「第93回天皇杯・第84回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」ファイナルラウンド(準々決勝~決勝)が1月4日にさいたまスーパーアリーナで開幕。男子準々決勝第2試合は、千葉ジェッツが栃木ブレックスに76-71で勝利した。
昨年、クラブチームとして初の天皇杯を制し、2連覇を目指す千葉だが、チームの司令塔であり得点源の富樫勇樹が1月1日に行われたB1リーグ第15節第2戦のアルバルク東京戦で負傷。左大腿四頭筋挫傷のため、全治3~4週間の診断を受けた。それにより富樫は天皇杯ではチームに帯同しないというスクランブル(緊急事態)となった。
千葉にとって厳しい状況になるかと思われた中、頼もしい働きをしたのが西村文男だ。マークが甘くなったところを突いて先制となる3ポイントシュートを決めると、千葉の得意とするディフェンスからブレイクの速い攻めを演出していく。
第1クォーター開始2分7秒という早い段階でタイムアウトを請求した栃木ベンチ。その直後、ライアン・ロシターのジャンプシュート、遠藤佑亮の3ポイントシュートで反撃を開始する栃木は、何とか2点差で第1クォーターを終える。
しかし、第2クォーターに入ると、ギャビン・エドワーズ、マイケル・パーカーにリング下を支配され、じりじりリードを広げられてしまう。千葉はしばしばターンオーバーを犯して勢いに乗れないものの、ペースをつかめない栃木を14得点に抑え、11点ものリードを奪って前半を終了した。
第3クォーターに入っても本来の動きができない栃木は、開始3分11秒にスターターをすべてベンチに下げ、控えメンバーをコートに出して反撃を試みる。この場面、ファウル覚悟でオールコートに当たるディフェンスで、千葉からボールを奪って速攻を繰りだすが、シュートがリングを弾き、栃木はなかなか点差を詰めることができない。
諦めない栃木は第4クォーターも控えメンバーが体を張ったディフェンスでアタックを続けたが、試合開始から失ったリズムを取り戻せないまま、試合終了。千葉が6日の準決勝にコマを進めた。
「全然体が動いてないし、いったいどんな準備をしていたのか。今シーズンではよくあることで、選手には改善してもらわないと」と、栃木の安齋竜三ヘッドコートは怒りを隠さなかった。司令塔の田臥勇太も「出だしがすべてだった」と試合の入り方に問題があったと言及。それでも「控えのメンバーが本来の栃木のディフェンスから流れを作るプレーをしてくれた。これは今後につながる」と、敗戦の中でも収穫があったと振り返るのが精一杯だった。
文=入江美紀雄