2017.11.21

アルバルク東京“汎用型ザック”の向上心が止まらない!

2番から4番ポジションまでこなすA東京のザック・バランスキー [写真]=B.LEAGUE
バスケットボールキングプロデューサー(事業責任者)

 バスケットボールにおけるポジションは全部で5つ。それぞれが番号で呼ばれることもある。改めてそのポジションについて触れてみると、1番と呼ばれるポイントガードはチームをけん引する司令塔。2番のシューティングガードは3ポイントシュートなどを得意とするアウトサイドの花形ポジションだ。3番のスモールフォワードは攻守のオールラウンダーで、4番と呼ばれるパワーフォワードは体を張ってスクリーンを掛けたり、リバウンドに飛びこんだりするフィジカルの強さを求められる。5番のセンターはゴール前に立ちはだかる攻守におけるインサイドの中心で、高さやディフェンススキルが必須のポジションだ。

 ポジションによって敏捷性や視野の広さ、体の強さ、シュート力など求められるスキルが異なるのは当然だ。しかし、これら必要なスキルやサイズを備えており、サッカー日本代表の元監督イビチャ・オシム氏が「複数のポジションをこなすことのできる選手」として使用したことでも有名になった“ポリバレント”な選手は、サッカー界のみならずバスケットボールの世界でも重宝される。

 東地区首位を走るアルバルク東京ザック・バランスキーはまさにポリバレントな選手の代表。“汎用型ザック”の貢献もあり、A東京はケガやファウルトラブルなど試合中のアクシデントはもちろん、主力選手が日本代表招集などで抜けた場合にも、安定したゲーム運びで、結果を残すことができる。

アウトサイドシュートにも定評がある [写真]=B.LEAGUE

 東海大学時代にはセンターとして出場していたこともあり、フィジカルの強さには定評があるバランスキーだが、5番プレーヤーとしては193センチと決してサイズがあるわけではなく、プロ入り後は主に3番、4番ポジションへと主戦場を移し活躍している。

 今季から2番ポジションに挑戦しているバランスキーは、11月18日に行われたB1リーグ第9節第2戦のレバンガ北海道戦で22得点4リバウンドの大暴れ。ケガで欠場したエース田中大貴の穴を埋めて余りある大活躍を見せ、チームを勝利に導いた。試合後、取材に応じたバランスキーは、自身初めてのポジションについて「まだ全然慣れていないことも多いです(苦笑)。まだまだ成長していかないといけないと考えている」と謙虚に語る一方で、「チーム内のレベルが高いおかげで、(思ったよりも)早く慣れていると感じる」と成長への手応えを口にした。

北海道戦ではシューティングガードを務めた [写真]=B.LEAGUE

 また、新たなポジションの難しさについて問われると、「ピック&ロールのディフェンスが難しいですね。ピッカー側(スクリーンを掛ける側)のディフェンスしかやったことがなくて、ユーザー側(スクリーンを受けて、動く側)のディフェンスをやるのは初めてで、体や足の使い方に苦労している」と語る。これまでとは真逆の動きを要求されるわけだが、その戸惑いの副産物として、自身もユーザー側としてピッカーを使うことが増えたため、相手がどういうことをやってくるのかが、より理解できるようになってきたという。

 今季の挑戦に専念したいところだが、“汎用型ザック”は忙しい。日本代表との兼ね合いで、竹内譲次が欠場するとなれば4番ポジションで体を張る仕事も待っている。「(25日、26日の)天皇杯では譲次さんがいないと思うので、また4番をやることになると思いますけど……。2番と両方やりつつ、3番ポジションについても成長していきたい」と、あくまで前向きだ。

試合によっては外国籍選手とのマッチアップも [写真]=B.LEAGUE

 挑戦中の2番ポジションに加え、最近では3番ポジションをもっとやってみたいと話す。「完全に慣れていないし、できていないので。ポジションとしてあまりチャレンジできていない分、できた時の喜びも大きい」

 ビジネスシーンでも複数業務を行うことができるマルチタスクを強力な武器として評価する声も多い中、会社の上司なら泣いて喜びそうな前向きなコメントを残すバランスキー。2018年に向けて、そろそろ抱負や目標を考える時期も近づいてきた。彼を見習って、2018年の目標に汎用性を身に着けることを掲げてみるのはいかがだろうか。

文=村上成

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