2018.02.12

リーグ屈指の万能選手、アルバルク東京のザック・バランスキーがもたらす安定感

様々なポジションをこなして、怪我人を多く抱えるチームを支えているザック・バランスキー[写真]=B.LEAGUE
バスケットボールキングプロデューサー(事業責任者)

 Bリーグ2017-18シーズンも第19節を終えて36試合を消化。開幕から激しい戦いを繰り広げ、その戦いを制するために日々厳しい練習を重ねる各チームは、故障者やコンディション不良の選手も徐々に増加している。東地区首位を走るアルバルク東京もその例外ではない。

 司令塔の安藤誓哉は左頬骨骨折、鼻骨骨折から驚異的な回復で2月10日の川崎ブレイブサンダース戦において、4試合ぶりの復帰を果たしたが、小島元基は腰部捻挫、馬場雄大は右リスフラン関節捻挫で欠場し、アレックス・カークは疲労の影響で練習を回避する事態となった。更に日本代表に田中大貴竹内譲次を送り出すチームは日々の練習もままならないと、強豪チームならではの悩みも抱えている。

 この厳しい状況でこそ、その重要性が際立つのが、A東京が誇るユーティリティプレーヤー、ザック・バランスキーだ。193センチ100キロ、栃木生まれの長野育ちというアメリカ人は、従来務めていたスモールフォワードとパワーフォワードに加えて、今季からシューティングガードにも挑戦。内外のオフェンス、ディフェンスでチームに貢献するリーグ屈指の汎用性を持つ選手だ。

 11日の川崎戦でも、ベンチからスタートすると、ファウルトラブルでプレー時間が限られた菊地祥平の代役としてハードなディフェンスを披露。川崎を今季チーム最少の54得点に抑えたディフェンスの要として活躍するとともに、オフェンスにおいても思いきりの良いドライブや精度の高い3ポイントシュートでチーム2位となる14得点を挙げて、故障欠場の馬場の穴を埋める大車輪の活躍を見せた。フォワードとしては193センチと決してサイズ的に恵まれているわけではないザックだが、持ち前のタフネスと戦略理解の高さで川崎のエース、ニック・ファジーカスを10得点に抑えたインサイド陣へのヘルプをこなしつつ、自身も7リバウンドを記録するなど、リーグを代表するユーティリティプレイヤーであることを証明してみせた。

川崎との第2戦では、2本の3ポイントを含む14得点に加え7リバウンドをマークして攻守に躍動した[写真]=B.LEAGUE

 怪我人の多いチーム状況下、求められる役割も多いというザックだが、求められる役割の中でも、特にどの部分を意識しているのかと問うと、「特にないです」と笑顔で応え、「(何を求められても)いつもどおりのプレーしかしない。自分がやるべきことを楽しみながらやるというのが僕のスタイルです」と語る。

 アグレッシブなディフェンス、正確な長距離シュートなどザックの持ち味は多岐に渡るが、ザック自身が考える長所は“安定感”だという。ザックは「(A東京は)選手層が厚く、誰が抜けても戦力が変わらないと思っています。その中でもボクが求められているのは安定感。自身のプレーの売りであるディフェンスのアグレッシブさとオフェンスの思い切りの良さを安定して出すこと」と述べる。

 複数のポジションで、様々な役割を求められるザックは、チームやコーチからの求めにハイレベルな回答を安定的にもたらすことができるリーグでも希少な存在だ。A東京が怪我人に苦しんでも、日本代表へと選手を輩出しても、東地区の首位を維持できる要因の一つは、この素晴らしいユーティリティプレーヤーの活躍だと言っても過言ではない。

 A東京がこのまま東地区の首位をキープするには、ザックがもたらす高いレベルでの安定感が欠かせないのは言うまでもないだろう。

文=村上成

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