第74回国民体育大会は大会4日目、成年女子では決勝が行われ、愛知学泉大学主体の愛知と山形銀行単独チームの山形とが対戦した。
序盤、髙橋美緒、谷優実らのシュートが決まった山形が先行。ディフェンスでも足を使った動きで愛知を抑え、第1クォーターを15―10とリードする。
しかし、第2クォーター出だしから愛知は粟津雪乃、岡田真那美らで得点を重ねると、その後も平野実月、粟津らで連続得点を挙げ、逆転に成功して前半を終えた(32―29)。
後半も主導権を握った愛知がじりじりと山形を引き離しにかかる。そのまま愛知が逃げ切るかに思われたが、第4クォーター中盤から愛知の得点が止まった隙に山形が追撃。残り6分を切って6点差に詰めると、残り3分には3点差にまで詰めた。
その後は一進一退の展開となったが、僅かに愛知がリードを奪うと、残り36秒で70―64に。だが、ここから山形は深井夢が2本連続で3ポイントシュートを沈め、残り9秒で同点に追いつく。愛知はラストの攻撃に粟津が3ポイントシュートを放つものの、そのボールは無情にもリングを弾く。しかし、このこぼれ球に反応したキャプテンの髙橋華菜がリバウンドを奪うと、ここでファウルを受けてフリースローを得る。
残り2.5秒、このフリースローは1本のみの成功となったが、1点を守り切った愛知が激戦を制した。
敗れた山形の福島雅人監督は「延長まで行ったことは評価したいです。チームも若いし、サイズもないので、そういった点では良くここまで来たと思います。ただ、フリースローやレイアップシュートも打てているのに落とすなど些細なミスが。愛知の方が決めるべきシュートを決めていたので、そこは相手の方が素晴らしかったと思います」とコメントした。
山形は、山形銀行の選手たちで構成されており、前日の準決勝でも激しいディフェンスで和歌山を撃破。「私が練習で笛を持つのは120分。120分の間でいかに効率よくやるか、その時間でのハードワークは求めますが、それ以外は笛を持たず、コート外とでメリハリを付けます。山形銀行にはコートで100%力を出さない人はいないです」と、福島監督は日頃の練習での取り組みを語ってくれた。
一方、劇的な優勝となった愛知。愛知学泉大でも指揮を執る木村功監督は「悪いなりに第3クォーターで10点差を付けられたのはアーリーオフェンスができたから。最後は運が良かったのと、収穫はボックスアウトでいつも逃げる髙橋がボールに飛び付いたこと」と試合を振り返った。
だが、「順調にいけば今年のチームは去年より強いはずなのに」と渋い顔。というのも、前日の滋賀との準決勝では快心の勝利も、決勝では指揮官が思うような動きとはいかず、「このチームは好調が3日間続かない。気持ちに左右される」と、課題を挙げていた。
取材・文・写真=田島早苗