2018.10.26
「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017-18」を制してBリーグ2代目王者の称号を手に入れたアルバルク東京。ファイナル2日後の5月28日、ザック・バランスキーが『バスケットボールキング』の独占インタビューに応じた。
インタビュー=バスケットボールキング編集部
写真=Bリーグ
――優勝おめでとうございます。改めて優勝の感想を聞かせて下さい。
バランスキー プロに入って初めての優勝だったので、すごくうれしかったですし、努力は裏切らないなというのは2日経った今でも思います。多くの練習をやってきた自信はあります。自分はポジションが変わって新しいプレーを身につけるなど、いろいろと挑戦の1年でもありました。どのチームよりも努力してつかんだ優勝だと思います。
――昨季から大きく変わり、戸惑いはありませんでしたか?
バランスキー ヘッドコーチが(伊藤拓摩からルカ・パヴィチェヴィッチに)替わって、選手も半分変わって、一から作りあげたチームだったと思うんです。自分はポジションがハッキリしていなくて、3番(スモールフォワード)メインで準備していましたが、日本代表活動でいなかった(竹内)譲次さんの穴埋めとして4番(パワーフォワード)ポジションも練習していました。開幕直前に「今季は3番」と言われて、「そうなんだ」と。任された以上は切り替えて、自分に何ができるかを考えてやっていました。3番はやったことがなかったのですが、同じポジションの(菊地)祥平さんや(馬場)雄大とは違った自分の良さが絶対あると思っていたので、それをどう活かしていくかがプレータイムをもらうカギだと思っていました。
――新しいものに挑戦した結果、プレータイムもしっかり確保できました。
バランスキー ルカHCのやりたいバスケは、ディフェンス中心です。安定した仕事というか、この人がここで出たら絶対やってくれるという信頼感があると、プレータイムをもらえるのはわかっていたので。自分はディフェンスとリバウンド、インテンシティ(プレーの強度)を落とさないことに加え、得点よりもチームオフェンスをどう作りあげて、周りを活かすかが役割でした。自分の役割をわかった上でプレーしてきたので、ルカHCから信頼されたと思います。初めてのポジションでしたが、アーリーカップを含め大事な時間帯でも出させていただいたのはそういったところが大きいと思います。
――ルカHCの練習で思い出深いエピソードはありますか?
バランスキー あまり思い出したくないです(笑)。本当に徹底していて、練習が始まった去年の8月くらいから決勝の週まで、やる内容はあまり変わっていないんですよ。1年とおして同じことをして、ベースが一切変わらなかったのがすごく印象深いです。最初にやったことを忘れてしまうチームや、HCの交代でやり方を変えてしまうチームがある中、ルカHCは最初からプランがあって、それを最後の最後にうまく持って行くための考えがあったはずです。自分を曲げないというか、しっかりとしたプランがあって、最初から最後まで同じことをやってきたんだなということを今になって思います。
――頑固だなと思うことはありましたか?
バランスキー 毎日です(笑)。自分たちからしたら「またこれやるの」、「もうわかってるよ」と。それでも毎回毎回やりますし、少し相手のシチュエーションを変えたりはしますけど本当に頑固なおやじだなと。
――ご自身がこれだけはチームメートに負けないと思えたことは?
バランスキー 笑顔です(笑)。プレーでは、安定した仕事をやることだと思います。素晴らしい選手が多くいるこのチームでプレーするなら、自分はあまり得点にこだわる必要はないなと。ここぞという場面や困った時の1本のシュートだったり、ディフェンスやリバウンドだったり、そういった安定したところを磨いていけばプレータイムをもらえると思っていました。
――オフェンスを機能させる役割として、安定してチームに貢献できたと思いますか?
バランスキー シュートを絶対に打ちたいと思うタイプではないので、打てたら迷わず打ちますが、どちらかというとオフェンスでは一歩引いて、誰が調子いいとかどこを攻めたら点を取れるかなどを考えることが多かったです。自分でコールしなくても、ガードの(安藤)誓哉や(小島)元基に「ここ行った方がいいんじゃない?」と言うこともあります。チームスローガンの『For The Team』じゃないですけど、自分じゃなくてチームが勝つために何をするべきか、という考えでした。
――チームでの役割は?
バランスキー 仲介役というか、つなぎ目ですかね。英語と日本語が話せるので、みんなでご飯を食べてる時に、誰かが面白いことを言ったら外国籍選手に訳してあげたり、その逆で日本人選手に教えてあげたり。試合ではハーフタイムなどで、選手だけでハドルを組んだ時にジャワッド(ウィリアムズ)が言ったことを僕が訳すなど、みんなのコミュニケーションをつなぐ役目だと思っています。試合に勝っても負けても、いい意味でも悪い意味でも落ちこまずに上がりすぎもせず、安定剤というか……。シーズン60試合すべて勝てるわけはないので、1回負けたからといって終わりじゃないよと。チームが落ちないために、常に冷静に平常心でふざけている、笑顔が多いやつだったと思います。
――優勝できた一番の要因は何でしょうか?
バランスキー どこよりも練習をやってきたことで、自分たちのバスケをやれば負けないと言える自身がついたことです。どのチームよりもいろいろなシチュエーションに対して準備してきましたし、スタッフもどこのチームよりもスカウティングをやってくれて、僕らにうるさがれるほどビデオを見せてくれて。多くの準備があったおかげで、それがすべて自信につながったと思います。
――チームの自信というのはいつ頃から?
バランスキー 人それぞれだと思いますが、僕は割と早い段階からでした。ルカHCなどスタッフに助けられた部分もすごくありますが、何より選手同士の一体感があると思いました。「これがチームだな」と言ったらおかしいかもしれませんが、自分のエゴがなくてみんなが『For The Team』だったので。このチームは強いんじゃないかなと最初の段階から分かっていました。つらい練習や愚痴はあっても、やる時はやる選手たちだなと。
――チャンピオンシップで一番苦しかったことは何ですか?
バランスキー 一番大変だったのは、京都(ハンナリーズ)戦かもしれないです。僕はあまり感じませんでしたが、自分たちのホームで負けられないという圧を感じた人もいると思います。相手は(ジョシュア)スミス選手がいなかったこともあって、他の選手がいつも以上のパフォーマンスを出してくると予想していたら、2戦目は(ジュリアン)マブンガ選手も出られなくて。そういう時にこそチームの結束力が強くなって、いつも以上にシュートが入る傾向があるので気をつけていました。すごく独特な雰囲気があり、それが一番嫌でした。
――来シーズンはどのような1年にしたいですか?
バランスキー 相変わらずバスケを楽しんでやっていきたいと思っています。Bリーグはまだ2年目が終わったばかりですけど、昨季やNBL時代と比べたらすごく盛りあがっていると感じます。ファイナルはもちろん、(シーホース)三河との第2戦で比江島(慎)が同点の3ポイントを決めた時、会場が揺れるぐらいの大声援で。あの時は試合どうこうではなく、バスケが盛りあがっていると肌で感じることができてうれしかったです。Bリーグがもっともっと盛りあがって、あのチャンピオンシップやファイナルぐらいの熱気あるアリーナがスタンダードになるのを楽しみに、来年もさらに盛りあがっていけばいいなと思いつつ、楽しんで優勝を目指したいです。
――三河にも多くのファンが駆けつけていましたが、皆さんに向けてメッセージをお願いします。
バランスキー 昨季の(セミファイナル)川崎(ブレイブサンダース)戦で初めてすごい一体感を感じて、ファンも盛りあがってくれていると思います。今季のファイナルでは、多くの人は千葉ファンがアルバルクファンよりも多いだろうと予想していたのですが、本当に五分五分で埋まっていて、アルバルクも愛されてきたなと。こういった熱血なファンがたくさんついていることは僕たちの力になります。僕たちとしてはあのような最高の応援と会場の中でやることはそれ以上ない幸せなので。それがスタンダードになっていくと、僕たちもさらにバスケが楽しくなるし、もっとがんばらなければいけないなと思うはずです。これからも応援してくれたらうれしいです。
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