2025.03.28

KAZU CUP2025は福岡第一が5度目の優勝…2プラトンの布陣で隙を見せず、決勝では開志国際を圧倒

大会MVPを獲得した福岡第一の藤田悠暉 [写真]=古川剛伊
バスケットボールキング編集部

 3月25日から27日まで、日本工学院八王子専門学校体育館で「KAZU CUP2025」が開催された。コロナ禍の影響で昨年の大会まで無観客で行われたこの大会。今年から一般観客の入場がOKとなり、中学・高校生が日本トップクラスの高校生の大会に足を運んだ。

 大会の歴代優勝チームには福岡第一高校(福岡県)、明成高校(現仙台大学付属明成高校・宮城県)、開志国際高校(新潟県)市立船橋高校(千葉県)、桜丘高校(愛知県)という高校バスケの強豪校が顔を揃える大会で、大会MVPには八村塁(明成・現ロサンゼルス・レイカーズ)、河村勇輝(福岡第一・現メンフィス・グリズリーズ/ハッスル)、富永啓生(桜丘・現インディアナ・マットアンツ)といったNBAで活躍、挑戦する選手が受賞している。

 高校バスケはこの時期、特に昨年末のウインターカップに出場したチームは1月になって本格的に新チーム作りがスタート。各都道府県、全国9ブロックの新人戦を終え、インターハイ予選に向けて強化を進める中、参加16チームを4つのグループに分けて予選リーグを行い、各グループ1位、2位、3位、4位が順位決勝トーナメントを行う方式で、覇を競い合った。

 最終日は最終順位を決める8試合が行われ、3位決定戦には駒大苫小牧と尽誠学園が対戦。ティップオフ直後から尽誠学園のエース、金山颯(3年)の1対1に手を焼いた駒大苫小牧だが、次第にオラヨリ マーベラス オルワトヨシ(3年)のリバウンドでペースをつかみ、リードを広げていく。

 それでも粘る尽誠学園は金山の得点とアシストで第4クォーターに追いつくと、そこからは一進一退の展開に。残り19秒、64−66と駒大苫小牧が2点ビハインドの場面で金山がフリースローを獲得するも、これを2本外して駒大苫小牧ボールに。これを宮森昊太が起死回生の3ポイントをヒット。逆転勝利で駒大苫小牧が3位入賞を果たした。

 大会の最終試合となる決勝戦に勝ち上がったのはともに今大会無敗の福岡第一と開志国際。先手を取ったのは福岡第一。宮本聡・耀(ともに3年生)のガードコンビが試合のテンポを上げれば、長岡大杜(3年)、藤田悠暉(3年)のフォワード陣が速攻に走ってリードを広げた。

 しかし、開志国際は髙橋歩路(2年)の3ポイントシュートで対抗。中盤までに追いつくと、その後はリードチェンジを繰り返した。

徹底マークにあい、開志国際の髙橋歩路は思い通りにシュートが打てず [写真]=古川剛伊

 試合が動いたのは第2クォーター、ツープラトンシステムを敷く福岡第一は、山口銀之丞(3年)、崎濱秀寿(3年)が前から当たるディフェンスで勢いを取り戻す。さらに先発をコートに戻すと、シー ムサ(3年)がリバウンドでゴール下を制圧。ここから宮本兄弟の速攻などで9−0のランに成功して、リードを広げていった。

 試合後、「今日の試合はリバウンドがすべてだった」と開志国際の富樫英樹コーチが語ったように、後半に入っても激しいディフェンスとリバウンドからの早い攻めを徹底した福岡第一が85−60で勝利。持ち前の堅守速攻は今年も健在で、大会史上最多となる5度目の優勝を果たした。

 すべての日程を終えて記者の前に立った福岡第一の井手口孝コーチは快勝の内容にも反省の言葉を忘れなかった。「課題はシュート。決められない時間帯があるので、そこを修正していきたいと思います」と勝って兜の緒を締めた。それでも「先週は沖縄カップを制し、今週はKAZU CUPに優勝。この2つの大会に勝った年は全国大会に優勝できているので、ポジティブにこの結果を受け止めたいと思います」と笑顔も。

 今年の福岡第一は3年生が主体ということもあり、コート、ベンチから声を掛け合うシーンが頻繁に見られた。そして、とにかく楽しそうにバスケをする。昨年悔しい思いをした3年生たちが一体になって、福岡第一だけでなく、今年の高校バスケ界をリードしていきそうな勢いだ。
※学年の表記は4月以降のもの

文=入江美紀雄

【最終順位】
1位 福岡第一高校(福岡県)
2位 開志国際高校(新潟県)
3位 駒澤大学附属苫小牧高校(北海道)
4位 尽誠学園高校(香川県)
5位 桜丘高校(愛知県)
6位 八王子学園八王子高校(東京都)
7位 山梨学院高校(山梨県)
8位 秋田工業高校(秋田県)
9位 沼津中央高校(静岡県)
10位 彩星工科高校(兵庫県)
11位 北海道栄高校(北海道)
12位 日本大学東北高校(福島県)
13位 高岡第一高校(富山県)
14位 日本大学豊山高校(東京都)
15位 昭和第一学園高校(東京都)
16位 北海道旭川工業高校(北海道)

【個人表彰】
・MVP 藤田悠暉(福岡第一)
・MIP 髙橋歩路(開志国際)
・ベストコーチ 井手口孝(福岡第一)
・優秀選手
義達晴太(旭川工業)
北條耀平(昭和第一学園
遠藤晴空(日本大学東北)
西山耕志郎(日本大学豊山)
横山駈(高岡第一)
久保田遥翔(北海道栄)
常深星良(彩星工科)
髙木強臣(沼津中央)
山野圭介(秋田工業)
ファリル ディエイファリル ディエイ(山梨学院)
森祐都(桜丘)
ンジャイ パプンデリセクンジャイ パプンデリセク(八王子学園八王子)
宮森昊太(駒澤大学附属苫小牧)
金山颯(尽誠学園)
佐藤伶音(福岡第一)
中塚遼人(開志国際)

全日程が終わり、恒例の出場選手全員による記念撮影 [写真]=古川剛伊