平均プレータイムは約16分。リーグ優勝した昨シーズンに続き、小島元基はアルバルク東京の2番手ポイントガードの座を守っている。今シーズンは脳震盪、打撲、捻挫と3度の負傷離脱に追いこまれながらパフォーマンスを落とすことなくここまで来た。
3月23日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦、小島は16分20秒の出場で5得点4アシストを記録。最初の得点は第2クォーター残り1分32秒だった。一度3ポイントを外すも、味方がオフェンスリバウンドを取り、再び狙って今度は決めきった。そして第3クォーター残り27秒、パスカットを狙い勢い余って観客席に飛びこむハッスルプレーでチームを守りたて、その25秒後、カウンターから63-55と相手を突き放すシュートを決めた。
「まだ体が重いし、コンディションが整っていない」と言うものの、エースガードの安藤誓哉のサポート役として十分な働きを見せ、チームもチャンピオンシップ出場権を争う相手に勝利。小島が6試合ぶりに復帰した3月16日の秋田ノーザンハピネッツ戦から3連勝を果たした。
第4クォーター残り4分45秒、小島は71-66と緊迫した場面で安藤に代わってコートに立った。一時は3点差まで詰め寄られるも、2つのアシストを決め最終スコア82-70と12点差をつけて試合を締めた。拮抗したゲームで“クローザー”的な役割を任されることからも、ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチから厚い信頼を得ていることがわかる。
ちなみに、セカンドPGという立場上、フォーカスされにくいが、小島は今シーズン、チーム内で存在感を高めており、主なオフェンスのスタッツはすべて昨シーズンを上回っている。
(昨シーズン→今シーズン)
・1試合平均得点
4.6点→5.5点
・平均アシスト
2.7アシスト→2.8アシスト
・フィールドゴール成功率
37.7%→41.7%
・3ポイントシュート成功率
32.1%→42.2%
・フリースロー成功率
70.0%→76.1%
とりわけ3ポイントシュートの成功率は大きく向上。「『打ったら入る』ぐらいの感覚がある」というシュート技術は、日頃のトレーニングで培ったものだ。苦笑いを浮かべてこう打ち明ける。「アルバルクに加入して1年半以上、ずーーーっと全体練習の後に個人練習で打ち続けている成果」。ルカHCらコーチ陣の下、足の置き位置などから細かく指導され、反復練習によって確固たる自信を手にしたという。
名古屋D戦では、スタメンで出場した安藤が13得点5アシストをマークするなど際立った活躍を見せた。小島はポジションを争うライバルをどう見ているのか。「アンディー(安藤)とは練習中は5対5でも、1対1でもずっと同じペアでバチバチやり合っているけど、試合中は頼れる仲間。ゲームに入れば2人でチームをコントロールすることだけを考えているし、重要な得点を決めた時はチームメートとして素直にうれしい」
小島の復帰は、Bリーグ連覇を目指すアルバルク東京にとって明るい材料だ。本人もチャンピンシップに向けて気合を入れ直す。「シュートタッチはいいし、コンディションはもっと上がる。チャンピオンシップに出てくるチームのガードはみんないい選手だけど、自分がシャットアウトできるように。チームのディフェンス強度は昨シーズン以上なのでやれる」
昨シーズンは終盤にギアを上げ、勢いそのままにタイトルを勝ち取った。今シーズンもここからトップギアに入れられるのか。アルバルク東京のシフトレバーを握る安藤、そして調子を維持する小島のPGコンビに寄せられる期待は大きい。
文=安田勇斗