2018.07.09
Bリーガーにバッシュへのこだわりを聞いていく連載、第7回。今回は、篠山竜青選手(川崎ブレイブサンダース)。チームの顔であり日本代表でもプレーするポイントガードは、そのキャリアでどんなバッシュを選んできたのか? この取材では篠山選手にたっぷりとお話をうかがうことができた。そこで2回に分けてインタビューをお伝えする。今回はその後編。
取材協力=川崎ブレイブサンダース
文=CARTER_AF1
――では同級生とは、そうしたやりとりは。
篠山 それはありましたね。小学生の頃に『AIR PIPPEN』を履いている子がいて。『AIR PIPPEN』の白、あれはカッコよかったんです。「ああいいなぁ」って。
――でもそれは、お母様におねだりするまでにはいかず。
篠山 はい。
――そうですよね。「おれは6年生になったら『ALL JAPAN』履くんだ」と(笑) 『AIR PIPPEN』もかっこいいけど、そこは初志貫徹して。
篠山 そうです、そうです(笑)。
――中学生の頃の同級生では、NIKEが多かった?
篠山 いえ、僕らの中学の先生はすごく厳しい先生だったので。あんまりにも奇抜なバッシュ履いていると、ちょっと「おいお前っ」と言われるような(笑)。
――そういう感じだったんですね(笑)。
篠山 はい。古きよき、と言いますか、古い感じの先生だったので(笑) それで中学の時は(同級生も)ASICSが多かったのですけど。でもその中で、僕は勇気を出して『TAICHI MID』を履いてみたんです。
――それは大丈夫でした?
篠山 大丈夫でした。セーフ(笑)。
――セーフでしたか(笑) でも『TAICHI MID』もかなり、インサイドとアウトサイドで色が違ったりなど、結構奇抜ですよね(笑) そうなればもう、当時の竜青少年としても相当に勇気を振り絞ったわけですね。
篠山 はい、かなり勇気を振り絞りましたよ。もうドキドキで練習行きましたもん、本当に。
――履きたいけど、先生に怒られるかもっていう(笑)。
篠山 これでヘタなプレーしたりケガしたりしたら、マジで怒られるんだろうなって思いながら。でもそこは中学生、勇気を出して。それをきっかけに、LEBRONとか他のバッシュを履く子が出てきました。
――そうした“良い”流れを部に作ったわけですね。
篠山 ちょっとずつ色々なバッシュを履く部員が出てきました。僕が開拓したわけですね(笑)。
――ちゃんと練習して、ちゃんと結果出せば、先生に認めてもらえるんだと。この話はきっちり入れますね(笑)。
篠山 はい、お願いします(笑)。
――『GEL GUNNER』、ちゃんと書いておきますね。また履きたいんですけど、と(笑)
篠山 ぜひにも(笑)。
――憧れていたけど履けなかったなというバッシュ、何かありますか?
篠山 『AIR JORDAN』ですね。
――それは『AIR JORDAN』シリーズですか?
篠山 そうですね。シリーズ全般です。
――バスケを始められた時は『AIR JORDAN 7』を履かれて、その後『AIR PENNY 2』なども履いていらして。でも『AIR JORDAN』は、たまたま履くタイミングに恵まれなかった感じでしょうか。
篠山 う~ん、何でだろう? 今考えれば何でかなとも思います。ただ『AIR JORDAN』に対しては、オブジェじゃないですけど、自分が履いて履き潰すようなものではない、というぐらいの憧れですね。バッシュというより、もうそこを通り過ぎちゃっている感じです。
――おお来ましたね。若干私サイドの空気を感じましたよ、今(笑) 履けなくても、最悪、家に置いておきたいというような。
篠山 そうです、それです(笑) それぐらいカッコよく見えていて、自分が履いていいものだとは思えなかったというか。ただ、手元に置いて眺めていたかった、という。
――そうなれば、履くわけではないのに、お母様に「買ってくれ」とは言えないですよね。
篠山 そうそう、そうなんです。
――そうなると、初めのお母様からのおさがり以外は、『AIR JORDAN』は。
篠山 履かなかったですねぇ。
――では、その後は?
篠山 去年やっと『AIR JORDAN 12 LOW』の黒白と、『AIR JORDAN 13』のスエードの黒を自分で手に入れて、半分オブジェです。それをたま~に外に履いて行こうかな、みたいなのを、大人になってちょっとやれています(笑)。
――なるほど、よくわかりました(笑) さて、篠山選手が参考にしたり憧れたりしたNBAプレーヤーを挙げるとすれば、誰になりますか。
篠山 小さい頃は、アレン・アイバーソン(元フィラデフィア・セブンティシクサーズ他)がヒーローでした。小さい頃から僕は腕が異様に長くて。兄から「チビでも腕が長いんだから、アイバーソンみたいなプレーを見て、よく勉強しろよ」とアドバイスもらってから、とてもよく見るようになりました。アイバーソンにも、(REEBOKの)ANSWERシリーズとかあったじゃないですか。でもお店で試着したら「あ、これは(自分の足には)合わないな」という履き心地で(笑) ですので外履き用として、誕生日プレゼントでアイバーソンのバッシュを買ってもらって、外で履いたりしていましたね。
――プレーで履くわけではないけど、アイバーソンが好きなので履いてみたと。それでは、プレーの上でアイバーソンを参考にされたのは、どういった部分でしょうか。
篠山 クロスオーバードリブルだったり、ゴール下のフィニッシュでスクープショットだったりフックシュートだったりフローターだったりを、彼は当時からやっていたので。そういうところはよく見て勉強しました。
――今でこそフローターは広く使われていますけど、当時は使っている選手も多くなくて。アイバーソンが使っていた高いループのものは、ビッグマンを軽々かわして時に「ヘリコプター」とも言われていましたね。今はもちろん篠山選手も非常に巧みに使われていますが、当時から練習していらしたのですか?
篠山 やっていたと思います。中学生の時ですね。
――その頃から、大きな選手をかわしてショットするというのを。
篠山 はい、意識していました。
――中学生でフローターまで練習していたら、逆に先生から「おいっ、ちゃんとレイアップしろよ」とか怒られたりしなかったですか?(笑)
篠山 (笑) そういうのは意外に大丈夫でしたね。例えば必要のないところでビハインドパスとかしたらすごく怒る先生でしたけど、ちゃんと上手くなろうとしていれば、全然。だから今考えれば、バッシュなんて何履いても(ちゃんと練習すれば)絶対に怒られなかったんじゃないかなと(笑) すべては、ちゃんとやれば、ですね。
――そうだったでしょうね(笑) とにかく、その当時アイバーソンに憧れて練習していたのが、今に生きていると。
篠山 はい、そうですね。あとそういうプレーも真似しつつ、本当にやりたかったのは、アームスリーブを付けてみたりとか、ヘッドバンドつけてみたりなどでしたけど。さすがにそれはできなかったです(笑)。
――とどろきアリーナでファンをあおる時の「みんな歓声が足りないぞ、もっとだ」というあの感じは、アイバーソンの得意のポーズから来てますか?(笑)
篠山 実はそれも、ちゃんとやりたいんですけど(笑) 何だかわからないかなと、見ている皆さんには。アクションとしてはあまり大きくはないので、「何やってんだ?」と思われたら、ちょっと悲しいし(笑)。
――来シーズン、やってくれますか。(耳に手を当てて)みんなもっと盛り上がれ! と(笑)。
篠山 はい、やります!
――ぜひお願いします(笑) ではあと3つほど質問があります。現在はバッシュ含め、スニーカー類は何足ほど所持していらっしゃいますか?
篠山 12足か13足ぐらいだと思います、そんなに多くはないですかね。プレー用のストックがあと3、4足ぐらいあって、外履き用のものを、7、8足ぐらい持っているかな。
――選ぶ基準というのは、プレー用はもちろん、プレー用じゃないものもASICSが多くなりますか?
篠山 ASICSさんと契約していますし、プレー用じゃないものも持っています。Onitsuka Tigerもありますし、ASICS TIGERもあります。そういうものを、外履き用でもいただいているので。
――『GEL LYTE』とかも?
篠山 はいはい、あります。
――私、あれ大好きなんです(笑) 『GEL LYTE』は、『GEL LYTE 3』も『GEL LYTE 5』も履かれていますか?
篠山 はい、それもありますし。あとはOnitsuka Tigerのレトロなモデルも履いてますね。
――『MEXICO 66』とかですかね?あでも、そこまでいったらちょっとレトロすぎるかな。
篠山 いやでも、『MEXICO』も持っていた時期ありましたよ。
――なんと、『MEXICO 66』も履かれていたとは!ではレトロなものを含めて、外履き用ではOnitsuka TigerやASICS TIGERを履かれていると。本当にプライベートでもお好きなんですね。
篠山 はい履きます、履きます。
――それはもう、ASICSユーザーの鑑ですね(笑)。
篠山 ええ、もちろんです(笑)。
――さすがです。…すみません、バスケットプレーヤーの方と『MEXICO 66』のことを話すことなんてないので、思わず聞いてしまいました(笑) では次の質問です。篠山選手のプレーを見た子供たち、さらにはBリーグを見ているファンの皆さんが、これからバスケを始めようとしてバッシュ選びに迷ったとしたら、篠山選手ならどんなアドバイスを送りますか?
篠山 バッシュも含めて、バスケットボールはお洒落も楽しめるというか、カッコいいスポーツだと思うので。まず形からじゃないですけど、とにかく様々なメーカーの色々なバッシュを見て、まず自分がカッコいいと思ったものを履いてみるのがいいんじゃないかなと、僕は思います。無論ベストなのは、お店に行って店頭にあるものを手に取って履いて、(自分に合うかどうか)チェックすることですけど。とにかく初めのうちは、カッコいいバッシュをたくさん履いてみて、その中で自分に合うシューズはどんなものかというのは、やりながらわかっていくものだと思うので。最初から、“このメーカーのこれ”、などと決めつけずに、様々なシューズにチャレンジしてみてください。そこから自分に合うものを選択していくのが一番いいと思います。
――最後の質問です。篠山選手にとって、バッシュとはどんな存在ですか?
篠山 こんなこと言ったら、ちょっと夢がないかもしれませんけど、「仕事道具」です。仕事をするうえで欠かせない道具だと思っています。先ほどバスケ始める子供たちには、「かっこいいものを」と言いましたけど、ここまで(プロバスケボール選手として)やってくると、足元を守るうえで一番重要な、大事なものになるので。安心を足元から支えてくれる存在、という意味で仕事道具です。
――ありがとうございました。質問としては以上になりますが、他にも何か、これだけは言っておきたい、ということが篠山選手からあれば。先ほどの『GEL GUNNER』のことをもう一度でもいいですが(笑)。
篠山 メッセージとしては。先ほどは「カッコいいバッシュを選んで履くのが一番いい」と言いましたけど。結局は、“本気ならアシックス”だぞ、ということですね(笑)。
――なるほど!(笑) それ、太字で書いておきますね(笑)。
篠山 はい、“本気ならアシックス”でお願いします(笑) ありがとうございました。
【この一足~バッシュへのこだわり】 篠山竜青「多くのメーカーのバッシュを履いてきましたが、やはり“本気ならアシックス”です」(前篇)はこちらのリンクから→ https://basketballking.jp/news/japan/20180611/72671.html
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