
2025.03.25
今年の福岡第一高校(福岡県)は強い――。そう印象付けるには十分な内容だった。
3月22、23の両日に沖縄市体育館で行われた「第21回沖縄市長杯おきなわカップ2025・第3回琉球ダイハツカップ」。東山高校(京都府)、藤枝明誠高校(静岡県)、柳ヶ浦高校(大分県)といった全国常連校が出場した中、福岡第一は大会最多7度目の頂点に立った。
予選リーグでは藤枝明誠に73ー64、コザ高校(沖縄県)に81ー58で勝利し、1・2位決定戦では東山を84ー68で退けた。各ゲームとも運動量豊富なディフェンスと電光石火の速攻という「らしさ」が溢れ、点差以上に力が抜けている感があった。
ダブルキャプテンを務める宮本聡と宮本耀(以下、聡、耀)の双子コンビを筆頭に、山口銀之丞や長岡大杜、崎濱秀寿ら前の代からベンチ入りしていた選手が多く残る。井手口孝コーチが「チームの出来上がりはちょっと早いとは思います」と言うように、年明けからニューイヤーカップ、全九州高等学校バスケットボール春季選手権大会と順調に“タイトル”を積み重ねている。
息の合った動きを見せる宮本兄弟[写真]=長嶺真輝
前線から相手ボールマンに激しいプレッシャーを仕掛け、ディフェンス強度を緩めることがない。オフェンスではいずれもハンドラーを担い、鋭いドライブで自らスコアすることもあれば、絶妙なアシストで味方の得点を演出することもある。
藤枝明誠戦では兄の聡が6アシスト2スティール、弟の耀は13得点3アシストを記録。プラスマイナスは仲良くチームハイの「+11」だった。
最上級生で主将を任され、共に精悍さが増したように見える。聡が「去年からスタートで出させてもらい『チームを背負ってやる』という気持ちはありましたが、もっと引っ張っていかないといけないという覚悟は強いです」と決意を示せば、耀も「性格上、これまではチームメートに強く言うことができませんでしたが、リバウンドやルーズボールで弱気なプレーが見られた時などは指摘するようにしています」とリーダーとしての自覚を強めている。
耀は「練習中から切磋琢磨して、一番のライバル。一番尊敬してます」と語り、山口と崎濱に深い信頼を寄せる。崎濱も「練習からバチバチで強度が高いので、試合の方が楽にプレーできるように感じます。セカンドユニットでさらに強度を上げられるように意識しています」とチーム内競争を力に変える。
井手口コーチが「盤石です」と太鼓判を押すPG陣。司令塔を担う4人がお互いを高め合い、40分間を通して高強度を維持しているため、メンバーが変わってもチームプレーの質が落ちないことが最大の強みとなっている。
福岡第一を象徴する強度の高いディフェンスは健在だ[写真]=長嶺真輝
9点差で勝利した藤枝明誠戦後、聡は「『圧倒して勝とう』という話をしてる中で、内容的に20点から30点は開けないといけない試合でした。前半も後半も自分たちのミスで崩れ、課題だらけでした」と反省しきりだった。実際、ガードに激しいプレッシャーを仕掛けられ、オフェンスが停滞する時間帯もあった。
目指すはインターハイ、U18日清食品トップリーグ、ウインターカップの3冠達成だ。耀は「新チームが始まった時から3冠が目標です。一度も負けたくない。絶対に獲るという思いで毎日練習しています」と力を込める。
昨年は三大大会でいずれも3位に終わった福岡第一。井手口コーチはウインターカップの準決勝で鳥取城北高校(鳥取県)に敗れたあと、「(3大会とも優勝はできなかったけど)よくやった1年間だった」と奮闘した当時の3年生に労いの言葉をかけるとともに、強豪校に立ち向かった下級生へ熱視線を送っていた。逆襲の1年にすべく、貪欲に成長を求め続ける。
取材・文=長嶺真輝
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