUNK 2017』です。

――前作までずっとHYPERDUNKシリーズを履かれていたのでしょうか。
ベンドラメ
 基本的に僕は毎回HYPERDUNKシリーズを履いてみますが、シーズンによって合う、合わないがあるなと感じていて。HYPERDUNKは2015に出たモデルまでは履いていましたが、2016はかかとのフィーリングが自分とはあまり合わず、そのころは『AIR JORDAN 31』が出た時期だったこともあり、そちらを履いていました。

――では、またHYPERDUNKシリーズに戻った理由は?
ベンドラメ
 僕の印象として、HYPERDUNKはすごく足にしっくりきます。バッシュはしばらく慣らさないと試合で履けないこともあるのですが、『HYPERDUNK 2017』は余分なスペースがなくしっかり足を包んでくれて、履いた初日からフィットしました。さらにかかとの位置のクッションもしっかりあり、「厚みのあるバッシュだな」というイメージで。例えば同じNIKEのKYRIEシリーズだと、ソールのところが薄く感じられたのですが、『HYPERDUNK 2017』はその厚みの部分でも気持ちよく履けています。僕はバッシュを選ぶ時はクッションを重視していて、このモデルには激しい動きをしても足にダメージが少ないという印象があります。

――「ソールが薄くて接地感が高い」というよりは、「ソールが厚くてクッションがあり、衝撃を和らげてくれる」ということを重視されているのですね?
ベンドラメ
 そうですね。あと、ローカットよりもミッドカットやハイカットの方が好みです。僕はローカットを履いた時に足首をネンザしたことがあって、それからはローカットが少し怖くなって履かなくなりました。

――今クッションの話題が出ましたが、『HYPERDUNK 2017』には【リアクト】というクッショニングシステムが使われています。選ばなかったという前作の2016に使われていたのは【ズームエア】でしたが、前作との違いというのはどう感じていますか?
ベンドラメ
 前作に比べると、2017の方が柔らかいイメージを持ちました。足裏を包み込むようなソールの柔らかさが”低反発枕”みたいな印象です(笑) それも含めたトータルで、2017は合うモデルだなと感じてゲームで履いています。

――ここで一旦現在から離れて、過去についての質問をさせてください。バスケを始められたのはいつですか?
ベンドラメ
 小学校3年生の時です。

――それからどのようなバッシュを履いてきましたか。
ベンドラメ
 今は基本的にNIKEを履いているのですが、バスケを始めて最初に履いたのはCONVERSEでした。価格が安くて、でもバッシュとしての機能性もちゃんとあるものはCONVERSEだろうということで、親が選んでくれたのだと思います。

――バスケを始めてしばらくはCONVERSEを?
ベンドラメ
 いえ、CONVERSEを履いたのはその1足だけで、それ以降、小学校の時は色々履きましたね。DADA履いたりとか。

――おお、DADAですか!
ベンドラメ
 はい、もう完全に見た目重視で(笑) 紫で、冠のロゴが入ったモデルだったと思います。あとはREEBOKのアレン・アイバーソン(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズ他)のモデルを履いたり。あと、踏み込んだらここ(側面に備え付けられたホイール型のパーツ)が回るバッシュ、わかりますか?

――DADAの『SPREES』【注1】 ですね。
ベンドラメ
 そうです、履いたら回るという。そういうのも流行っていて、『SPREES』も含め小学校の時は見た目重視で色々履いていました。『SPREES』は試合でも履きましたけど、もううるさくてしょうがなかったです(笑) フリースローの時とか、踏み込むと(ホイールが回って)”シューー”って言ったりとか(笑)。
【注1:DADA『SPREES』はNBAミネソタ・ティンバーウルブズ他で活躍したラトレル・スプリーウェルの着用モデルであり、シューズ側面に取り付けられた車のホイールのようなパーツがソールに内蔵されたショックアブソーバーに連動し、足を踏み込むと回転するギミックを有していた】

ラトレル・スプリーウェルが履いていたDADA『SPREES』。かかとの部分にあるホイールのようなパーツから音が出た[写真]=Getty Images

――私も『SPREES』は持っていますが、履いて街を歩くと、すれ違った人に振り向かれたりしました(笑)。
ベンドラメ
 あれ、かなり音がしますもんね(笑) 小学校の時は僕のチームメイトにも履いている子がいました。本当に流行っていましたから。そして中学校時代になったら、AND1の『TAICHI MID』をずっと履いていました。その時はたまたま、同じ地区のバスケのうまい先輩が『TAICHI MID』を履いていました。あの頃はうまい人のマネをしたくなっていたので、『TAICHI MID』の色々なカラーを…青、赤、黒、白、あとは漢字で”金”と入っているカラーも履きました。中学校の時は、『TAICHI MID』ばかりでしたね。

『ZOOM FLIGHT 5』販売終了のショックで、バスケをやめようか迷った

NIKE『ZOOM FLIGHT 5』は田臥勇太(栃木ブレックス)がNBA時代にも履いていたことで人気を博した[写真]=Getty Images


――それでは、NIKEはいつからですか?
ベンドラメ
 高校からです。最初は田臥(勇太、栃木ブレックス)選手が履いていた『ZOOM BRAVE 2』を気に入って、それを2足ぐらい履きました。それからNIKEiDを見つけて、それ以降は『ZOOM FLIGHT 5』のiDを、大学2年生ぐらいまでずっと履きました。

――『ZOOM FLIGHT 5』はかなり長く履かれたのですね。
ベンドラメ
 長いですね。NIKEiDは自分の好みのカラーで作れますから、色々なカラーで作って履きました。

――NIKEを履くようになってから、履き心地などで「今までと違うな」という感覚もあったのでしょうか。
ベンドラメ
 僕は最初デザインの良さで入ったんですよ、NIKEには。そこからずっとNIKEを履いていくうちに、エア(のクッショニングシステム)などが他のブランドよりも優れているという評価をよく耳にして。その頃は他のバッシュをほとんど履かなかったというのもありますけど、クッションもあるしクイックネスにもついてくるし、履いていくうちに自分でも「足にすごく合っているな」と感じました。

――なるほど。小学校時代、中学校時代に続いて好きなモデルを履いた、ということですね。
ベンドラメ
 そうですね。「これカッコいい!」「これ履きたい!」と思ったものを履いていました。バッシュにそれほど詳しいというわけでもなかったので、周りを見ていて「カッコいい」と思ったものを選んだりして。それが、高校時代は『ZOOM FLIGHT 5』だったわけです。『ZOOM FLIGHT 5』は履き心地がいいし、デザイン的にも(側面に)玉がついていますよね!? 玉虫色に光るあの色が不思議すぎて、それがカッコいいなと。あとその頃だと、確か並里成滋賀レイクスターズ)選手も『ZOOM FLIGHT 5』を履いていて、そこに憧れたというのもあったと思います。

――NBAプレーヤーというよりは、並里選手をはじめ日本人プレーヤーへの憧れが強かったのですね。
ベンドラメ
 NBAを見る環境が自分の周りにはありませんでした。なのでNBAというよりは、高校のうまい先輩や(自身の地元である)福岡の選手に憧れました。

――しかし、『ZOOM FLIGHT 5』は販売を終了してしまいます。
ベンドラメ
 はい。大学2年の頃に『ZOOM FLIGHT 』5が販売されなくなった時はとてもショックでした。「もうバスケやめようか」と迷ったくらい。

――(一堂 (笑))
ベンドラメ
 本当に、それぐらい『ZOOM FLIGHT 5』に思い入れがありました。今でも『ZOOM FLIGHT 5』のiDは1足だけ、まだ実家にあります。

――そこまで好きなら、またNIKEにiDを復活してもらわないとですね。
ベンドラメ
 本当にそうですよ~!(笑) それ以降は『ZOOM UPTEMPO 5』にも”すがって”みたのですが、形が一緒に見えても、やっぱり違うんですよね。NIKEiDの『ZOOM FLIGHT 5』には(色をカスタマイズできる)iDという魅力もありましたし。

――わかりました、ベンドラメ選手の想いがNIKEに届くよう、本文中でも太字で強調しておきます(笑)。
ベンドラメ
 はいお願いします、「なくなってバスケやめそうになったくらい好きなんです」って(笑)。

――逆に、そこからバスケを続けられたモチベーションは、どこから来たのでしょう?
ベンドラメ
 やっぱり僕にはバスケしかなかったので(笑) でも、そこから「あれでもない、これでもない」と色々なバッシュを試すようになって。ちょうどその頃『HYPERDUNK 2013』が出ていた時期で、それに出会いました。2013は2017と形が似ているんですよ。かかとが厚くて履きやすくて、今度はそれにハマりました。今バスケ続けられているのは、あのタイミングで『HYPERDUNK 2013』が出てくれたおかげかもしれませんね。『ZOOM FLIGHT 5』を失った自分をバスケにつなぎとめてくれたのは、やっぱりバッシュだなと(笑)。

――先ほども少し出たお話ですが、特に憧れた選手を挙げるとすれば、どなたですか?
ベンドラメ
 僕が中学生の時は、当時福岡第一高校の3年生だった並里選手が活躍されていて。独特のリズムでテクニックがあって、履いているのは『ZOOM FLIGHT 5』で、プレー集などはいつも見ていました。その選手と今同じプロのコートでプレーできているというのは、すごくうれしいなと。あと僕が見たのがたまたまその写真だったんですが、NIKEiDをオーダーすると付属してくる茶色のシューズ袋を、並里選手が首に掛けていたんですよ。それがカッコよくて、「オレもあれやりてぇ」と(笑) なので高校の時はそのシューズ袋を手に入れて僕も首に掛けたりしていたのですが、めっちゃ首痛かったです(笑)。

――なるほど(笑) それほど憧れた選手であり、プレーヤーとして越えなければならない存在でもある訳ですね。
ベンドラメ
 そうですね、はい。

――バッシュを含めスニーカー全般をお好きかと思いますが、プレー用としてのバッシュとなると、現在何足程度お持ちですか?
ベンドラメ
 『HYPERDUNK 2017』は色違いで何足か持っているんですが、その日の気分で今日は何色にしようかな、と選んだりしています。またそうして何足かを履き回せば長くもちますし。バッシュは履くだけでテンションが上がりますから、プレー用でなくても『AIR JORDAN 1』なども好きで何足か持っていて、履いて出かけることはよくあります。

――その日の気分で選ぶとのことですが、ゲン担ぎなどはされないのでしょうか。
ベンドラメ
 同じものを履いていて負けが続くと「この色だとダメかな、違うかな」と考えたりはします、同じHYPERDUNKなのに。そういうことはバスケに限らず、スポーツ選手ならあると思いますね。「この靴を履いてこの靴下を履いたら前は調子良かったから今日もこれでいこう」というのは誰もがあるかと。

――Bリーグを見て、これからバスケを始めようとする人はたくさんいると思います。その皆さんのバッシュ選びについて、様々なバッシュを履いてきたベンドラメ選手ならどんなアドバイスを送りますか?
ベンドラメ
 見た目から入ってしまうことも多いと思いますが、足に合わないとケガにつながりますし、クッションがしっかりしていないと。特にバスケを始めたばかりころは自分で(ケガを回避するために)カバーできる部分は少ないと思うので、履いた時に足にどれだけフィットするか、一度履いてみるべきかと。飛んだり跳ねたりする動作が多いバスケにおいてバッシュは自分を守ってくれるものですから、僕はやはりクッションを重視した方がいいと思います。

――最後の質問です。ベンドラメ選手にとって、バッシュとはどんな存在ですか?
ベンドラメ
 なくてはならないもの、というのは当たり前ですよね、僕自身を守ってくれるものですし。バッシュは自分の体の一部。そう言えると思います。

「バッシュは体の一部」と語るベンドラメ選手

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